「東日本大震災を、現在進行形で考える」の感想です。 - 建築系ラジオ
出演者:武智仁志

東日本大震災により被災された皆様に、心よりお見舞いを申し上げます。そして、現場で救助や復興に尽力されている方々に感謝いたします。

本当に驚くべき事実にただ呆然としています。僕が経験した地震で最大のものは、2001年の芸予地震です。松山市で震度5強、M6.7。発生は15時27分で、夜の飲み会に備えて、自分の部屋にいました。当時90cmの水槽を部屋に置いていましたが、水が大量にあふれました。とっさに部屋の真ん中でバランスを取れました・・。

今回は芸予地震並みの規模のものが連続でおき、津波の被害も大で、あってはならない原発の事故までも。3/11から、2週間が経ちました。今だに余震もあり、原発もあまりよくない状況が続いている中で、今の僕にできることは、募金をすることくらいしか出来ません。

愛媛にも原発があり、MOX燃料を、やはり3号機で使用しています。事故が起こってからしか本当に危機感を持てない自分に呆れます。

僕が住んでいる松山でも、一部のスタンドでガソリン給油の規制が始まり、なんと、インスタント食品やミネラルウォータ、乾電池なども品薄の状態となっているようです。(中国にも、買い占めは飛び火しているそうです。)先週はそういう雰囲気はなかったのですが、原発事故の対応が長引いているのと、ついついテレビを長く見てしまっているからでしょう。愛媛でも、「共感疲労」に陥っている人がいるそうです。被災していない人間が疲弊している場合じゃないです。品薄の原因は、被災地優先で供給されているためで、一時的らしいのですが、もし買いだめしている結果ならば残念です。日本人は同じ民族で集まっているせいか、集団心理が強いのですね。

水は水道水が使えるし、インスタント食品は無理に食べなくても済むし、僕の場合は自転車で通勤しているのでガソリンも殆ど不要です。身の回りのできることからやっていこうと思います。当たり前の日常って、実は貴重ですね。ついつい明日があると思って過ごしてしまっています。

ラジオでは、地震の影響よりも津波と原発の話題が多くでました。昼間の災害ということで、多くの映像が撮られ、津波の無情なパワーを見せつけられました。愛媛新聞によると、大津波警報発表の3分前に小規模な津波第1波を宮城県・牡鹿半島周辺で観測していたようです。3メートル以上の最大波がきたのはその30〜40分後でした。ハードウェアは駄目でも、人間の命は助かる時間だったかもしれませんね。ただ、警告を受けて、パニックを避けられるかどうかは分かりません。

驚愕したのが、岩手県の宮古市田老地区の防潮堤。住民の皆さんから絶大な信頼を得ていた「万里の長城」の異名をもつ高さ10m、総延長2400mの防潮堤を、大津波は粉々に破壊したそうです。約50年前に完成していたので、塩害による老朽化も多少は原因としてあったかもしれません。防潮堤の中身は土壌でしょうし。本当に恐ろしいパワーです・・。

こういった事実を見ていくと、常識的な対処で新たに建て直しても、また何十年後かに津波が起こるかもしれません。事実、常識や想定を越えた災害が発生してしまいました。役所の建物は、海抜何m以上に建設するという規則ができるかもしれません。

僕は建築を学んでいるので、つい建築の力のみで解決できると信じたくなりますが、彦坂さんがおっしゃるように事実を事実と認識して、対応するほうがより確実だと思いました。携帯やラジオ、テレビよりも、ツイッターが役に立ったように、複合的な手段を確保しておかないと、突然の事態に対処できないですね・・。

ラジオでの皆さんの会話を聞いていて、頭に浮かんだのがテトラポット。田老地区の防潮堤は堅牢な「面」で波を遮る発想でしたが、テトラポットのように「ある程度」遮る発想のほうが良いのかなと思います。波を砕く手法ですね。そして、海岸で砕くばかりではなく、数km先の海上にも配置するのです。水深があると大変ですね。専門知識でもって語っていないので、知識のある方に笑われるかもしれませんが。

陸地に侵入してきた水は、住戸を取り巻く道路の下が水路になっていて、ある程度、水路に水が流れ込んで力を弱める作戦。そして、建築はあえて、木造。逆に浮力を利用して、基礎との関係は、切り離しやすいものにします。電柱などの危険因子は地中化。車は住宅街には置かず、歩行と路面電車で移動するようにすると、流されてもぶつかるものが少なくできるかもしれません。複合的に建築と土木を組み合わせないと難しい気が今はしています。都市規模でのデザインです。基礎部分はテトラポットのようなものを敷き詰めておくと引き潮を砕いてくれるかも・・。躯体は結局、船みたいな建築になるのでしょうか。

いやいやいや、なかなか解決策を見つけるのは至難の技です。構造形式、形態の話以外のところでもデザインの方法はないかという松田さんのお話。建築的な内容のみで考えず、様々な可能性を拾い上げて解決していくしかなさそうですね。

それにしても、ツイッターの活躍ぶりはすごいですね。
早く問題が解決できるように、行動していければなと思います。
僕はこれからの日本に希望をもって生きます。

・関連項目
東日本大震災を、現在進行形で考える [1/3]──地震と建築をめぐって
東日本大震災を、現在進行形で考える [2/3]──原発とアートをめぐって
東日本大震災を、現在進行形で考える [3/3]──津波とデザインをめぐって
(2011年3月24日公開)

連載紹介

建築系ラジオのリスナーによる感想コーナーです。 気になってるけど、まだ聞いていないコンテンツの概要を知りたい場合に参考でどうぞ。感想文のリクエストがあれば、お答えいたします(笑)。
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