ちょっとひといき:建築系ラジオ「テン年代の建築、私はこう考える」アンケートでのコメントです。 - 建築系ラジオ
出演者:武智仁志

僕がテン年代の建築に求めるものは、「つながる」というキーワードです。僕らは、閉じられた空間を求めて、そんな場所に安らぎがあると信じてきました。でも、内にこもる程に、外部に対して攻撃的になっているような気がします。安全な場所に居ながら、ミサイルのスイッチを押しているような人が増えていると言えます。ネットの匿名や、自動車の動く閉空間、家に帰っても個室にこもれる環境があります。パソコンのデスクトップも私的な空間です。唯一団らんできる食卓も、仕事による家族のすれ違いで広すぎる場所になってしまいました。

ある自動車のテレビコマーシャルに衝撃を受けました。そのセリフが、「家にいるより、家族だね。」ですよ。住宅内では家族関係が営まれていないということに共感できる人達が多くいるということです。世の中にアンテナを張り巡らせている車会社の経営陣は皆の認識が一致して、このフレーズでいけると判断したのですから。

プライベートな空間を大切にしすぎて、それに対する後付けで、クーラーなどの住宅内気候をつくり出す装置が、もてはやされています。この装置頼みの精神を変えないと「つながる」というキーワードに行き着けないと思います。築33年の中古住宅を購入して、夏の汗をぬぐうそよ風や、冬のすきま風を感じながら生活していると、日本の四季や、気候に旬があることに気づきます(笑)。梅雨時期のキス、秋の焼きサンマ、冬のブリの照り焼きなど、旬の魚は美味しいですよね。旬の野菜や果物も、口に入れたとたんに幸せが広がります(笑)。そんな感じで、外の四季を「見る」だけではなくて、「体感」して楽しんでもいいんじゃないかなと思うようになりました。
ただ、僕が住んでいる松山の気候だからこそですけど・・。

建築内の気候にアバウトになることによって、境界の質が変えられると思います。「つながる」というキーワードは、境界がどうなっているかが大きいのですが、ライザー+ウメモトさんのメッシュ構造とか、中村竜治さんの「すかすかなもの」に可能性を感じます。線の集積によってつくられている面をそのまま境界につかえば、ガラスに頼らない、新しい境界のありかたも可能ではないでしょうか。ただ、暑さ寒さに耐えろということではなくて、境界(天井・床・壁)を見直す事で次の世代の建築が見えてくるような気がします。

そうやって新しい境界の答が出たとき、1戸建て住宅や集合住宅というジャンルを超えて、ついでに敷地境界線も超えて、新しく「つながる」建築ができてくると思っています。既存の住宅の境界を変えてつなげると新築よりも可能性があるかもしれません。結局、人は一人では絶対に生きて行けませんからね。誰かと、つながっていたいです。

(思ひ出のコメントー初出:2010.3.5)
(2011年1月16日公開)

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