コメント:「土木系ラジオ+建築系ラジオ合同全体討議」の感想です -[radio]- - 建築系ラジオ
出演者:武智仁志

始まりましたね。土木系ラジオ。
今後の展開と建築系ラジオとのからみが非常に楽しみです!
建築もまだよく分かっていない僕が、土木系もと言い出すと脳みそがポンッ!(軽い音(笑))と破裂しそうなので、簡単にではありますが土木系のメモをつくってみました。

■【土木系ラジオを立ち上げたきっかけ】
雑誌に比べるとメディアのスピードが早い。
土木系はデザインの分野が本格的になっていない。
土木のデザインや景観に対して発言する場がない。
土木系学生のためにメディアが必要。
こそこそと話していたものを話し合いたい。
建築系、土木系の2つの分野が融合していける分野を見つけたい。
デザインをしない人との交流も。


■【土木系ラジオの体制】
コアメンバーは9人
四国、関西、関東とまったく交流がないので全国からメンバーを集めた。


■【土木系の特徴】
大学卒業後は大きく3つの流れがある。
  ・ゼネコン
  ・コンサルタント
  ・役所
個人で土木系事務所をつくる人はほとんどいない。関東に集中している。
求められる耐久性がちがう。繊細につくると壊れる。
幅広く、多様に分かれている専門分野は閉じていて、たこ壷化している。
 スケールメリットを生かして考えていくべき。
川や山(水と地形)を対象とできる。
大きなところは得意で、細かいデザインができる人がいなかった。
ほとんどが役所の仕事。設計者は役所をみている。
土木系は不特定多数の人が利用する。
景観や安全が重要。基準があって、デザインの意識がない([3/5]で原因が詳しく解説されています。)まま基準に従っていれば良いと思っている人が多いが、ようやくデザインへの動きがでてきた。
仕事はすべてが公共事業。唯一の民間事業はバブル時期のゴルフ場。
土木系の仕事の善し悪しの基準は、ビジョンにふさわしいかどうか。
土木の仕事は境界線がない。外のことを考えている。敷地の中で収まらない。
限られた中のデザインが大事と思っている人が多くなっている。建築化しちゃうという危機感がある。
道路、下水などのインフラが多いので工夫しなくても食えるビジネスになってしまった。
設計者が言っても相手にされないのに大学の先生が同じ事を言ったら話が通る。
アンビルドをもてはやすメディアがない。土木系では2位案は出てこない。
発注形態は安ければいい。標準設計で発注され、入札で安いものが選ばれる。
設計と一緒にデザインも考えてね、というものがない。別枠。
土木批評家がいない。コンペで奨励賞ができたので外に向かって共有しようという批評の場ができつつある。
決まったら一気に進む。上が決めれば下が動く。


■【土木系の人間関係】
先輩に声をかけられたら、断れない。


■【建築系が土木系に入って来て問題になること】
土木の状況を知らない。
建築の価値観を押し込むと反発される。土木に建築の思想を持ち込むだけでは駄目。
少しずつ変えるための我慢が必要。
行き過ぎるとゼロになるので、落としどころを良く考える。積み重ねが大切。
システムを組み換えていけば、それもデザインになる。
集まっている世界からの全体性は、土木につながる。


■【感想】
【理想と現実の問題】
建築系も土木系も、現実の都市をみてもその通りになっていない気がするというトークが やっぱり現実なんですね。建築系や土木系の学校で学んできた方達は、理想を語り合った り、技術の知識があったりと妄想の世界を現実の世界に落とし込む能力を持っていますが、 建築系も土木系も、実際に利用する人々は、なんの知識もない一般人ですよね。 結局は、利用する人々を口説いて現実化しなければならないと。

土木系の仕事のように、役所で専門知識を持っている人を対象にしても、デザイン的にす ぐれた提案が業界の常識をはずれたものであれば通用しないというんですから、本当に地 道な努力の積み重ねが必要なんですね・・。

建築系ラジオや土木系ラジオが出現して、知名度があがったとしても、興味がない一般人 には通用しないと思うんです。ラジオがそこまでは対象化していないとは言え、街を形づ くっているのは専門知識を持たない一般の方達の方が多いわけです。国家戦略として、建 築系と土木系を義務教育に取込めないのでしょうかね(笑)。街並みも、国の財産になる と思うんですよ。ヨーロッパの街並みを見て、「きれいだな」と思うような風景が日本に もできれば観光資源にもなりますしね。かつての屋根瓦の風景は、もうほとんど見当たり ませんよね。これは日本の風景だと誇れる景観をつくれたらいいですね。

一生を懸けたお金をつぎ込んでつくる住居や、税金というカタチで使われる、しかもある ことが当たり前と思われている道路などのインフラの大切さ。もっと視点を変えて、これ らの建築やインフラは国の財産として扱い、人そのものの豊かさを追求できる余力を生む 仕組みができればなあと思います。

現在の多くの人の生き方は、なんだか目的と手段が入れ替わっているような気がします。 良い家を買うために働いているのではなくて、良い家で豊かに暮らすために働いているは ずなんですよね。一般人からすると、良い建築や橋が目的ではなくて良い建築や橋を利用 することで豊かさを得たいだけなんです。

土木的な視点で建築をつくれたら実現できそうな気がします。
それは、各住居を構成する単位をもっと大きくした建築です。スケール的に土木系に近づ いたものです。家族単位、ご近所単位、町単位、市単位と段階的に大きくなる単位ではな く、境界をとっぱらって共用できる部分は国の資産として扱い、プライベートな最低限の 部分は個人の資産とする・・。クラウド化した建築。はやりの言葉を入れれば良いっても んじゃないですか(笑)。なんかうまい方法はないものですかね。

【業界の境界も超えて】
大学の専門が分かれすぎているのは、世の中が効率優先で分業化が進みすぎているのに合 わせ過ぎているからではないでしょうか。教え方をどうしようかと悩んだ末に、分けて教 えたら教えやすいんじゃないかという教える側の効率や、都合で次々に分化してきたので しょうね。

企業の組織の中にいても、ここまでが担当で、あとは引き継ぎをして下流部署に仕事を流 して、君は次の仕事をしてね、という工程で進んでいます。でも、実際には後ろから突か れて、焦ってコダワリが薄れてしまったり、小さなミスがあったりで、本当に効率的なの か?と疑うこともあります。

世の中、急ぎすぎているのでしょうね。田舎に住んでいるから、こんなことを思うのかも しれませんが、焦ってもろくな事にならないことが多いです。

崎谷さんがおっしゃっていた「建築以外は土木とみていい」とか、倉方さんがおっしゃっ ていた「建築と土木だけでいいんじゃないか」という言葉。抜き出した言葉だけで呑み込 んでしまうと誤解があるので、ラジオを聞いていただきたいのですが、これからはハード だけではないという議論があった通り、細かい技術だの、物理的なものだのなんかは、建 築家なり土木家なりが吸収してしまえば、細かく分業しなくても事はうまく進むのではな いかなと思いました。もちろん、それをしなければならない人は大変ですが、その大変さ は喜びに変わると思います。実際、建築系ラジオに出演されている方々は、多能で人とし ての魅力があると思います。

建築系ラジオや、都市系ラジオ、そして、土木系ラジオが、より一般の人々に訴えかける ことができる環境づくりが大切だと思いました。


・関連項目
土木系ラジオ+建築系ラジオ合同全体討議[1/5]──土木系ラジオ発足
土木系ラジオ+建築系ラジオ合同全体討議[2/5]──土木におけるアイデンティティ
土木系ラジオ+建築系ラジオ合同全体討議[3/5]──土木という領域をめぐって
土木系ラジオ+建築系ラジオ合同全体討議[4/5]──土木におけるコンペとメディアの可能性
土木系ラジオ+建築系ラジオ合同全体討議[5/5]──未来の土木デザインに向けて
(2010年10月25日公開)

連載紹介

建築系ラジオのリスナーによる感想コーナーです。 気になってるけど、まだ聞いていないコンテンツの概要を知りたい場合に参考でどうぞ。感想文のリクエストがあれば、お答えいたします(笑)。
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