ちょっとひといき。:「窓と視覚について」  - 建築系ラジオ
出演者:武智仁志

プレゼント、ありがとうございました!2度もいただけて(しかも2冊も!)大変光栄です。窓と視覚について、非常に興味が沸く内容でした。ワクワクしました。

配信前なのですが、僕の勝手な試みとして、配信前と配信後の感想を送らせていただこうかなと思います。今回は、配信前なのでトンチンカンな感想になるかもしれませんが、ご了承ください(笑)。自分の感想が建築系ラジオを聞くことでどう影響されるか・・・。(もうすでにラジオを聞いた感想を書いている事で聞き流すのではなく、聞いた事について考えるようになっています。僕にとって影響大です。)


僕が過去に興味を持った映画は、流行のハリウッド映画ばかりで、どんちゃんと派手なアクションものが多かったのですが、最近は、子供のアニメばかりです。『DETAIL JAPAN』2008年7月別冊の「映画の発見!」を買いまして、古い映画に興味を持ちはじめているところです。ビデオショップで借りるべきリストは作ったのですが、まだ見る時間は取れていません・・。

今回、頂きましたプレゼントで紹介されている映画は巨匠の監督作品ですね。建築的な目線で映画を見る楽しみが増えました。リストに加えさせていただきたいと思います。

さて、付箋紙を貼っていただいていた五十嵐さんのコラムは、短い文章なのに興味を惹く大切な文章の宝の山でした。視覚に影響を強く与える建築的要素としての「窓」について、色々と考えてみる機会を得ました。ありがとうございます。

まず、僕が興味を惹かれる文章を抜き出してみました。

■「ヒッチコックの『裏窓』」より
・窓越しの映像
・固定された部屋からの視点
・スクリーンとしての窓
・肉眼ではものたりなくなった
・窓はカメラと一体化
・中庭越しに
・音や会話までは聴こえない
・鑑賞者を世界から隔てる防波堤
・安心な画面の向こうの世界=現実が始めて侵入する
・視線しか通過しないはずの窓から身体が現実の世界に飛び出す。
  (出典:『+CLASS 2008 秋・冬号』新日軽株式会社 2008年9月 30ページ)

■「ボディ・ダブル」より
・窓から見ているということは、逆にみているところが他人に見られているかもしれない
・窓から見えている世界=スクリーンは、必ずしも真実ではない。
・すべてが見えないことで、さらに興味がそそられる。
・部分的に隠しつつ、分節して見せる
  (出典:『+CLASS 2009 新春号』新日軽株式会社 2009年1月 30ページ)

こうして抜き出してみると、なんだかパラメータのようなものが見えてきます。
潜んでいるキーワードは、

・距離があること
・視覚以外は抑制されている状態
・視覚的な双方向性がある。
・真実の一部を切り取っている

さらにキーワードを導くと、「フィルター」が浮かんできました。視覚のみ双方向性を持っている壁。パラメータということで、建築設計の時にこれらの数値を操作してやることで、空間の内外の関係性に変化を付けられます。距離による関係性は特に大きいですね。透明な窓であっても中庭というある程度大きな寸法を持っている空間を挟んで、窓越しの映像をみると、こちらの世界とあちらの世界はまったく関係がないように感じてしまいます。視覚以外が抑制されていると、みている映像に興味があれば音などの他の五感を想像しようとします。残された五感の内のどれを許容するかで、壁という感覚の強さが薄れてきます。視覚的な双方向性は光の反射率を変えたり、不透明さの程度、角度で性質が変ります。都会の中の住宅では、遠くに見える森のみを切り取った風景のみが見えるように開口の大きさを操作する場合もあります。この切り取った森の風景は、純粋な森として開口のサイズを超えて広がっていくことでしょう。

人の目は、体外の景色を認識して網膜に映した状態では、上下が逆さまの状態で映っていると言われています。それを左右の脳が上下方向を修正して認識しているのですが、この脳の働きは、無意識で行われています。ところが、部分的に隠している映像を見ると経験から学んだ記憶や配置パターンの解読により、見えない部分を補完しようとします。これは、ほとんどが意識的な働きです。見えない部分を補完しようとする脳の働きを促す効果は、ラジオを聞くという「聴覚」に似ている働きがあるかもしれません。23Aの配信の中での五十嵐さんの言葉で「音って振動で伝わる」と聞いたときに、妙に説得力があって納得しました。これを視覚に当てはめて考えると、視覚の機能を建築的にコントロールするには2つの機能が必要なのではないかと考えました。他の四感は、それぞれ、聴覚、触覚、味覚、嗅覚とありますが、どれも「触れる」ことで1挙動で「体感」につながります。聴覚は、音が振動として鼓膜を震わし、触覚は皮膚の圧力を感じ、味覚も食物が舌に触れ、臭覚は匂いの成分が鼻の粘膜に触れます。物理的に身体の一部に直接的に触れることによって得られる感覚です。視覚のみは直接的な「触れ合い」は無しに処理されます。視覚に与えられた限定的な機能は何なんでしょう?何を意味しているのでしょうか。視覚を体感に変えるには、視覚で得られた情報に欠落部分を含めることで、脳が他の感覚より1挙動分多く働き、より効果的な建築的要素としての「窓」ができあがる気がします。あるいは、欠落以外の操作の工夫が必要です。脳が考えることで体感的な感覚に近くなるという発想です・・・。

ここまで考えると、21世紀の窓というか、壁は、「壁」としての窓を超えた存在が求められているような気がします。それは、透明なガラスを受け入れないことによる新しい建築空間。さらには、他者との積極的な関係性を楽しむ窓。

お忙しい皆様に、こんな文章を読んでいただくのは気が引けるのですが、ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

(思ひ出のコメントー初出:2009.2.13)

・関連項目
23A: 建築系ラジオ新年会「美術系ラジオについて」
(2010年6月26日公開)

連載紹介

建築系ラジオのリスナーによる感想コーナーです。 気になってるけど、まだ聞いていないコンテンツの概要を知りたい場合に参考でどうぞ。感想文のリクエストがあれば、お答えいたします(笑)。
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