コメント:藤村龍至の批判的工学主義を問う!(藤村龍至vs松田達)[3/5]の感想です。 - 建築系ラジオ
出演者:武智仁志

藤村さんは、元は建築の専門外ということで、大学院の時に図面が描けなかった時代があったということをお聞きし、びっくりしました。まあ、描ける・描けないというレベルが違うのでしょうけれども。

効率性と固有性を両立させるにはどうするべきか。ものづくりをしている人達にとって、この課題はいつもつきまといます。でも、昔から「二兎追うものは一兎をも得ず」ともいいます。新しい方法論は常に刺激的ですが、本当に両立が可能なのかは、今後の活動を注目していくしかありません。

個人的な例で申し訳ないのですが、実務経験のない建築ではなく、今の仕事でも効率性と固有性の壁を実感できます。早く正確に出すことを目標に、標準化やデータのユニット化を今まで何回も改善プロジェクトでやってきましたが、なかなかうまくいっているとは言えない状態です。より良い完成度を目指してこだわっているとどうしても時間がかかってしまい、そうこうしているうちに工程日限を迎えて、良くもないけど悪くもない、問題はないからこれでいこう!となってしまいます。
(こんなこと言っていいのか・・・。)

僕なんかはこの程度なのですが、一人すごい人物がいます。
実装するべき用品リストをじぃ〜っと眺めていたかと思ったら(けっこうな時間にらめっこしています)、マウスをおもむろに動かし始めるやいなや、ババーっと図面を描き上げてしまうのです。しかも、現場でも後戻りがほとんどない。普通の人(僕)なんかは、描きもって、あーでもない、こーでもないとCAD上で配置移動を繰り返してやっとましな図面ができるのですが、道具がCADなのにやり直しを前提とせずに頭の中だけで設計してしまいます。こういう人達が多分、アトリエ派に多いと思うのですが、こういう能力を高める手法では日本の風景を今の社会では変えられないということですね?でも、時代が経つとアトリエ派のは、味のある建築になると思うのですが、完成した後のたたずまい感や気配感が「BUILDING K」からは漂ってこないような気がします。(建築を建てた事ない人間なので、むなしいセリフです。建築そのもので語れる存在に強く憧れます・・・。)

批判的工学主義のプロセスに対してするどい突っ込みが永山祐子さんからありました。
超線形設計プロセスに対して、反復をやめるタイミングをどう決めるのか?というご質問でした。利害関係が出尽くして、体力的、物理的な限界がきてタイミングが決まるとおっしゃっていたことが、結構、ショックで、批判的工学主義のプロセスとしては、まだ完成形ではないんだなと感じました。
批判的工学主義では、皆が共有できる明確な手法を使うのが良しとしているとはいえ、あまりにも普通の出来事で・・・。この説明は藤村さんらしくないというか、藤村さんも人の子なんだなと少し安心?しました・・・。

気になったのが、超線形設計プロセスのデータは、フォーマットなるものが存在するのかどうかということです。すべてゼロの状態で敷地条件から要望までを拾っていくのか、それともある程度までは定型のものが存在して、検討中に項目を付け足していくのか。スタートの地点が違ってくるのでスピードに影響があると思うのですが、ここでも相反する存在どうしを調整していかなければならず、ゼロからだと時間がかかるし、フォーマットがあると、導かれる答えがある程度限定されてきそうですね。

ここで思い出されたのが、宮脇檀建築研究室の建築設計調書です。与条件を整理分析してプランを具現化していくための基礎データだそうです。(出典:『建築知識2006年6月号』P104)
細かな情報を調査して、設計に望むという点では同じだと思うのですが、こういったデータと藤村さんがおっしゃるデータの違いがよく分かりません。与条件と建築模型のアーカイブを対応させているだけではないのかなと思いました。

討議に参加された皆さんも、疑問の声がいろいろとありましたね。五十嵐太郎さんがご指摘されたように、厳しい戦いになりそうです。

でも、今回のような討議の場自体が、藤村さんのデータベースに取込まれている気がします。次回の講演会等では、今回指摘された部分が分析されて、さらに隙のないマシンガントークが炸裂しそうですね(笑)。

・関連項目
藤村龍至の批判的工学主義を問う!(藤村龍至vs松田達)[3/5]
(2010年7月 9日公開)

連載紹介

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