コンペの状況を聞けるのって、エキサイティングですねっ!
まるで、自分も参加しているようで楽しんで聞けました。それにしても、最終審査まで残られた皆さんは、レベルが高いです。どれも聞いていてワクワクしました!
ラジオを聞いていると、普段は、とても視覚に頼って生活しているんだなと、認識できます。TEPCOのコンペはとても面白いものでした。視覚で得る印象と聴覚で整理した情報は、本質への近づき方が違うように思いました。
審査員の方々は、結構、耳からの情報に影響されるのですね。天井裏と言ってしまうと、「なんだ、天井裏か」って思ってしまうのですが、天井の物からジェンダーが滲みでてくると言われると、面白そうな印象になります。ラジオを聞いた後に各提案を見ると、まったく印象が違いました。僕がみると、天井案はとても楽しそうな雰囲気に見えます。
言葉が少ないプレゼン資料からは、それをどう読み取るかという感性により、読み取る人によって提案の広がり方が違ってきます。それを、言葉で説明してしまうと、「なあんだ」という反応に変わってしまうことが僕の場合はあります(苦笑)。すべてが見えていないけど、可能性が見えるという提案が、提案部門のプレゼンでは評価されるのかもしれませんね。
(知ったかぶり・・・・。)
「ジェンダーを考える家」というテーマが難しかったかどうかの質問は、参加者の・・・、もっと広い範囲で言うと、男女間のジェンダーに対する感覚が浮き彫りになりましたね。とっかかりとして男子学生がまず、することは、ジェンダーについてインターネットで調べることです。僕自身、「ジェンダーって何?」という状態から入りました。男子学生にとって、ジェンダーへの意識は多分ほとんどなくて、まずジェンダーの意味そのものを調べないといけません・・・。ところが、唯一選出の女子学生は、学食の食器サイズへの違和感(学食のおばちゃんは食器の使い分けが面倒じゃないのでしょうか?)など,経験を元にしたジェンダーへの意識をすでに持っていました。実感としてあるんです。ジェンダーへの意識を拾い集めなくてはならない人と、常に意識がある人とでは、コンセプトを導く視点が違うように思います。
まず、ジェンダーへの意識がなかった人の案は、異性との距離感や気配感、異性を意識させる物の操作、異性を意識させる空間構成、既に異性ごとに分けられていた場の再構成など、異性への直接的な態度を誘発させる提案が多いように思いました。社会や文化的に分けられた性というよりも、直接的な(生物学的な)男女の存在を核とした提案です。女の人は髪が長い方が良くて男の人は短い方が良いだとか、女の人はスカートをはくべきだとかいったジェンダー観ではなく、この距離に異性がいたら緊張するよねとか、デリケートな場が近接したら妙に異性を意識するよねといったような「女の人」や「男の人」そのものの存在を誇張させるような空間の提案です。
一方、常にジェンダーへの意識がある人の案は、社会や文化的に分けられた性への感覚を、建築的な要素に置き換えて空間を構築しています。今回は、阿部妙子さんの「違和感」がそれにあたります。プレゼンや、最後の一言を聞いていて一番説得力を感じたのが阿部さんの声でした。経験を元に話されていて、僕でも「ありそう」と納得できるものがありました。そして、建築的な要素である開口部を使って、日頃、感じている「違和感」を建築的に翻訳して提案されています。直接、異性を感じる構成ではなく、間接的なものへと変換しているんです。ジェンダーについて感じていることと同じような感覚を得ることが可能な空間構成を提案しています。それは、抱いている違和感を心地良く思っていない証だと思います。変換して扱わないと直視する度に嫌な思いをするという意識があるためでしょうか。そういう本心が見え隠れするのですが、建築言語に翻訳できているというのは、やはり他の提案よりもレベルが高いと思いました。不在の存在を意識させるという視点が面白いです。
ただ・・・、
常にジェンダーへの意識がある阿部さんがジェンダーに対して抱いている視点は、ネガティブな方向へ向いていますよね?せっかく変換しているのに、ベクトルを変えずにネガティブなまま変換してしまうと、果たして住宅として成り立つのかどうかという疑問を持ちました。コンペの題名を改めてみてみると、「第13回TEPCO快適住宅コンテスト提案部門」とあります。
プレゼンをラジオで聞く限り、この住宅は、なんだかストレスがたまりそうな雰囲気を感じてしまいます。そもそも違和感ですし。違和感が心地良く感じるという状況は、ありえないのでしょうか・・・・。こうは言ってますが、自分が一から提案できるかというと・・・・。ただ、このコンテンツを聞くことによって、一緒にコンペに参加しているような感覚になれました。本当に勉強になります。その他の学生のプレゼンも、その住宅に住んでいると常に悩んでいないといけないような印象を受けます。「ジェンダーを(楽しく)考える家」とか、「ジェンダーを(たまに)考える家」の方が「快適」という感覚につながるような気がします。
審査員の方々のお話を聞くと、あえて、お題に沿った提案ではないものを提案する手法もあるんだなと思いましたが、(でも、他のお題のコンペ案を流用した感じに見える提案があるようでしたね・・・。よほどの案でないと自爆の可能性がぁ。)個人的には、なにをもって快適と感じるかの個人差はあるにしても、住宅は快適であって欲しいと思います。「快適」という言葉を考えるだけでも、難しいですね。ジェンダーを意識させるか、無意識にさせるかも悩みますし、しかも快適である住宅。快適ってなんだぁ〜!?ぐぉぉ〜!
こうやって考えて行くと、住宅ってリラックスするべき場所なのでしょうか?それとも、楽しい方が良い?それとも、ただ安全に寝れる場所であれば良い?せっかくお金を払って住む住居であれば、ユートピアのような世界がそこにあって欲しいですよね。でも、そういう目標はあるのだけれど、善は悪の存在で際立つのと同じで、違和感と同居させる幸福感を導ける住宅が理想でしょうか。文化的なジェンダーに気づいて見つめたあとに、どう対処するのか。日本の建築は、日本のジェンダー観が抱える問題を見つけ、そして解決できるのか。ここからまた、一歩先に進んでいけるといいですね。
・関連項目
第13回 TEPCO快適住宅コンテスト提案部門
TEPCOインターカレッジデザイン選手権公開審査会 1
プレゼンテーション前編
第13回 TEPCO快適住宅コンテスト提案部門
TEPCOインターカレッジデザイン選手権公開審査会 2
プレゼンテーション後編
第13回 TEPCO快適住宅コンテスト提案部門
TEPCOインターカレッジデザイン選手権公開審査会 3
公開討議 前編
第13回 TEPCO快適住宅コンテスト提案部門
TEPCOインターカレッジデザイン選手権公開審査会 4
公開討議 後編
まるで、自分も参加しているようで楽しんで聞けました。それにしても、最終審査まで残られた皆さんは、レベルが高いです。どれも聞いていてワクワクしました!
ラジオを聞いていると、普段は、とても視覚に頼って生活しているんだなと、認識できます。TEPCOのコンペはとても面白いものでした。視覚で得る印象と聴覚で整理した情報は、本質への近づき方が違うように思いました。
審査員の方々は、結構、耳からの情報に影響されるのですね。天井裏と言ってしまうと、「なんだ、天井裏か」って思ってしまうのですが、天井の物からジェンダーが滲みでてくると言われると、面白そうな印象になります。ラジオを聞いた後に各提案を見ると、まったく印象が違いました。僕がみると、天井案はとても楽しそうな雰囲気に見えます。
言葉が少ないプレゼン資料からは、それをどう読み取るかという感性により、読み取る人によって提案の広がり方が違ってきます。それを、言葉で説明してしまうと、「なあんだ」という反応に変わってしまうことが僕の場合はあります(苦笑)。すべてが見えていないけど、可能性が見えるという提案が、提案部門のプレゼンでは評価されるのかもしれませんね。
(知ったかぶり・・・・。)
「ジェンダーを考える家」というテーマが難しかったかどうかの質問は、参加者の・・・、もっと広い範囲で言うと、男女間のジェンダーに対する感覚が浮き彫りになりましたね。とっかかりとして男子学生がまず、することは、ジェンダーについてインターネットで調べることです。僕自身、「ジェンダーって何?」という状態から入りました。男子学生にとって、ジェンダーへの意識は多分ほとんどなくて、まずジェンダーの意味そのものを調べないといけません・・・。ところが、唯一選出の女子学生は、学食の食器サイズへの違和感(学食のおばちゃんは食器の使い分けが面倒じゃないのでしょうか?)など,経験を元にしたジェンダーへの意識をすでに持っていました。実感としてあるんです。ジェンダーへの意識を拾い集めなくてはならない人と、常に意識がある人とでは、コンセプトを導く視点が違うように思います。
まず、ジェンダーへの意識がなかった人の案は、異性との距離感や気配感、異性を意識させる物の操作、異性を意識させる空間構成、既に異性ごとに分けられていた場の再構成など、異性への直接的な態度を誘発させる提案が多いように思いました。社会や文化的に分けられた性というよりも、直接的な(生物学的な)男女の存在を核とした提案です。女の人は髪が長い方が良くて男の人は短い方が良いだとか、女の人はスカートをはくべきだとかいったジェンダー観ではなく、この距離に異性がいたら緊張するよねとか、デリケートな場が近接したら妙に異性を意識するよねといったような「女の人」や「男の人」そのものの存在を誇張させるような空間の提案です。
一方、常にジェンダーへの意識がある人の案は、社会や文化的に分けられた性への感覚を、建築的な要素に置き換えて空間を構築しています。今回は、阿部妙子さんの「違和感」がそれにあたります。プレゼンや、最後の一言を聞いていて一番説得力を感じたのが阿部さんの声でした。経験を元に話されていて、僕でも「ありそう」と納得できるものがありました。そして、建築的な要素である開口部を使って、日頃、感じている「違和感」を建築的に翻訳して提案されています。直接、異性を感じる構成ではなく、間接的なものへと変換しているんです。ジェンダーについて感じていることと同じような感覚を得ることが可能な空間構成を提案しています。それは、抱いている違和感を心地良く思っていない証だと思います。変換して扱わないと直視する度に嫌な思いをするという意識があるためでしょうか。そういう本心が見え隠れするのですが、建築言語に翻訳できているというのは、やはり他の提案よりもレベルが高いと思いました。不在の存在を意識させるという視点が面白いです。
ただ・・・、
常にジェンダーへの意識がある阿部さんがジェンダーに対して抱いている視点は、ネガティブな方向へ向いていますよね?せっかく変換しているのに、ベクトルを変えずにネガティブなまま変換してしまうと、果たして住宅として成り立つのかどうかという疑問を持ちました。コンペの題名を改めてみてみると、「第13回TEPCO快適住宅コンテスト提案部門」とあります。
プレゼンをラジオで聞く限り、この住宅は、なんだかストレスがたまりそうな雰囲気を感じてしまいます。そもそも違和感ですし。違和感が心地良く感じるという状況は、ありえないのでしょうか・・・・。こうは言ってますが、自分が一から提案できるかというと・・・・。ただ、このコンテンツを聞くことによって、一緒にコンペに参加しているような感覚になれました。本当に勉強になります。その他の学生のプレゼンも、その住宅に住んでいると常に悩んでいないといけないような印象を受けます。「ジェンダーを(楽しく)考える家」とか、「ジェンダーを(たまに)考える家」の方が「快適」という感覚につながるような気がします。
審査員の方々のお話を聞くと、あえて、お題に沿った提案ではないものを提案する手法もあるんだなと思いましたが、(でも、他のお題のコンペ案を流用した感じに見える提案があるようでしたね・・・。よほどの案でないと自爆の可能性がぁ。)個人的には、なにをもって快適と感じるかの個人差はあるにしても、住宅は快適であって欲しいと思います。「快適」という言葉を考えるだけでも、難しいですね。ジェンダーを意識させるか、無意識にさせるかも悩みますし、しかも快適である住宅。快適ってなんだぁ〜!?ぐぉぉ〜!
こうやって考えて行くと、住宅ってリラックスするべき場所なのでしょうか?それとも、楽しい方が良い?それとも、ただ安全に寝れる場所であれば良い?せっかくお金を払って住む住居であれば、ユートピアのような世界がそこにあって欲しいですよね。でも、そういう目標はあるのだけれど、善は悪の存在で際立つのと同じで、違和感と同居させる幸福感を導ける住宅が理想でしょうか。文化的なジェンダーに気づいて見つめたあとに、どう対処するのか。日本の建築は、日本のジェンダー観が抱える問題を見つけ、そして解決できるのか。ここからまた、一歩先に進んでいけるといいですね。
・関連項目
第13回 TEPCO快適住宅コンテスト提案部門
TEPCOインターカレッジデザイン選手権公開審査会 1
プレゼンテーション前編
第13回 TEPCO快適住宅コンテスト提案部門
TEPCOインターカレッジデザイン選手権公開審査会 2
プレゼンテーション後編
第13回 TEPCO快適住宅コンテスト提案部門
TEPCOインターカレッジデザイン選手権公開審査会 3
公開討議 前編
第13回 TEPCO快適住宅コンテスト提案部門
TEPCOインターカレッジデザイン選手権公開審査会 4
公開討議 後編