建築系ラジオ: 検索結果

「地方建築家のロールモデルを考える」と一致するもの


今回でこのアンケート企画は最終回になります。実に50人近くの方からのご回答をいただくことができました。皆様の回答が、2010年の建築系ラジオを振り返ることにも、これから建築系ラジオを聴き始めるリスナーの方へのおすすめコンテンツの紹介にもつながっていく、有意義な企画に出来たと思います。最終回の今回もまた、回答者それぞれの視点から多様な回答が挙げられています。(関口達也)

<質問>
(a):2010年に建築系ラジオのコンテンツとして配信された音声ファイル(ポータルサイト、Labr4)やツアー、イベントなどから、最も印象に残ったものを、ベスト5(もしくはベスト10)として挙げて下さい。
(b):上記に関連する文章を自由に記述して下さい。

<回答者一覧>(その3)

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後藤連平木崎美帆山崎泰寛平郡竜志尾崎龍一留目知明伊藤史哉針貝傑史片田江由佳渡辺秀哉田中元子谷村仰仕(順不同)
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後藤連平(architecturephoto.net 編集者/発行者)


第1位 藤村龍至の批判的工学主義を問う!(藤村龍至vs松田達)(全体討議・全5回)

第2位 書物の現在と未来(全体討議・全7回)

メディア的な活動をしている者としては、どのタイミングでコンテンツが発信されるかという点が気になります。同じ内容でも、それが一カ月はやくても、または、一か月遅くても、視聴者にとっての受け取られ方は変わるはずです。以下に挙げさせていただいた、二つのコンテンツは、まさにベストなタイミングで企画され、発信されたという点で(内容はもちろんですが)印象に残っています。


後藤連平(ごとう・れんぺい)
architecturephoto.net編集者/発行者。architecturephoto.netはひと月の訪問者数約17万の建築・デザイン・アートの新しいメディアです。

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木崎美帆(建築系ラジオスタッフ)


第1位 建築系フォーラム2010「地方建築家のロールモデルを考える」(全2回)
ある意味、地方都市のような場所に大学があるのも手伝い、このテーマはとても興味をそそられたものの一つです。海外ではメトロポリタンシティが必ずしも建築家にとって有利な土地とは限らないということ、東京もある種の地方都市と言えるのではないかという発想の転換。地方都市に実際に拠点を置いている建築家の生の声。どれもが新鮮で、ハッとさせられる内容でした。東京に縛られていた私に、新しい選択肢を教えてくれました。

第2位 Archi-TV2010 総括──26時間を振り返って(全3回)
田町の建築会館で行われたArchi-TV2010の打ち上げでの収録です。これは私が初めて参加した学校外のworkshopなのですが、当日その場に行かなくても、twitterやUstreamを通して、リアルタイムに参加できるという、新しい構成をとっています。従来のworkshopとは違い、様々なメディアを使って行っていて、このような形で建築に関わることができるのかと、とても衝撃を受けました。現代社会に対応した、新たな可能性を秘めているのではないでしょうか。建築系ラジオも、ネットを媒体とするメディアです。ぜひ、いろんな方に聴いて欲しい内容です。

第3位 東京理科大学TUSAインタビュー(全2回)
私が実際に参加していたTUSAへのインタビューです。東京理科大学理工学部建築学科という肩書をもつ学生の「らしさ」とはなにか、参加者が熱く語っています。理科大生「らしさ」、さらには自分「らしさ」について、改めて考えさせられた内容です。客観的に自分を見つめるいい機会になりました。

第4位 東京理科大学建築教育論(全3回)
今まであまり疑問を持たなかった教育について、初めて真っ向から意識したきっかけとなりました。与えられたものをただこなすのではなく、常に疑問を持ち、いかにそれを改善するのか、そして現状を批判するだけで終わらず、そこからいかに新たな可能性を見出すのか。しっかり考えなければいけないな、と感じさせられました。

第5位 50C: 建築女子ガールズトーク「おしゃれと建築」(Lab
建築学科の学生の女の子がどのような生活をしているのか、前から気になっていたので、リアルな声が聞けてよかったです。「井の中の蛙大海を知らず」ならぬ「大海を埋め尽くせ」という橋本さんの発言が斬新でおもしろかったです。ぜひ今度は全国の建築女子を巻き込んでのガールズトークを聴いてみたいです。


木崎美帆(きざき・みほ)
1991年千葉県生まれ。9〜12歳をイギリス南部で過ごす。9年間女子校。東京理科大学理工学部建築学科1年。趣味:音楽鑑賞、ライブ、読書。なんでも知りたい。なんでもやりたい。いろんな人と話したい。ちょっとずつ実現に向けて邁進中。

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山崎泰寛(建築ジャーナル編集部)


第1位 コメント:「山崎泰寛インタヴュー 建築外からのモチベーション 保健室から建築へ」の感想です -[r4]-
それほど熱心なリスナーではないので、回を挙げることは難しいのですが、ひとつ、ぜひ書き記しておきたいことがあります。それは、私の収録回に対する感想を、コメントとしていただいたことで、2010年10月14日に公開されたものです。自分が話したことについて文字で感想が残される。情報には受け手が存在するということをはっきり感じさせてくれた、とてもうれしい出来事でした。Twitter的な即時性は追わずに、配信から時間差があるのも面白いと思います。そもそもラジオというメディアは受容するのに時間が必要で、かつ音が脳に直接飛び込んでくるメディアだという意味で個人的経験です。
コメントが、誰もがいつでも読める状態で残されていることは、出演者はもちろん、建築系ラジオというメディアにまだ親しんでいない(=未来の)リスナーにとっても、何らかの手がかりになるのではないかと思いました。


山崎泰寛(やまさき・やすひろ)
1975年生まれ。編集者。横浜国立大学大学院教育学研究科、京都大学大学院教育学研究科修士課程修了。SferaExhibition/Archiveを経て、建築ジャーナル編集部勤務。ROUNDABOUT JOURNAL共同主宰。論考に「都市は学校でつくられる」(10+1 No.29、INAX出版、藤村龍至と共著、2002)、「『つくる世代』の叫びを聞け」(『建築都市ブックガイド21世紀』、彰国社、五十嵐太郎編、2010)など

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平郡竜志(建築系ラジオスタッフ)


第1位 テン年代の建築を考える(全体討議・全7回)

第2位 伊藤豊雄「消費の海に浸らずして新しい建築はない(1989)」を読む(全2回)

第3位 西村浩×山崎亮「自走力のデザインメソッド」(全4回)


平郡竜志(へぐり・たつし)
1988年生まれ。国立明石工業高等専門学校建築学科卒。立命館大学理工学部環境都市系所属。2級建築士。趣味、バイク、ハンドボール。

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尾崎龍一(建築系ラジオスタッフ)


第1位 伝説のトーク「梅林克×山田幸司」(全2回・Lab

第2位 テン年代の建築を考える(全体討議・全7回)

第3位 都市建築へ(中庭をめぐって)(全3回)

第4位 「失敗」をめぐって(全3回)

第5位 藤原徹平×西村浩「下関市川棚温泉交流センターのプロセスから」(全5回)


尾崎龍一(おざき・りゅういち)
1988年愛知生まれ、埼玉育ち。多摩美術大学環境デザイン学科所属。性格、肯定しがち

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留目知明(建築系フリーター)


第1位 「Japanese Junction 2010」展レヴュー(全5回)

第2位 豊田高専SD研究部インタビュー──高専ってどんなところ?

第3位 建築系フォーラム2010「海外経験は地方活動とどう関係しているのか?」(全2回)

第4位 せんだいスクール・オブ・デザイン04──第1期受講生が語る、SSDに期待すること

第5位  Interview with an architecture student from Norway

私が建築系ラジオをフォローし始めるきっかけとなった、「「Japanese Junction 2010」展レヴュー」は、想い入れ深いコンテンツとして第1位に挙げたい。建築系ラジオ配信を聞きながら、毎回の出演者プロフィールを拝見することが私の密かな楽しみだ。「よくこんなにも、いろいろな地域から、いろいろな経歴の方々が出演/サポートしているものだ」、と。そんな状況で配信される各コンテンツは、同様の枠には収まりきらない、活動ごとの即興的スピード感でもって、「新鮮」の一言である。と同時に、建築系ラジオならではのラフさや、ユーモアを交えた会話は、建築の話だけにとどまらない、"建築周辺"の話が聞ける機会として貴重だろう。そんな中心性のなさが、現代的メディアとして楽しめるところでもある。「豊田高専SD研究部インタヴュー──高専ってどんなところ?」はそんな"建築周辺"のトピックとして、これまで考えてもみなかった事なだけに、興味深い。「建築系フォーラム2010「海外経験は地方活動とどう関係しているのか?」」、「せんだいスクール・オブ・デザイン」シリーズにみられる、"地域"性とその領域拡張的な視点/議論は、私自身の体験(地方出身、海外留学経験)に照らし合わせながら、実感を持って考えさせられたコンテンツであった。特に、「建築系フォーラム2010」での、アイコン建築と地域性の議論は、2つの異なる(と思っていた)議論が不意に連結し、刺激的であったと記憶している。そして、これらのコンテンツが日本国外の方々にとっても楽しめると想像するだけに、「Interview with an architecture student from Norway」のような、海外向けコンテンツの展開に今後期待したい。


留目知明(とどめ・ともあき)
1984年岩手県生まれ。2007年宮城大学事業構想学部デザイン情報学科卒業。2009年イーストロンドン大学修士課程(University of East London, MArch)修了。Japanese Junction展キュレーター、現在、ロンドンを拠点に活動中。

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伊藤史哉(名古屋建築学生団体ゼロワン元代表)


第1位 スタッフ討議──大学間の差異と共通点

第2位 twitterの現在をめぐって(建築系twitterオフ会)(全体討議・全6回)

第3位 インターンシップ・オープンデスクで考えたこと、感じたこと(全2回)

第4位 ダンボール茶室から考える建築とアートの可能性──一周忌を期に、初代コアメンバー山田幸司さんを振り返る

第5位 書物の現在と未来(全体討議・第6回)

第6位 建築系大学3年生のための合同設計展「でらa展」を終えて──名古屋建築学生団体1/0(ゼロワン)インタビュー(全体討議・第6回)

第7位 Archi-TV2010総括──26時間を振り返って(全3回)

第8位 建築系フォーラム2010「地方建築家のロールモデルを考える」(全2回)

第9位 東京のイメージ──ぼくたちの東京論

第10位 『伊勢神宮 魅惑の日本建築』レビュー

今回僕が建築系ラジオのコンテンツベスト10を決めるにあたり「学生」「地方」「媒体」の3つの語を軸に選定させて頂きました。

「地方」
建築学生においての「地方」そして対極におかれている「東京」。尽きる事の無いこの議論は、多くの建築学生と同じく地方で学び、東京に対してある種の感情を抱いている僕にとっても関心の高い論題です。それらを主とし議論展開を行う「地方建築家のロールモデルを考える」「僕たちの東京論」を選出。その中での「僕たちの東京論」は、キャッチーなコンテンツ名、東京に対する直接的な意見に共感する点はもとより、多様な視点を通して新しい東京像を観る事が出来ました。

「学生」
そして「大学間の差異と共通点」「インターンシップ・オープンデスクで考えたこと、感じたこと」の2つのコンテンツは学生活動を中心とした議論であり、普段は感じたり意識したりする事が出来ない他大学の雰囲気や建築活動、個人の思想において表面的な事では無く本音を語るその内容は「地方」に住む僕に多くの影響を与えてくれました。

「媒体」
そして地方学生にとって重要であろう情報の発信を行う「媒体」。ここ数年、大きく変遷しつつあるこの分野を語る「書物の現在と未来」「twitterの現在をめぐって」。上記2つの議論は大変興味深く拝聴しました。数千年にも及び、記録媒体として台頭してきた紙の優位性が電子媒体の出現によって大きく崩れる中、これらの取り巻く環境をいくつかのカテゴリーに分けて討論されることで、媒体の新しい可能性について考えさせられました。特にtwitterに関しては僕自身も建築クラスタとの共有ツールとして活用しており、Twitter使用以前と以後では、身を持って建築環境の変化を体感しています。ラジオでも触れられているように、情報や交流の面において劣る地方学生には無くてはならない存在ではないでしょうか。
その他のコンテンツは、私が所属する学生団体主催の設計展「建築系大学3年生のための合同設計展「でらa展」を終えて」や、恩師である故山田幸司氏の遺作「段ボール茶室から考える建築とアートの可能性」。私の出身、三重県にある伊勢神宮を取り上げた「伊勢神宮魅惑の日本建築」と、個人的に所縁のあるコンテンツを選出しました。

「建築系ラジオの魅力」
是非聞いて頂きたい点と、僕の拙い文章ではコンテンツの内容を伝えきれない点から漠然とした文章となっていますが参考にして頂ければ幸いです。生まれながら不況世代の僕たちは莫大な情報に飲み込まれ、どこかリアリズムを好み、閉塞感漂うこの国に息苦しさも感じつつも、突出するのを避け集団主義に走る傾向みられます。テレビや新聞等のメディアも偏見や思想が色濃く現れ、それらを批判するネット社会でも虚偽や中傷が蔓延しています。ゆとり世代と揶揄され、不合理や矛盾に苛まれる中、建築系ラジオの僕たちに向けられた問いかけはリアルで身近な媒体として、指針となるべく存在感があるのではないでしょうか。それは編集されてない収録そのままの出演者の声が、造られたモノでは無く「生まれきた」モノであるからこそであり、僕はこの建築系ラジオの普遍的な暖かさに魅力を感じています。
これからどのような議論が生まれ成熟していくか、様々な可能性を秘めた建築系ラジオをこれからも聞き続けたいと思います。


伊藤史哉(いとう・ふみや)
1988年三重県生まれ。大同大学工学部建築学科4年中島貴光研究室所属。名古屋建築学生団体ゼロワン元代表。3年生のための合同設計展「でらa展」実行委員長。今年度より中国、北京の設計事務所に勤務。twitterアカウント @fumiya3

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針貝傑史(Archi-TV2010代表)


第1位 藤原徹平×西村浩「下関市川棚温泉交流センターのプロセスから」(全5回)
藤原さん独特の語り口で建築と環境の擦りあわせ方が語られています。学生時代の仮設建築の経験が「リアリティの身体化」につながっていることはとても新鮮なお話でした。共有するために積み重ねていく事とジャンプする事のバランス、そこで必要な瞬発力。海外でのプロジェクトで培われた論理的な構築力によって、ネガティブチェックから推進力へと変容する学問の有効性。それらは現代における建築家の職能だと感じました。それにしても、建築って面白そう。そう素直に思える放送です。

第2位 高橋堅インタヴュー 円環するパースペクティヴr4
ロンシャンの礼拝堂を高橋堅さんがジャケットを着て訪れたときの体験と「弦巻の住宅」についての共通項を〈パースペクティヴ〉〈構成〉という言葉で語られています。難解なテーマですが、なかなか気付くことのない建築と人の複雑な関係にふと気付かせてくれます。建築の見方を大きく変えてくれるようなお話です。

第3位 世界の新しい美術館と皇居美術館(全5回)


第4位 高橋堅さんと装飾を語る
高橋さんが設計されたBRASS CLINICについて階調をキーワードに語られています。装飾でない階調とは如何なるものか。「わいせつ」のように、判断が難解である装飾という言葉から話は始まり、ガウディの建築、スカルパの建築、そして日本建築へと話は「階調」をテーマに展開していきます。否定的に捉えられがちな装飾ですが、これを機に皆さんも考えてみてはいかがでしょうか。

第5位 寳神尚史、原田麻魚インタビューArchi-TV2010「銀茶会ワークショップ」
学校の設計課題と実際的に建築することの間に存在する大きなギャップ。設計者の人数、クライアントの存在、検討事項の内容といった、様々な事柄が普段とは異なるワークショップを通じて、建築家の職能、そして建築をつくるということはどういうことなのかを目の当たりにし、衝撃を受けました。ここでは実際に使用することを目的とした野点空間を制作するにあたり、男性班と女性班の2チーム編成で行われたワークショップの様子が描かれています。性別で分けられるという禁欲的な状況下において、果たしてどのようなクリエーションが生まれているのか。講師である寳神尚史さんと原田麻魚さんが合意形成の方法、個人の行動、決定案に至るまでのプロセスといった様々な視点で性差を分析されています。


針貝傑史(はりかい・たけし)
1988年生まれ。東京理科大学大学院修士過程小嶋一浩研究室所属。TUSA2008代表、Archi-TV2010代表。ポスター、家具など色々とモノづくりが好き。twitterアカウント @t_harikai

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片田江由佳(建築系ラジオスタッフ)


第1位 北川啓介のもうひとつの建築設計資料集成!円山町ラブホテルデート編

第2位 カリスマガールと建築デート(シリーズ)

第3位 交通から都市と建築を考える(第5回カルチベートトーク)(全4回)

第4位 瀬戸内国際芸術祭2010・総括(全2回)

第5位 藤原徹平×西村浩「下関市川棚温泉交流センターのプロセスから」(全5回)




片田江由佳(かたたえ・ゆか)
1986年福岡生まれ。福岡大学卒。東京理科大学大学院 伊藤香織研究室所属。福岡の都市戦略を研究中。地方都市と市民と建築に斬りこむ研究職を目指しています。

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渡辺秀哉(建築系ラジオスタッフ)


興味の赴くままに順位を選んでいて、ふと思ったのが、どうやら自分の興味の対象は、建築の周囲にある事象や状況、人の考え方に興味が向いているようです。その興味の対象で順位を選んでみました。

第1位 建築家をあきらめろ!建築学科卒、だけど仕事は建築以外。 (全体討議・全6回)
「建築家という職能の定義の仕方が重要となる。建築家という枠は外れていないこと」
という言葉に打たれる。建築を継続する、あるいは辞めても、自分の考え方の根底に建築学をおこうと思うようになった。

第2位 書物の現在と未来(全体討議・全7回)
「リアルな書店のへ、生身の人間を呼んで、人をひきつける(グラビアや読書会etc..)」
これが今後の各々のリアル書店の個別化、差異化へつながるのかと。

第3位 テン年代の建築を考える(全体討議・全7回)
「本当の魂の部分ってのは、なかなか手に入らないんですよ。それをこれからのテン年代の人たちにはやってもらいたい」
ぼくは、そんなに強い人間ではありません。そのような魂を持った'強い'建築家が生まれていくのを見守っていこうと思います。いずれにせよ、テン年代に期待を込めて。

第4位 twitterの現在をめぐって(建築系twitterオフ会)(全体討議・全6回)
「建築に関わっている人の職能って出会いをコーディネートするのがすごく上手なんですよ。」
twitterでの関わり方をもっともっと真剣に考えようと思います。素敵な人と素敵な人が出会うのは、素敵です。。

第5位 建築系ラジオへの質問(全2回)
「活字離れを背景に.../建築系ラジオを経由して、また書籍に戻って欲しい。本とか雑誌を応援したいなっていう理由でやってる。」
なるほど!共感します。ネット配信型ラジオによって、知識が全国フラットに共有できるところが建築系ラジオの魅力の様に思います。


渡辺秀哉(わたなべ・しゅうや)
1983年北海道生まれ。2006年日本大学理工学部海洋建築工学科 卒業。2008年日本大学大学院理工学研究科海洋建築工学専攻修了。フリーで活動後、2009年~office toyodaに勤務。

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田中元子(ライター/クリエイティブファシリテーター)


建築系ラジオに関わったことも、聴いたこともほとんどない。そんな立場からこのアンケートに答えるのは抵抗があるけれど「建築系ラジオ」の存在に敬意を表す意味で、無理矢理にでも何か書こうと思います。だからといって全部聴く時間はないし、これからも多分あまり聴かない。理由はいくつかあるけど、実は私はパソコンを音声再生にはほとんど使っていないんです。大好きな音楽だって、パソコンやiPhoneは全く入れていない。つまり好きだとか嫌いだとか以前の問題が、聴けていない理由です。
そんなわけでリスナーではないので誠に僭越ですが、とても真面目に熱心に、マメに、そして正直に配信を続けている姿勢は、少しは見知っているつもりで、頭が下がる思いです。加えて、ラジオの存在からさまざま なコミュニケーションが派生していること、いろんな人の(特に松田くんの!)モチベーションが高まるという意味でも、貴重な存在と思います。そこで、今回は2010年4月から現在までのアーカイブだけざっと眺めて「あ、これは聴いてみたいな」と思えた求心力コンテンツ、ベスト5を挙げてみようと思います。スキャンダラスな回に票を入れることを期待されていたとしたら、全く空気を読んでいないリストかも知れません、ごめんなさいね。いやしかし改めて、すごいメンツですねえ。刺激的ですねえ。みんな仲良さそうだなあ笑。こりゃ作っている人は相当楽しいだろうなと思います。楽しんで作るって大事なことですよね。

交通から都市と建築を考える(第5回カルチベートトーク) (全体討議・第4回)
建築学生諸君は将来そういうものを作る機会がなかろう=教えたり伝えたりしなくてもよかろう、という流れには異議を持っています。いまだにイラつかない駅や道路は少ないのが現状です。しかも時代によって絶えず変化が求められるものであるはずです。IT社会になろうが人口が減ろうが、人がどこかへ移動することは永遠に続くし、そこがもっと素敵になるために尽力してもいい。それは、設計に参加することだけでなく、どうあるべきか、どんな可能性があるかを考えたり読み解いたりすることから始まると思うから。

・緊急討議 レム・コールハースの現在(r4・全7回)[1][2][3][4][5][6][7]
どんな分野にも、伝説化されて語られるような人物がいます。私はコールハースも建築界において、そのひとりだと思っています。だからこそ聴いてみたいなーと思ったけど、メンバーを見るとあくまで予備知識を豊富に携えたうえであくまでコールハースの「現在」を語る内容になっていそうですよね。書籍だけでなく、他の情報も調べてからじゃないと難しいかなあと、敷居の高さも感じます。

せんだいスクール・オブ・デザイン06──小野田泰明先生インタビュー「都市のコンベンション機能」シリーズ
小野田さんの活動にとても興味があるから。

西村浩×山崎亮「自走力のデザインメソッド」
西村さん、山崎さんの活動にとても興味があるから。

宮城大学事業構想学部中田千彦研究室活動インタビュー(全2回)
中田さんの研究室にとても興味があるから。

ってものすごい月並みなコメントで申し訳ないんですが、本当です。どなたも、建築と何かが混ざる領域で活動されていること、そしてちっぽけな個人、愚衆と見過ごされそうないわゆる大衆ひとりひとりの能動性を信じて引き出しているように見受けられます。私はそういうことにとても関心を持っています。


田中元子(たなか・もとこ)
1975年、茨城県生まれ。2004年、mosaki共同設立。執筆及びディレクションを中心に活動。2007~2008年、co-labクリエイティブファシリテーター。2009年~ 日本建築学会文化事業委員。主な連載に『mosakiのイベント巡礼』(2005~2008|日経アーキテクチュア)、『妻・娘から見た建築家の実験住宅』(2009~|ミセス・文化出版局)。

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谷村仰仕(広島国際大学 建築学科講師)

建築系ラジオの魅力をあえて一言で括るならば、どの言葉が似合うだろうか。私は、エロティシズムという言葉を贈りたい。その心は、妄想を喚起する力が極めて高いからです。エロティシズムは、開きつつ閉じるとか、見せつつ隠すとか、相反する要素が同時に共存した瞬間に宿ると考えます。マルチメディアが当たり前になった時代に、音声のみのメディアを追求するというのは、まさにエロティシズムです。しかし、だからといってこの言葉を贈りたいわけのではありません。最初は、作業をしながら気楽に聞き始めたはずなのに、いつの間にか聞き耳を立て、感情移入したり、一喜一憂したりしている内に、手が止まっている自分に気付きます。そんなとき、建築系ラジオのエロの力にまたしてもやられたと思うわけです。
建築系ラジオのさらなる飛躍を願って、2010年に私が拝聴した中で、特にエロいなーとついつい聞き耳をたててしまったモノを選んでみました。今年も期待しております!

第1位 倉方俊輔、出会い系を大いに語る!
本当に流して大丈夫なのか!?収録していることを忘れているのではないか!?と、聞き手の方が心配してしまうのも建築系ラジオの醍醐味のひとつでしょう。躍動感あふれるトークは、主観(本音トーク)と客観(批評)が交差し、振動するによって生み出されるのだと、真面目に聞き入ってしまいました。また、自白すると、私も出会い系カフェを案内して頂きました。見る側と見られる側の空間の非対称性に衝撃を受けました。ただ、昼間の訪問だったために、語られているようなアクティビティを確認することはできませんでした。

第2位 北川啓介の「無批判的行動主義」の誕生
何かが誕生する瞬間は、とてもエロティックです。語り部は若山滋先生です。クラシックのような明晰な語り口。それとは裏腹に、ロックのような何か新しい概念が最後にポロっと生み出されてしまったところに惹かれます。そして、その誕生の瞬間に立ち会えた!ことに高揚感を覚えました。

第3位 信州大学 鍋田莉江さんと東京カテドラルでデート
建築を学んでいると、建築に開眼する瞬間があります。東京カテドラルを見学する回を聴きながら、やはり開眼する契機として、圧倒的なモノとの出会いは欠かせないなと耽っていました。建築デートは、男/女、教員/学生といった対岸にあるものが、建築に関するトークや共通の体験を介してその距離を徐々に溶かしていく様子に毎回ドキドキワクワクしてしまいます。

第4位 藤村龍至の批判的工学主義を問う!(藤村龍至vs松田達)(全体討議・全5回)
まず、この企画が実現したことに敬意を称します。そして、一連の議論を通じて、建築系ラジオは愛で満ちあふれているなと大変感動しました。初めて、批判的工学主義のレクチャーを拝聴した際は、菊竹さんがいうところの「か、かた、かたち」の各項目に該当する話は極めて明快だけれども、それらがどうつながるのか、といった話になると、ドロンと煙に巻かれた感がありました。その霧が晴れるのか!?と期待してこの回を聴講したところ、残念ながらスカッと晴れる!とまでには至りませんでした。最後の永山祐子さんのコメントは必聴です。

第5位 テン年代の建築を考える(全体討議・全7回)
昼ドラのように、議論は平行線。どこまでいっても噛み合わない。そもそも両者にその気がない。けれども、真剣に想いを言葉に乗せ、ぶつけ合うことで互いの論旨が洗練されていき、新たな境地が生み出されていきます。収録中の出来事が懸け橋となって、他者としての理解が芽生えていく様子がとてもドラマティックでした。議論ってこのためにするのかとその意味がわかったような気がしました。


谷村仰仕(たにむら・たかし)
1975年生まれ。広島国際大学建築学科講師。博士(学術)。2000年 京都工芸繊維大学大学院工芸科学研究科造形工学博士前期課程終了。2003年 京都工芸繊維大学大学院工芸科学研究科機能科学専攻博士課程後期課程修了。2003年より、広島国際大学社会環境科学部建築創造学科助手。2007年から現職。建築数人会、社宅研(社宅街研究会)メンバー。

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<回答者一覧>(その3)

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後藤連平木崎美帆山崎泰寛平郡竜志尾崎龍一留目知明伊藤史哉針貝傑史片田江由佳渡辺秀哉田中元子谷村仰仕(順不同)
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今回で最終回の、「みんなの選んだ建築系ラジオ2010」。こんなにたくさんの人に回答していただけるとは思っていませんでした。この場を借りて、アンケートにご協力していただいた皆様にお礼申し上げます。ありがとうございました。ただのアンケートで終わらせるのではなく、建築系ラジオを振り返って見直すことで、また新たな視点やアイデアを作ることのできる、良い企画にできたと思います。スタッフも増え、更に多様性を増した2011年の建築系ラジオにご期待ください。(大木翔太)



2010年最後を飾るコンテンツは、建築系ラジオ年末アンケート企画第3弾です。多くの方から回答をいただき、ついにこの企画も三回目となりました。今回は建築系ラジオを盛り上げてくれた建築女子のメンバーと、建築系ラジオのコアメンバー・パートナー・スタッフと、建築系ラジオを陰で支えている人たちをメインに、今年一年の建築系ラジオを振り返ります。(大木翔太)

<質問>
(a):2010年に建築系ラジオのコンテンツとして配信された音声ファイル(ポータルサイト、Labr4)やツアー、イベントなどから、最も印象に残ったものを、ベスト5(もしくはベスト10)として挙げて下さい。
(b):上記に関連する文章を自由に記述して下さい。

<回答者一覧>(その3)

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大西麻貴香野あゆみ上篠美里植松千明島矢愛子近藤洋輔彦坂尚嘉川勝真一榎本真希南後由和平山善雄倉方俊輔(順不同)
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大西麻貴(建築系ラジオコアメンバー)


第1位 テン年代の建築を考える(全体討議・第7回)
前田紀貞さんの愛のある叱咤激励に、建築への気持ちを新たにしました。

第2位 書物の現在と未来(全体討議・第7回)
本や、書店に興味があるので、普段聞くことの出来ない話ばかりでとてもおもしろかったです。

第3位 信州大学 鍋田莉江さんと東京カテドラルでデート
カテドラルに入った瞬間、音と共に空間を感じられたのが素晴らしい。

第4位 南泰裕のアーキソフィア(シリーズ)
丁寧で、わかりやすくて、考えさせられます。南さんの声も好きです。

第5位 声に出して読みたい建築論(シリーズ)
大学での勉強会を思い出しました。参加する学生が、予習をしてからのぞむともっと面白くなると思います。


大西麻貴(おおにし・まき)
1983年愛知県生まれ。2006年京都大学工学部卒業。2008年東京大学大学院建築学専攻修了。同年より同大学院博士課程藤井明研究室所属。大西麻貴+百田有希共同主宰。作品=「夢の中の洞窟」(MOT×Bloomberg PUBLIC 'SPACE'  PROJECT 2009) http://oaharchi.exblog.jp/

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香野あゆみ(建築系ラジオスタッフ)


第1位 書物の現在と未来(全体討議・第7回)
私は直接この収録現場で皆さんのお話を聞くことができました。深いところまで話題は進み、盛り上がりました。皆さんの本に対しての愛情をとても感じることができたと思います。私は単純に何故本を読むのかと考えたときに、知識を増やすためだとか、非現実の世界に飛び込むためだとか、人それぞれ違うと思いますが、私は寝る前に本を読むことですぐに眠れるなどといったリラックス効果も生まれてくるのではないかと思います。そのためにはやっぱり私は電子書籍よりも紙で読みたいな等色々考えさせられました。本を読む時間をもっと大切にしていきたいと思います。

第2位 「失敗」をめぐって (全3回)
人は失敗を繰り返して成長していくもの。そうわかってはいるものの、やっぱり失敗して人に迷惑をかけてしまったら、本当に落ち込みます。これを聞くとそんな悩みをみんなで共有している気がしてきて、ちょっと安心しちゃったりします。

第3位 スタッフ討議──大学間の差異と共通点
隣の大学ではどんなことをやっているのだろうと気になることがよくあります。自分の大学にはない面白そうな課題や授業のことを聞くと、ますます自分も頑張らなくてはと喝が入ります。大学の垣根を越えてお互いが感化される場を作り、また全国の離れた学生たちを繋げてくれる建築系ラジオはとても大きな存在だと思います。

第4位 韓国の建築と日本建築の相対化を考える

第5位 「Japanese Junction 2010」展レヴュー(全5回)
日本を飛び出して建築を見に行くことはなかなかできません。また、留学したい!願望の強い方はついついこのコンテンツを聞いてしまうのではないでしょうか。なかなか触れる機会のない海外の大学で行われている教育方法のことを聞くと、世界は広い...と思わず言ってしまいそうになります。留学して活躍している方のお話を聞き、もっと世界を知りたい、もっと世界を体験してみたいと思いました。


香野あゆみ(こうの・あゆみ)
1989年福岡県生まれ。北九州市立大学建築デザイン学科所属。知らない人としゃべるのが好き。イタリアが好き。

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上篠美里(建築系ラジオスタッフ)


第1位 建築系ラジオカードコンペをめぐる討議(全3回)

第2位 書物の現在と未来[5/7]──幅允孝「空間を本で演出する意味とは?」(全体討議・全7回)

第3位 西村浩×山崎亮「自走力のデザインメソッド」(全4回)

第4位 藤村龍至の批判的工学主義を問う!(藤村龍至vs松田達)(全体討議・全5回)

第5位 ノルウェー人留学生Jostein君へのインタビュー



上條美里(かみじょう・みさと)
1989年福岡生まれ。北九州市立大学国際環境工学部建築デザイン学科所属。夕方とフラミンゴが好きです。

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植松千明(建築女子・knot! メンバー)

いつも楽しく建築系ラジオを聞かせていただいています。また、何回か出演させていただき、本当にありがとうございます。建築系ラジオを通して、さまざまな人と出会え、とてもすてきな経験をたくさんさせていただきました。地方で学んでいる私にとって建築系ラジオは、情報源でもあり、モチベーションを保つためのツールです。身近に学生団体を主催している方や建築を学ぶ女の子が少ないので、学生団体や女の子たちのコメントは、とても励みになりました。これからも、さまざまな企画を楽しみにしています。建築以外の多くの方に聞いていただけたらなと思います。今回、気になっている何点かについてコメントをさせていただきました。

第1位 学生時代にやっておくべきこと(全体討議・全5回・r4
非常に参考になる収録でした。就職活動をするか、大学院の進学をするかという問題は一度考える問題です。この収録はとても心に響くものがありました。何度か聞いてしまったくらいです。なかなか、地方にいると進路の情報も少ない中、このような経験談を聞けるという場があることがものすごく助かりました。これからも、このような企画を楽しみにしています!

第2位  土木系ラジオ+建築系ラジオ合同全体討議 (全体討議・全5回)

「土木と建築」
私事になってしまうのですが、私自身、土木と建築とが一緒の学科に所属をしています。ですが、土木のことはほとんどなにもわかりません。しかし、この夏に八潮ワークショップという、5大学で共同設計を行うWSに参加し、公園の基本設計を行いました。参加校のなかの土木学科の茨木大の寺内研究室がいます。設計を行っている際の扱うスケールや視点が建築学科の学生とは違っていて、とても新鮮でした。そのような経験があったので、土木系ラジオにとても興味を持ちました。また、寺内研究室の方から、土木系の学科では意匠論の研究に対して、まだまだ理解が少ないという話を聞いたことがあります。都市において、「ものを創る」といった点で同じものである両者が、改めて互いを理解する事でこのような企画で、少しでも建築、土木両者の穴埋めを期待したいという話も伺いました。両者の接点や差異、またはさまざまな可能性を知る機会ができたのを私自身嬉しく思いました。これからもコラボ企画を期待したいです。

第3位  自由と拘束、自律と他律をめぐって(信州大学設計製図講評会にて)

坂牛先生の収録1「自由と拘束、自律と他律をめぐって」
我がボスの収録を外すわけにはいきません!信州大学は、坂牛先生がいらっしゃってから、先生を筆頭に意匠設計の土壌をつくりあげてきました。意匠設計の勉強する土壌がほとんどないところから、代々の先輩たちが築き上げて来た環境の中で勉強をしています。なので、信州大学は、2年生からM2のみんながとても仲がいいです。その様子と坂牛先生が私たちの個性をのばしてくれる教育が信州大学講評会の収録から伺えると思います。私の自慢の学校の様子をぜひこれからはいる後輩たちをはじめ、意匠研が少ない学校の人たちなど、多くの人に聞いていただけたらと思います!これからも、多くの学校の様子を紹介していただきたいです!また、この収録をきっかけに信州大学の全体のモチベーションはとてもあがったと感じています。建築系ラジオのみなさんには、本当に感謝をしています。ありがとうございました。

第4位  スタッフ討議──大学間の差異と共通点

スタッフ特集「学校間の差異と共通点」
何気ないスタッフの会話が、新鮮でいいなと感じました。学生の活動の収録を聞くたびにとてもモチベーションがあがります。他大学との交流する機会が増え、気軽に他大学のことを知ることができるようになった今、自分の大学の良さやアイデンティティーを改めて考えるいい機会なのではないかと感じました。また、収録でも述べられている共通点がなにかの原動力になればいいなと思いました。

第5位  twitterの現在をめぐって(建築系twitterオフ会)(全体討議・全6回)


第6位  坂牛卓インタヴュー 建築の規則を超えてr4

坂牛先生の収録2「建築の規則を超えて」
坂牛先生の著書、『建築の規則』は、信州大学のデザイン論の教科書でもあり、私の一番好きな建築の本です。建築の規則を読んでからまたこの収録を聞くと、とても新鮮に感じると思います。ぜひ、信州大学の意匠設計を育て上げている先生の話を多くの方に聞いていただきたいです!本の出版を記念しての収録や本にまつわる回の配信は、いつも非常に楽しみにしています。やはり、著者の生の声が聞けるというのは、建築系ラジオの一つの魅力であると感じています。

第7位  建築家をあきらめろ!建築学科卒、だけど仕事は建築以外。(全体討議・全6回)


第8位  声のオープンハウス 1 隈研吾建築都市設計事務所《下関市川棚温泉交流センター》 r4

「想像する楽しさ」 声だけのオープンハウス
一般の方って、どこかで建築家の建てた家って奇抜でどこか住みづらいみたいなイメージを持っているのではないでしょうか。でも、現役の建築家がどのようなことを考えて家を建てているのか。建築系ラジオのよさは、生の声を聞きながら自分で想像できることではないでしょうか。想像してみて、実際に見てみる。そのときに、今まで想像もしなかった建築との新たな出会いがあるのではないかな、と思います。私自身がしたいというのもありますが、多くの方に、そんな出会いをしていただけたらいいなと思いました。

第9位 建築家になる方法(シリーズ・Lab


第10位 カリスマ建築ガールズ(シリーズ・Lab



植松千明(うえまつ・ちあき)
信州大学工学部社会開発工学科建築コース坂牛研究室4年。建築女子、knot!所属。趣味:美術館巡り、映画鑑賞。

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島矢愛子(建築女子メンバー)

まず、選んだ理由として、普段から建築以外にそれを取りまく分野/出来事との繫がりが気になっていてそのような観点から選びました。

第1位 藤村龍至の批判的工学主義を問う!(藤村龍至vs松田達)(全体討議・全5回)
Twitter上で自らをメディア化し、自身の建築論「批判的工学主義」や「超線形プロセス論」用いた建築教育を展開していく藤村龍至氏。この収録を聞くまでは藤村さんがいかなる人であり、いかなる建築論を提示しているのかよく分からず、謎の建築家でした。でも、実際に公開収録へ行き、藤村さんの提唱する建築論を聞いて共感した覚えがあります。

第2位  twitterの現在をめぐって(建築系twitterオフ会)(全体討議・全6回)
身近な「twitter」に関しての公開収録のラジオです。タイトルは一見堅そうですが、twitter著名人による始めるきっかけやtwitterを通してのつながりなど。ほとんど個人の経験から語られているのでへんな理屈っぽさなしに聞く事が出来ました。

第3位  土木系ラジオ+建築系ラジオ合同全体討議 (全体討議・全5回)
美術系、都市系に続き出来た土木系ラジオ。土木も他の系と同様に、建築との関係を切っても切れないと思う中で、実際に土木の実情は全く聞いた事がなくすごく新鮮でした。西村さんが前向きに「土木」を変えようとしている熱い語り口が印象に残ります。

第4位  「Japanese Junction 2010」展レヴュー(全5回)
南洋堂のN+ギャラリーで行われた日本の学生が海外に留学した成果を展示する展覧会。すごく行きたいのに行けなかった展示ですが、海外からスカイプによる作品説明が行われたりと、ラジオを聞くだけでも展示を見るだけでは分からない主催者側や出展者の意図を垣間見る事が出来ました。

第5位  Archi-TV2010総括──26時間を振り返って(全3回)
Archi-TV2010には私自身レビュアーとして参加させて頂きました。私はArchi-TVに元々抱いていた疑問があり、今年のArchi-TVを体験してもこの疑問は払拭されないままでした。この収録で運営側の学生と話してみてArchi-TVに対してどのような事を考えて企画を進めていったのかが明らかになりました。


島矢愛子(しまや・あいこ)
1987年生まれ。日本大学理工学部建築学科4年。Archi-TV2010 RealTimeReview!!!レビュアー。twitterアカウント @aiko0412

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近藤洋輔(建築系ラジオスタッフ)


第1位 都市建築へ(中庭をめぐって)(全3回)
はじめて生で見た討論なので印象がとても強い。コアメンバーも多く参加し、討論もかなり白熱していて、それぞれの性格が表れているような気がする。また、その後も「松田達展」として発展していくことで高いレベルの建築論が語られている。

第2位 西村浩×山崎亮「自走力のデザインメソッド」(全4回)
出演者は、西村浩さん、山崎亮さん、コアメンバーの倉方俊輔さんの3人と比較的少ないのだが、話は次々と発展していく。内容はランドスケープの話題が中心で、地元の人がどう感じるか、何を求めているかなど建築の根源的な目的と、受け入れられた時の喜びを思い起こさせてくれる。

第3位 南研究室・建築デザインレビュー(シリーズ)
学生必見のコンテンツである。私もラジオを聞きながら雑誌を見ている。ついパラパラと見過ごしてしまう記事にもスポットライトが当てられていて新しい発見がある。a+u2月号のアフリカのMMA Architectの回が印象的だ。

第4位 ヴェネツィア・ビエンナーレ─おすすめの展示は?
収録したファイルを現地から送信し、直後に配信した。建築系ラジオのパワーと可能性を再発見する回であった。

第5位 北川啓介のもうひとつの建築設計資料集成!円山町ラブホテルデート編
こんな話は他で聞くことができない。まさにもう一つの建築資料集成で、内容が濃くてレアなコンテンツであった。

私にとっての建築系ラジオ
─建築系ラジオスタッフ以前─
建築系ラジオを聞きはじめたのは2010年6月頃であった。以前から知ってはいたが聞いていなかった。それを聞き始めるようになったのは、建築について知りたいという欲求と、同世代の建築学生はどういう活動をしているのだろうという不安がきっかけである。そうして私はリスナーになった。私にとって建築系ラジオは小説のようなものであった。日々配信されるコンテンツを聞いていくうちに「登場人物」が増えていく。建築系ラジオではツアーが開催されており、そこでの収録も配信されている。私からしたら小説の中の「できごと」であり、物語は重層化されていき、聞いていてわくわくした。そうして建築系ラジオに魅了されて暇さえあれば聞くという状況が続いた。そんな中、衝撃を受けるできごとがおこる。建築系ラジオコアメンバー山田幸司氏の訃報である。配信を聞き進めるにつれて、話し振りなどからその人の性格を推察することができた。会ったり、話したことの無い音声の中の人物であったとしても、とてもさびしい思いをしたことを覚えている。また、不思議な感じがした。自分が聞いたのは配信後かなり時間がたっていたのに、リアルタイムで起こっている事のようにさえ感じられた。中心人物を亡くした後も建築系ラジオは続いていく。

─建築系ラジオスタッフになって─
新しくできた建築系ラジオポータルサイトでスタッフ募集の告知を見かける。私は2日間くらい迷った末メールを送った。これは自分にとってかなり大きな行動であったと振り返ることができる。その直後、松田達さんの展覧会があり、その後の飲み会にも参加した。そこで見る建築系ラジオメンバーの討論はかなり迫力があって感動した。その後、ミーティングや、建築ツアーなどに参加するようになり、私にとって建築系ラジオはライフワークになっている。


近藤洋輔(こんどう・ようすけ)
1990年愛知県生まれ。静岡文化芸術大学空間造形学科所属。趣味は食事、知らない街を散歩すること。

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彦坂尚嘉(建築系ラジオパートナー)


第1位 上村松園展(東京国立近代美術館)建築系美術ラジオ・第3回)
国立近代美術館の上村松園展を見て、藤原えりみさん、糸崎公朗さんらを交えての座談会で、非常にすぐれた美術批評になっていた座談会。評価の高い上村松園を、多角的に論じて、非常に新鮮な収録でした。

第2位  45B:建築系美術ラジオ「新春の集い」建築系美術ラジオ・全4回・Lab
2006年と2008年に開かれた彦坂さんと南さんによる「建築と美術のあいだ」展に併せて開かれたシンポジウム記録を、とりあえずは出版するつもりでゲラまで作成した白濱雅也さん。現在この原稿が(株)彩流社から出版されることになって、編集がはじまっています。その原稿をもちよって、まだ出版社が決まらない段階で開催されて編集会議です。出版の本質をめぐって、本質的な話が展開している良い座談会でした。

第3位 高橋堅さんの「BRASS CLINIC」を訪れる建築系美術ラジオ
『新建築』2010年3月号「リノヴェーション」特集に掲載された「BRASS CLINIC」を設計者の高橋堅さんにご案内いただいて、浦安の病院を見学した放送。真鍮と漆喰塗りの壁、12mm厚のガラス板とモルタルの床で構成された病院です。きれいな建築で、鑑賞構造をもった建築をろんじていて、良い収録になっています。

第4位 バーネット・ニューマン展(川村記念美術館)建築系美術ラジオ・第3回)
バーネットニューマンの美術展を見て直後に論じ合った番組で、批評番組としてすぐれていました。参加してくれた若い人たちの批評眼が新鮮で面白かったです。

第5位 35A:建築系ラジオ緊急謝罪会見「『こたつ問題』欠席裁判」 Lab
こたつ問題そのものが、よくも悪くも今日の建築界のイメージコンペの問題を切り出して、スリリングな展開になった重要な番組シリーズでした。批判もありましたが建築系ラジオの存在と威力をしました良い番組と言えると思います。この放送が伏線になって山田幸司さんの死につながったともいえる、第一期建築系ラジオの頂点だと思います。


彦坂尚嘉(ひこさか・なおよし)
946年東京生まれ。美術家、美術史批評家、ギャラリスト。1970年多摩美術大学絵画科油彩中退。文化庁在外研修員としてペンシルバニア大学大学院に留学。現在、立教大学大学院特任教授。日本建築学会会員。第1回リスボン建築トリエンナーレ出品。著書=『反覆/新興芸術の位相』(田畑書店、1974)、『彦坂尚嘉のエクリチュール』(三和書籍、2008年)、共著=『リノベーションの現場』(彰国社、2005年)、『空想・皇居美術館』(朝日新聞社出版、2010年出版予定)

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川勝真一(建築系ラジオパートナー)


第1位 西村浩×山崎亮「自走力のデザインメソッド」(全4回)

第2位 建築系フォーラム2010「地方建築家のロールモデルを考える」(全2回)

第3位 藤原徹平×西村浩「下関市川棚温泉交流センターのプロセスから」(全5回)

第4位 せんだいスクール・オブ・デザイン06──小野田泰明先生インタビュー「都市のコンベンション機能」



川勝真一(かわかつ・しんいち)
1983年生まれ。建築家、リサーチャー、RAD代表。京都工芸繊維大学大学院建築設計学専攻修了。2007年に建築的領域の可能性をリサーチするプロジェクトRAD(Research for Architectural Domain)設立。また2008年にプロジェクトスペースradlab.を設立。2009年より、レクチャープログラム「QueryCruise」、建築ギャラリー「rep」などを企画、運営。

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榎本真希(建築系ラジオスタッフ)


第1位 カリスマガールと建築デート(シリーズ)

第2位 南研究室・建築デザインレビュー(シリーズ)

第3位 建築系ラジオカードコンペをめぐる討議(全3回)




榎本真希(えのもと・まき)
1989年新潟県柏崎市生まれ。長岡造形大学建築・環境デザイン学科/建築コース所属。常に研究室にこもっています。構造について研究中。

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南後由和(建築系ラジオパートナー)


 * 編集部注記:南後由和さんから、下記は特に順位なしで、配信順に挙げてある旨の連絡頂きましたので、当初第1位から第5位の表記だったものを、箇条書き表示に変更してあります。どうぞご了承下さい。 

「状態としての建築──際の操作性」(『Review House Vol.2』所収)レビュー
『JA』70号(「風景の解像力──30代建築家のオムニバス」)および同誌の連動企画である展覧会(INAX:GINZA、2008年6月28日〜7月5日)についての拙稿レビューを取り上げていただいたので。この場をお借りして、簡単にリプライさせていただきます。『JA』誌上における8名の建築家の選定意図など、メディアの編集の恣意性を看過すべきでないという点、また東京芸大出身の4名のみに焦点を当ててゼロ年代の建築家の傾向を代理表象させてしまっている点への五十嵐太郎さんらからの指摘と批判はごもっともで、それらの前提条件の操作について言及すべきでした。裏話的な言い訳をさせてもらうと、『Review House』はインディペンデントな雑誌で、「編集部と書き手のやり取りに時間をかけ」るところが特色のひとつです(『Review House』HPより)。初稿では8名全員の建築家についてレビューを書いていたのですが、見開き2ページという分量ということで、1名の建築家につき一言紹介する程度の広く浅い内容になっていました。そこで、対象とする建築家や切り口を絞ってほしいという依頼を編集部から受けました。そのため、芸大出身の若手建築家の台頭が近年の特徴のひとつだという点に着目し、乱暴であることは承知のうえで、4名に絞ったという経緯があります。また、以前はあまり書いたり議論したことがない建築家の仕事について言及してみたいという思いもありました。『JA』の編集意図や恣意性について触れるべきだと思いつつも、自分のレビューに同様の問題があることを自覚していたので難しかったというわけです。及ばなかった点は他にもあると思いますが、いずれにせよ、建築専門誌ではない媒体での拙稿に注目していただき、ありがとうございました。レビューがさらにレビューされ、とても勉強になりました。

ウィリアム・ケントリッジ展
東京国立近代美術館の展覧会を見てとてもよかったので、建築系ラジオの方々がどう思われたかの感想が気になりました。ご近所の井戸端会議に遠隔から聞き耳を立てているような感じがして面白いです。

植田実氏も語る。建築メディアは本当に信用できるのか?われわれは何を拠り所に建築を考えるべきなのか?
建築ジャーナリズムを牽引されてきた編集のプロである植田さんが建築系ラジオという新たなメディアにどのような感想を持たれるのかに注目しました。学生など若手の書き手にも開かれた『都市住宅』の編集をされていた植田さんと、多くの学生スタッフが関わっている建築系ラジオには共鳴するところがあるのではないかと感じました。

藤村龍至の批判的工学主義を問う!(藤村龍至vs松田達)(全体討議・全7回)
シンポジウムなどではなかなか見ることができない舌戦が見物、いや聴き物。藤村龍至さんとは批判的工学主義についてともに議論してきたので、同席できなかったのが悔やまれます。

U-30 Under30 Architects exhibition 出展者インタビューr4・シリーズ)[1][2][3]
残念ながら展覧会に行くことができなかったので、様子を垣間見たいなと。30歳以下の関西を中心とする若手建築家の「生の声」を速報する、これも全国各地で展開する建築系ラジオならではの魅力だと思います。


南後由和(なんご・よしかず)
1979年大阪府生まれ。社会学、都市・建築論。東京大学大学院学際情報学府博士課程を経て、同大学院情報学環助教。桑沢デザイン研究所、駒澤大学、法政大学、早稲田大学非常勤講師。共著書=『都市空間の地理学』(ミネルヴァ書房、2006年)『路上のエスノグラフィ』(せりか書房、2007年)Atelier Bow-Wow: Behaviorology(Rizzoli、2010)など。論文=「コンスタントのニューバビロン×建築界(1)(2)」「有名性と『界』の形成──建築家の事例分析に向けて」など。

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平山善雄(建築系ラジオスタッフ)


第1位 伝説のトーク「梅林克 x 山田幸司」Lab

第2位 西村浩×山崎亮「自走力のデザインメソッド」(全4回)

第3位 建築系フォーラム2010「地方建築家のロールモデルを考える」(全2回)

第4位 北川啓介のもうひとつの建築設計資料集成!円山町ラブホテルデート編

第5位 首都大学東京 高橋千尋さんと座・高円寺でデートシリーズ


温度の伝染するラジオ
ふらっと参加した建築系フォーラム2010(広島国際大学Scale主催)にて、松田達さん、北川啓介さんとはじめてお会いし、そのまま朝までご一緒させていただきスタッフになることになったのが約一年前。その場で収録も行われ、オープンで熱気を帯びたラジオの雰囲気にすっかり感化されたのでした。毎日配信されるコンテンツは、抽象的な議論から、具体性を伴った実務的な話題、さらには癒し系コンテンツまで多岐に渡り、欲張りな建築胃袋を満たし、一筋縄ではいかない日々の設計活動へのガソリンを注いでくれます。ランキングでは、1.笑いたいとき、2・3.まじめに建築について考えたいとき、4.建築的未知の領域に踏み込みたいとき、5.建築を案内する男の振る舞いについて学びたいとき(笑)という印象に残った4つのラジオ欲によって選出してみました。


平山善雄(ひらやま・よしお)
1983年広島生まれ。2008年九州大学大学院竹下研究室卒。東京でのアトリエ事務所勤務を経て、現在福岡の設計事務所勤務。趣味、ウェブ上を徘徊して最新MP3を漁り、懐の許す限り本を買い、お酒を飲みたい。

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倉方俊輔(建築系ラジオコアメンバー)

遠巻きに聴いていた建築系ラジオに、ぐっと参加させていただいた2010年でした。同時に4月から、福岡県北九州市の小倉にある西日本工業大学に赴任しました。そんなこともあって東京とか、東京以外のこととか、メディアの可能性とか、あれこれ考えた1年でしたね。コアメンバーとして加わるにあたって、自分なりに「建築系ラジオ」って何だろうと考えました。そして、それは「今まで現れていなかった声を顕在化させる」ことではないかと。その前に、前提としては、建築系ラジオって、「共通認識」や「使命」と遠いところにあるのが面白いところだと思うんですよ。「共通認識」を強要するピラミッド型の組織でもないし、「使命」を持って何かを遂行するマニフェスト型でもない。だからこそ、それぞれが自由に、好きなことで動いて、強度のあるコンテンツも生まれる。全体として、社会に貢献していなくもない。そうした現象を可能にしている最少の共通認識と、結果としての最大の使命が「今まで現れていなかった声を顕在化させる」ことではないかと自分は捉えています。もちろん「今まで現れていなかった」というのは、目指すべき可能性の極であって、「現れにくかった」と言った方が適当かもしれませんが、実はそうしたことはけっこう多いはずです。例えば・・・耳通りの良い建前ではない《本音》、堅苦しい語りではないけど時に真実を突く《冗談》、なんだかんだ言ってメディアが集中している東京ではない《東京以外》、見られる容体ではなく(でありながら)行動する主体としての《女子》、名前を知っている大学の卒業であれば全体から見たら少数派の「エリート」です!ということで《エリート以外》・・・実はマジョリティなのに小さくさせられている声って、周りにたくさんあると思うんですよね。インターネット等の発達で、誰でも発信できるようにはなった。でも、相変わらず、そうした区分のほとんどは続いているように見えます。社会ってそういうものだし、だから良い所もあるんですけど・・ただ言えるのは、新たなメディア装置が生まれたからと言って、そうした状況がオートマティックに変革するわけではないということでしょう。その点、建築系ラジオには志がある。いや、違うな。志なんか無いや(笑)。コアメンバーからして、みんな適当だし、そもそもの始まりからして、酒飲み話を放送したら楽しいんじゃないかと五十嵐さんと山田さんが意気投合したということだし、建築系ラジオの理念とは何だなんて話は、した試しがない。でも、上に述べたような性格というのは共通しているように見受けられるのです。そして、コアメンバーもスタッフも、それぞれが思いを抱いて、勝手に貢献する熱意を持っている。だから、私も新たな声を、このメディアを使って、できるだけ流せたらと。自分とは異なる視点や情報に接すること、息抜きになること、自分が一人ではないと思えること、それは各人が次の建築を生み出す基盤にもなると信じるからです。

第1位 伝説のトーク「梅林克 x 山田幸司」Lab
とにかく面白い。スター建築家事務所の光と影をさらっと笑いで包み込む。この1年間、ここに山田さんがいてくれたらと思うことは、一度や二度ではありませんでした。ほんとは世間に満ちあふれているのに現れない声を引き出せる、山田幸司という人間が希有な才能の持ち主だったことを改めて思わされます。

第2位 カリスマガールと建築デート(シリーズ)
解放すべき声は、まず自分の中にあるのでは?ということで、山田さんの「カリスマガール」の言葉を引き継いで企ててたのが「建築デート」のコーナー。しかし、やってみたら、心理的にたいへん。次に何を言われるか分からない、ということがこれほど緊張するものとは。0.数秒の間やイントネーションのほうが、雄弁に語ったりしますから。でも、そういう活字外の情報(しかも気をとられる視覚情報が無いので余計に)が、建築系ラジオの面白さだったりしますよね。全体討議の会で特に思います。あと、収録の時には気づかなかった周囲の音から、場の雰囲気が感じ取れて一興です。この出たとこ勝負に付き合ってくれている女子に感謝!女の子の方が勇気あると思う。見習わなくては。
 
第3位 DESIGINING2010展公式トークイベント「TRANSMISSION/トランスミッション」(全4回)
井手健一郎さんらが毎年福岡で開催しているデザインイベント「DESIGING」のトークイベントに参加したので、当日に思い立って収録させてもらいました。井手健一郎さん、末光弘和さん、平瀬有人さん、藤村龍至さん、藤原徹平さん、加藤孝司さんというメンバーが福岡・大名に集結。福岡県に赴任して早々の4月末だったので、思い出深いです。観衆の皆さんの雰囲気がとても良くて、こういう場が東京以外で持てること、それに皆が触れられるのが現在だなあと。「せんだいスクール・オブ・デザイン」のシリーズも勉強になるレクチャーで、今後さらに期待されます。

第4位 建築系ラジオ忘年会withスタッフ──2010年の建築系ラジオを振り返る(全2回)
各地のスタッフの協力無しに、今年の建築系ラジオはありえませんでした。さまざまな大学から集まっていること、東京以外が目立つ(というか他のメディアが東京に偏りすぎている)こと、女子の活躍が特徴で、これも時代を映しているのでしょう。建築系ラジオのスタッフの躍進は2010年の大きな出来事です。2011年にはますます大きな役割を果たすに違いない。楽しみ。

第5位 土木系ラジオ+建築系ラジオ合同全体討議 (全体討議・全5回)
シリーズ「建築」を超えろ!で山崎亮さん、藤原徹平さんと対話された西村浩さんらが、新たに「土木系ラジオ」をスタートさせました。発足を記念した建築系ラジオとのディスカッション。今まで現れていなかった声を顕在化させる。そんな静かな変革は土木の分野にも拡がっているようです。


倉方俊輔(くらかた・しゅんすけ)
1971年生まれ。建築史家。西日本工業大学デザイン学部建築学科准教授。著書=『吉阪隆正とル・コルビュジエ』(王国社)、共著=『東京建築ガイドマップ―明治大正昭和』(エクスナレッジ)、『吉阪隆正の迷宮』(TOTO出版)、『伊東忠太を知っていますか』(王国社)など
http://kntkyk.blog24.fc2.com/
http://twitter.com/kurakata

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<回答者一覧>(その3)

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大西麻貴香野あゆみ上篠美里植松千明島矢愛子近藤洋輔彦坂尚嘉川勝真一榎本真希後由和平山善雄倉方俊輔(順不同)
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アンケートの第三回目の回答公開、いかがでしたでしょうか。「このコンテンツはこういった見方もあるのか」、「このコンテンツはよく聞いていなかった。もう一度聞いてみよう」などなど、新しい発見があるのが、このアンケートの面白さだと思います。皆さんもお気に入りのコンテンツを探してみてください。では、次回もお楽しみに。そして、よいお年を。来年も建築系ラジオをよろしくお願いします。



建築系ラジオでは、2010年もいろいろなイベントなどを企画し、コンテンツを配信してきました。「建築」という一つの軸を持ちながらも、それぞれの記事が個性を持っていて、一言では到底まとめきれないほどです。今回は、スタッフやコアメンバーをはじめとした建築系ラジオの関係者、そして過去に建築系ラジオに出演された方々や、リスナーのみなさんにまで協力をいただき、「2010年の建築系ラジオで印象に残るコンテンツ・イベント」を選んでもらうアンケートを行いました。リスナーとしての彼・彼女らの選ぶ2010年の建築系ラジオとは・・・?

2010年を振り返りながら、建築系ラジオのこの先を考えていく機会となるであろうこの年末企画、数回にわたって様々な回答を公開していきます。以前からリスナーのあなた!今日初めて建築系ラジオを知ったあなた!・・・一緒に今年の建築系ラジオを振り返ってみませんか?(関口達也)

<質問>
(a):2010年に建築系ラジオのコンテンツとして配信された音声ファイル(ポータルサイト、Labr4)やツアー、イベントなどから、最も印象に残ったものを、ベスト5(もしくはベスト10)として挙げて下さい。
(b): 上記に関連する文章を自由に記述して下さい。

<回答者一覧>(その1)

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松田達天内大樹松岡舞佐藤仁哉江藤靖子阪根正行星洸祐椚座基道関口達也

正木哲入江徹武智仁志五十嵐太郎(順不同)
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松田達(建築系ラジオコアメンバー)


以下、第10位から順に挙げていきます。僕の場合は、特に聴いてほしいコンテンツベスト10として挙げています。

第10位 あなたも建築系ラジオのスタッフに興味ありますか?
はじめてスタッフにMCをお任せした回。建築系ラジオを支えてくれているスタッフの皆さんの様子がよく分る収録で、この収録の配信をきっかけに、多くの方々がさらにスタッフとして加わってもらえました。いまや建築系ラジオスタッフは、48人に届きそうな勢いです。もちろんスタッフはずっと募集していますので、聴いてみて興味を持った人がいたら、ぜひご連絡下さい。関連ファイルとして、「建築系ラジオ女子スタッフインタビュー」という配信回もあります。

第9位 羽藤英二先生の考えるモビリティとは?
都市系ラジオというコーナーを時々展開しており、その中でも特に示唆に飛んだ回です。都市をテーマとした、深夜の本気のトークです。直前の議論は、「交通から都市と建築を考える(第5回)カルチベートトーク 」という公開討議であり、そちらとぜひあわせてお聴きください。

第8位 Interview with an architecture student from Norway
スタッフの松岡舞さんが、ノルウェー人留学生にインタビューしたファイル。英語でのインタビューであり、またヨーロッパの目から日本の建築界がどのように見えるのかが掘り下げられた、秀逸なコンテンツ。

第7位 植田実氏も語る。建築メディアは本当に信用できるのか?われわれは何を拠り所に建築を考えるべきなのか?
植田実氏にお話していただいた歴史的な回。現在の建築メディアそのもののあり方について問いつつ、メディアへの信用というものの根拠を問い詰めていく。ラディカルな内容だと思います。

第6位 若手建築家による建築論(r4・シリーズ)[1][2][3][4]
飲み会で盛り上がった建築論を収録。建築関係者の飲み会ではよくある光景であるにもかかわらず、なかなか表に出ることのないようなトークを公開。ガチの建築論です。

第5位 twitterの現在をめぐって(全体討議)
建築系ラジオポータルサイト開始直前、横浜アパートメントでの討議。場所も良かった。和やかな雰囲気の中、討議が次第に白熱して加速。もっとも建築系ラジオらしい全体討議となりました。参加者、発言者もかつてないくらい多数。

第4位 建築系ラジオへの質問(全2回)
建築系ラジオのことを知るために、聴いてほしいコンテンツ。僕がスタッフらからの質問に答える形ですが、いかにして建築系ラジオが生まれ、何を目的に動いているのか、その特徴は何かなど、かなり多様な側面から話しています。こういう質疑応答を収録しようというアイディアをくれたスタッフに感謝です。

第3位 書物の現在と未来(全体討議)
書物をめぐる討議。電子書籍元年とも言われるこの2010年に、書物についての討議をできたのは良かった。幅允孝さん、阪根正行さん、中沢雅子さんら、それぞれ立場の異なる人たちの意見が面白いように絡みながら展開。全体として、とても意義深い討議になっていると思います。

第2位 建築家のSとM、草食系と肉食系をめぐって
あまり聴かれていないかも知れませんが、この収録回は面白いと思います。建築家はSかMかという話に始まり、これは合コントーク?というような形で話が展開。しかし、そこには草食系と肉食系、オトメンと男の娘(おとこのこ)、第一印象と第二印象など、現在の社会における人間関係を考えるための様々なキーワードが現れてきます。

第1位 伝説のトーク「梅林克 x 山田幸司」Lab
語り継がれるだろう伝説の収録回。それぞれの地域の建築界で飲むともっとも面白いと言われる、梅林克さんと山田幸司さんの二人が、ついに出会って生まれたトーク。ネ申トークといっても過言ではないでしょう。

建築系ラジオ音声コンテンツ2010ベスト10
1. 伝説のトーク「梅林克 x 山田幸司」Lab
2. 建築家のSとM、草食系と肉食系をめぐって
3. 書物の現在と未来
4. 建築系ラジオへの質問
5. twitterの現在をめぐって
6. 若手建築家による建築論 [1][2][3][4](r4
7. 植田実氏も語る。建築メディアは本当に信用できるのか?われわれは何を拠り所に建築を考えるべきなのか?
8. Interview with an architecture student from Norway
9. 羽藤英二先生の考えるモビリティとは?
10. あなたも建築系ラジオのスタッフに興味ありますか?

さらに、建築系ラジオ関連イベント2010ベスト5もあげておきます。特に2010年は、建築系ラジオポータルサイトが誕生したこと自体が、大きな出来事でした。

建築系ラジオ関連イベント2010ベスト5
1. 建築系ラジオポータルサイトオープン(4/27)
2. 建築系ラジオスタッフ合宿(10/10-11)
3. 建築女子展「私たちのアトリエ...女子だけ?!」(3/23-27)[1][2][3][4]
4. 建築系ラジオ瀬戸内国際芸術祭ツアー(10/22-24)
5. 豊田高専SD研究部主催講演会「建築学生にできること」(10/30)


松田達(まつだ・たつ)
1975年生まれ。建築家。松田達建築設計事務所主宰。京都造形芸術大学・桑沢デザイン研究所非常勤講師。隈研吾建築都市設計事務所を経て文化庁派遣芸術家在外研修員としてパリにて研修後、パリ第12大学パリ・ユルバニスム研究所にてDEA取得。作品=《第一回リスボン建築トリエンナーレ帰国展会場構成》《フラックスタウン・熱海》ほか。受賞=第10回タキロン国際デザインコンペティション3等ほか。共著=『20世紀建築研究』(INAX出版)、『建築・都市ブックガイド21世紀』(彰国社)ほか。 http://www.tatsumatsuda.com/

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天内大樹(建築系ラジオパートナー)


第1位 信州大学 鍋田莉江さんと東京カテドラルでデート
第2位 北川啓介のもうひとつの建築設計資料集成! 円山町ラブホテルデート編

《建築で/建築を口説く》
キャッチーな建築系ラジオの性格が最も現れたコンテンツだったろう。通常のメディアには載らないような会話の中で、建築に関連する歴史や経済が語られる両コンテンツである。建築に関連する思考を日常のものとする人々が、普段都市という書物をいかに読み込んでいるのか、その習慣を伝える。現状では、どちらも知識と年齢が高い男性が若い女性に話し続けるという形になっているが、いずれ男女逆パターン、あるいは建築系女子からの逆口説きヴァージョンなどもあり得るだろうか。

第3位  豊田高専SD研究部インタビュー──高専ってどんなところ?
第4位  東京理科大学建築教育論 [1/3]──今、学生が求めるもの(全3回)
第5位  東京理科大学TUSAインタビュー [1/2]──TUSAの活動について(全2回)
第6位  スタッフ討議 - 大学間の差異と共通点

《学生たちのエネルギー》
豊田高専のインタビューは特に編集がリッチで、安心して聞ける番組だった。上記はどれも学生たちが、自分たちの置かれた教育環境をどう認識し、何をすればよいのか考えている様子を伝える。学生は建築系ラジオの聴取者層としてはかなり厚い存在だが、スタッフだけを見ていても、学校の外で何を学ぶべきか考える意欲が目立つ。

第7位  スタッフからみた建築系ラジオ──おすすめコンテンツ

《自己検証を推進したい》
五十嵐太郎氏が編集長を務めた時期の『建築雑誌』の第一号もそうだったが、建築系ラジオでも(この文字コンテンツも含め)年に数回くらいメディアの自己検証が行われている。新聞、テレビなどのマスメディアや出版メディアではあまり見られない(たまに放送メディアで番組審議会の報告が出る程度か)が、建築系ラジオが新たなメディアとしての形態を切り開いていく上で、必要な過程とさえ言えるだろう。

以上、自分の関係しなかったコンテンツから。


天内大樹(あまない・だいき)
1980年東京生まれ。日本近代建築思想。2008年東京大学大学院(美学芸術学)博士課程単位取得満期退学。日本学術振興会特別研究員(PD、大阪大学)、國學院大学・多摩美術大学非常勤講師。共著書に柳澤田実編『ディスポジション:配置としての世界』(現代企画室2008)、共訳書にエイドリアン・フォーティー『言葉と建築──語彙体系としてのモダニズム』(鹿島出版会2006)http://www.ne.jp/asahi/d/ama/

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松岡舞(建築系ラジオスタッフ)


第1位  テン年代建築を考える[5/7](全体討議・全7回)
初めてラジオ収録現場に居合わせ、かつ、初めて編集作業に関わったという、個人的に思い出深いコンテンツ。大西麻貴さんの「玉砕覚悟で質問してもいいですか。」という一言から、議論がどんどんと盛り上がっていく様子はハラハラ、ドキドキとして何度聞いても面白い。そしてなによりも、どんな人に対しても、ぶれない持論をぶつけていく前田紀貞さんの姿勢がとにかくかっこいい。

第2位  北川啓介の「無批判的行動主義」の誕生(シリーズ)
藤村龍至さんの「批判的工学主義」、そして北川啓介さんの「無批判的行動主義」誕生の様子がよく分かるコンテンツ。若山滋先生のとても分かりやすい説明、優しい口調は、とても聴き心地がよい。自分自身が「建築の意味とはなにか」を考え始め、読書をしたいと思えるきっかけになった。

第3位  カリスマガールと建築デート (シリーズ)
このシリーズを聞くと実際に自分がその建築を見に行っているような気分になれる。東京や大阪に簡単に行ける距離に住んでいない人には特におすすめ。次、どの建築のどの部分に注目して見学しよう、という指標になる。倉方さんの専門的な説明や、建築学生の率直な感想が聞けるのが面白い。一度、倉方さんとデートしてみたいと思わせるコンテンツ。

第4位  「失敗」をめぐって──失敗を克服して自分のものにすること(全3回)
学生必聴のコンテンツ。失敗してもそのあとにどう行動するか、学生だけでなく多くの人のかゆい所をついていると思う。失敗から学ぶことは本当に多いな、と改めて思った。設計事務所のインターンシップに行く前に、このコンテンツを聞きたかった。

第5位  豊田高専SD研究部インタビュー──高専ってどんなところ?
建築系ラジオ初の高専でのインタビュー。私自身も出演していて、思い出深いコンテンツ。「高専」という教育機関を多くの建築学生に知ってもらえるきっかけになったと思う。高専からの編入を受け入れている大学の学生、関係者にぜひ聴いてもらいたい。


松岡舞(まつおか・まい)
1990年東京都生まれ。豊田工業高等専門学校建築学科所属。特技はスイスドイツ語が少し喋れること。

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佐藤仁哉(建築系ラジオスタッフ)


第1位 伊東豊雄「消費の海に浸らずして新しい建築はない」(1989)を読む(全2回)

新しい勉強の仕方
まず始めにテーマとなるテキストを読み、学生達がそれぞれの考えを言い合い、最後に五十嵐さんが解説を行う。先生が加わった公開読書会のようなコンテンツ。学校のように先生から一方的に教えてもらうだけの授業や、偏った考えに終始してしまいそうな学生の勉強会との間をうまくついた非常に面白い企画だと言えます。またテキストは約20年前に書かれた伊東さんの文章で、これはおおよそ大学生が生まれた年代ともリンクしていて、その時代の社会背景や建築事情を知ることで、逆説的に、今の現代を知る上でのキーワードになっているのではないでしょうか。今後もやり続けてほしいコンテンツです。

第2位 テン年代の建築を考える(全体討議・全7回)

討論を生み出すラジオ
このラジオを研究室でかけ流しにして聞いていた時に、これをきっかけに学生同士で熱い議論が生まれたというのが印象的で凄く鮮明に記憶に残っています。テン年代の建築というタイトルに興味を持ち、聞き始めたのですが、内容が「自己と自我」や「超越的と超越論的」の違いといった話に徐々に拡張していくのも建築系ラジオの醍醐味なのではないだろうかと思います。本や雑誌などと違い、その場で編集の出来ない、今自分自身が感じた事を話し合う建築系ラジオは、このラジオを聴くとより強くそのことを認識し、考えさせられるラジオだと思います。

第3位 五十嵐太郎論 − 人間・五十嵐太郎を語る

誰もが気になるその実像
たとえ建築に携わっていない人でもこの名前を聞いたことがあるという人は多いのではないでしょうか。建築批評家としてだけではなく、小説家や文学者などとしての顔を持ち、その多面さ故に、一体、五十嵐太郎とはどんな人間なのだろうと思っている人は多いはず。村上心先生の渋い声や学生達の和気あいあいとしたライブ感を味わえるのも建築系ラジオの特徴と言えます。建築を学ぶ人以外にも五十嵐太郎に興味のある方に聞いてもらいたいラジオです。

第4位 レクチャー編「スケールと身体」(シリーズ・全3回)

一対一の特別レッスン
ラジオを聴きながら建築家の個人授業を受けているような贅沢なコンテンツだと思います。建築家・南泰裕が「身体」というテーマで学生と話をする全3部作であり、「身体」というテーマから話題が縦横無尽に展開していくのが非常に聴いていて面白いです。手帳のサイズってどのくらいが一番いいのだろうか、という身近な疑問から建築家は一体何を生み出そうとしているのか、といった非常に壮大なテーマにまで議論が展開していくのも、このコンテンツの魅力の一つなのではないかと思います。建築を学ぶ学生にぜひ聴いてもらいたいです。

第5位 スタッフ討議 − 大学間の差異と共通点

現役建築学生が語る私の建築学科
建築系ラジオを最も間近で体験している学生のスタッフが自分自身でMCをやり、スタッフが今最も気になっているテーマで収録を行うという企画です。この収録をした日は、ラジオスタッフの慰労会でもあり、さまざまな大学のスタッフが集まっていたので、日頃なかなか知ることの少ない他大学の建築を解剖したいというのが目的でした。各大学や研究室によってかなりの差異があって、これから大学に入って建築を学ぼうとしている学生や院試を考えている学生に聴いてもらいたいラジオになっています。


佐藤仁哉(さとう・じんや)
1986年生まれ。国士舘大学大学院南泰裕研究室所属。趣味、仮面ライダー。

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江藤靖子(建築系ラジオスタッフ)


第1位 作品から語るアートとデザインの違い
「デザインとは多くの人が見たいと思うものを見せるものであり、芸術とは多くの人が見たくないと思うものを見せるものである 」という彦坂尚嘉さんの解説には、一般 に考えられているデザインとアートの概念を変革させるものがあります。一般にデザインと考えられているものが芸術になり、一般に芸術と考えられているものがデザインになってしまう。キュレーターの長谷川祐子氏が東京都現代美術館でキュレーションした『アートとデザインの遺伝子を組み替える 』のようにアートとデザインの在り方 が逆転した現象が起こっています。では、私たちはこのような状況のなかでどのようにアートとデザインを見極めればよいのでしょうか。このコンテンツでは彦坂さんがアンディ・ウォーホルのシルクスクリーンの作品の刷りを例に、アートとデザインの違いを具体的にわかりやすく解説してくださっています。アートとはなにか、デザインとはなにかという問いを抱いている方 は是非聞いてください。

第2位 瀬戸内国際芸術祭2010―豊島美術館をめぐって(全2回)
豊島美術館は、ランドスケープと建築、そして建物の中の水滴がフラクタルのように入れ子状に構成されている美術館でした。来場者は「繊細な水滴の動き」と「特殊なシェル構造の建築」と「広大な庭 」の三点の関係性に深い意味を見いだそう とします。しかし私は実際に豊島美術館を訪れ、建物の中に入るまでの長いエントランスを歩くときに、庭の手入れがあまりされていないような印象を受けました。そのため 、ランドスケープと建築の関係などのコンセプトが見えづらくなっていると思いました。また、彦坂尚嘉さんがおっしゃっていたように、白い コンクリートの上を水銀のように滑らかに動く水の動きを眺めることは楽しいものですが、高度な芸術作品を鑑賞したときに鑑賞者の中に生じる「意味」は、この豊島美術館では構成することができないのではないでしょうか。しかし、その一方で五十嵐太郎さんが指摘するように建築の技術的な面から見ると、ナノレベルで床の起伏をコントロールし、低い天井でありながらシェル構造であることなど、今までの建築にはない新しさを持っているとの評価を受けています。これは内藤礼というアーティストの作品のための空間を口実にすることによって実現できたものです。このことから、 アーティストが豊島美術館を鑑賞し、このコンテンツを聞いて考えるべきことは、「建築のための作品を口実にすることに より、従来にはない新しいアートの在り方があるのではないか、そしてそれはどのようなものか 」ということだと思います。

第3位 世界の新しい美術館と皇居美術館(全5回)
ミュージアムとはそもそもどのような存在でしょうか。ミュージアムのもとになったものは、大航海時代に王侯貴族が世界中の珍しいものを収集した「驚異物蒐集室(ヴンダーカンマー)」、「人工物蒐集室(クンストカンマー)」といわれています。松宮秀治著『ミュージアムの思想』あるように、世界中のものを自分の物にしたいという欲望は西欧の帝国主義を生みだしました。そして藝術という観念は18世紀の啓蒙主義の時代に世界中のものを体系的に分類しようとする運動のなかで、現代のようなかたち となりました。そして、藝術を藝術とするパラダイムの設定 の場が「美術館」です。つまり藝術と美術館と帝国主義は不可分の関係にあるということです。それでは明治維新によって誕生した大日本帝国の場合はどうでしょうか。大日本帝国は1945年の敗戦によって崩壊し、日本 という国はタブラ・ラサの状態になったという主張はよく聞きます。しかし事実を丁寧に見極めていくと必ずしもそうではないと彦坂尚嘉さんは指摘します。そこで、あくまで空想の世界で、天皇陛下に京都にお帰りいただいて、からっぽになった皇居をリノベーションし、巨大美術館を建設し、超一流の日本美術を収蔵することを提案します。そこには一体どのような意図があるのか。暮沢剛巳さんと五十嵐太郎さんの紹介する現代の美術館の動向と合わせてお聞き いただくとより一層理解が深まるのではないかと思います。

第4位 日本の美術運動(全2回)
近年コレクションを持っていないにも関わらず 美術館を名乗る大型施設が登場しています。しかしそういった施設は「アートセンター 」とでも呼ぶべきであって、美術館と呼ぶべきではないと考える方は多いようです。なぜなら美術館の最大の使命とはコレクションを収集・研究し、その成果を展覧会という形で多くの市民に広めることだからです。また、大規模集客をねらって海外から有名な作品を借りた企画展の乱立も、美術館の冬の時代といわれる現代に多く見られるようになりました。こうした展覧会は美術に関心のなかった人々をひきつける役割もかつてはありましたが、いずれ人々に飽きられてしまうのも時間の問題です。そしてなによりも「今まで注目されていなかった作家や美術運動に焦点をあてて紹介する 」という美術館にとって重要な機能を全く果たしていません。このような状況のなかで、このコンテンツで取材させていただいた板橋区立美術館での館蔵品展「日本の美術運動」と「新人画会展」は地道なコレクション収集と研究の成果をきちんと展覧会という形にしています。また、一般に知名度の低い大正時代から戦後までの日本の美術運動を紹介しています。こうした展示は新聞広告や美術系雑誌やテレビ番組などで華々しく宣伝されることはありません。そこで建築系ラジオのようなメディアがこうした展示を紹介する役割を果たしていけるのではないかと思います。

第5位 キッチュとアートをめぐって(全2回)
現代芸術においてキッチュとアヴァンギャルドというものは決して避けては通れないものです。こうした命題に正面から取り組んでいる現代美術家の彦坂尚嘉さんの言説は、オーソドックスな美術史と、ご自身の過去の活動を踏まえた血肉の通ったものであると思います。そして、後半ではモダニズムの潔癖さを批判し、ポストモダンに生きる私たちはどのような表現をしていくべきかを、純粋 な表現と装飾だけのものの両方を取り入れることによって成り立たせるなど、新しい概念の紹介をなさっています。また、美術館などの体制に対する批判などの、日本のメディアが怠ってきたこともおこなっています。こうした、開催中の展覧会のシンポジウムや出演者の個人の意見を収録する情報の速さと健全な批判を配信していくところに建築系ラジオの役割があると思います。それは インターネットを媒体とし、テキストではなく音声を配信することによって可能になった、配信の速さ と出演者の言論の自由によるものであり、既存のメディアにはできなかったことだと思います。


江藤靖子(えとう・やすこ)
1987年静岡県生まれ。東北芸術工科大学芸術学部美術科日本画コース4年。趣味:美術館めぐり



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阪根正行(ジュンク堂書店店員)


第1位  テン年代建築を考える[1/7](全体討議)
建築系ラジオの一番の売りはライブ感だと思うんですね。たしかに一歩間違えればぐだぐだになってしまうので気をつけねばならないと思うのですが、基本的にあまり下準備しないで、「よーいドン!」でやっちゃっていいって思うんです。それが一番うまくいっていたのが『テン年代の建築を考える』だったな。ぶっちゃけテーマの「テン年代の建築」なんてどうでもいい。未来予想とかどうでも。それよりもなによりも出演者の生きた声を聴きたいんですよ。
大西麻貴さんにはやっぱり注目していて、女性だからというか、同世代の野郎たちを押さえ込んでいるところをみると、彼女は妹島和世レベルの大物なのか?って期待しちゃいます。 もちろん作品を見ないと分かりませんけど、安藤さんにしろ妹島さんにしろ作品見ないでも分かるじゃないですか。「ああ、この人は建築家になるべくしてなったんだ」って(笑)。そういうのってラジオでけっこう分かるんですよ。

結論から言うと前田紀貞さんの一言が言い当ててる。「全然面白くない!」で決まり。前田さんの初っ端の一言! 会場が動揺している様子がありありと伝わってきて面白かったなー(笑)。大西さんも403 architectureも萎縮しちゃうし、司会者も「まずいなー」って感じで、比較的受けが良かった能作さんも明らかにびびって話がうまくできてないし。そういう前田さんも言ってることめちゃくちゃで(笑)。「がんばってますなんて当たり前だ!」と大西さんにツッコミつつ、「俺はバカだ!」っておおっぴらに言う前田さんってどうよ。「建築家がバカじゃまずいっしょ!」ってツッコミどころ満載だし(笑)。
ま、議論自体はどうかと思うけど、でもわかりますよね。前田さんの初っ端の一言、「全然面白くない!」っていう直観は正しいんじゃないかって。大西麻貴さんは優秀だし、他の回に出ていた藤村龍至さんも相当優秀だし、コアメンバーの松田達さんも同様に優秀だし。でも妹島和世、安藤忠雄、磯崎新に匹敵する建築家になれるかと言えば、現時点では明らかにNOだよなって。何かが足りないって、けっこうみんな分かっていると思うんですよ。でももっとはっきりと分かっているのは、前田紀貞さんや安藤忠雄さんのようにぐいぐい押す感じでもないよな、あれじゃ、ダメだよなってこと。それはそれで、けっこうみんな分かってるんですよ。

じゃ、どうなるの?

とんでもない野郎が突然出てくるのかもしれないけど、そうじゃなくて、なんか大西麻貴さんや藤村龍至さんが気が付いたら声がでかくなっていて骨太になっていたという時が来るんじゃないかってやっぱり思うんですよ。こういうのって理屈じゃないです。感触です。それがラジオではよ~く分かるんですよ。これからもちょくちょく聴きます!

追記:ちなみに、私は『書物の現在と未来』というテーマの回に出演させていただきました。う~ん、確かに書店でいろいろやってはいるし棚を作っているのだけど、建築家のように作品を創っている人に比べると全然弱いんですよね。「全然面白くない!」っていう前田さんのツッコミを3連発ぐらいリミックスしてもらってもいいぐらいなんだよな~(汗)。「がんばります」って言っても「そんなの当たり前だ!」って言われるし、弱ったな。。。 「がんばります」。


阪根正行(さかね・まさゆき)
学生時代、建築を学ぶ。渡辺明設計事務所勤務を経て、現在、ジュンク堂書店新宿店員 (人文書担当)。

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星洸祐(建築学生団体TUSA2010代表 )


第1位 藤村龍至の批判的工学主義を問う!(藤村龍至vs松田達)(全体討議・全5回)
第2位 高橋堅さんの「BRASS CLINIC」を訪れる
第3位  伊東豊雄「消費の海に浸からずして新しい建築はない」」(全2回)
第4位 瀬戸内国際芸術祭2010
第5位  展覧会「ドミニク・ペロー 都市というランドスケープ」オーディオガイド



星洸祐(ほし・こうすけ)
1988年生まれ。東京理科大学理工学部建築学科第3学年。建築学生団体TUSA2010代表

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椚座基道(仙台建築都市学生会議代表)


第1位 twitterの現在をめぐって(建築系twitterオフ会)(全体討議・全6回)
第2位 テン年代の建築を考える (全体討議・全7回)
第3位 書物の現在と未来[5/7]──幅允孝「空間を本で演出する意味とは?」 (全体討議・全7回)
第4位 「Japanese Junction 2010」展レヴュー(全5回)
第5位 建築新人戦2010スタッフインタビュー(全3回)

地方にいる学生にとっての建築系ラジオの意義というのは非常に大きい。東京などの大都市圏に比べると、地方の学生が出向くことの出来る展覧会の数というものは限られてくる。その中で、webを通じたメディアというものは、大都市圏、地方が同等に情報に触れられる。これが、地方の学生にとっての救いになっていることは、確かであると思う。その意味で、建築系ラジオでとりあげられているコンテンツはとても興味深く、地方と東京の距離を近づける役割を担っていると考える。この一年の中で、特に気になったものとしてはtwitterの現在を語る(建築系twitterオフ会)や、建築新人戦をはじめ、各地の学生団体へのインタビューが挙げられる。
まず、「twitterの現在を語る」と題されたこのコンテンツは、自分自身がtwitterに登録していることもあり、共感する部分が多かった。実際、会ったこともない人たちとtwitterを介して会話をし、全国各地と「建築」というゆるく大きな枠組でつながっている実感を得ることができた回であったと思う。また各地の学生団体インタビューにおいて、それぞれの建築学生の動きや生の声を聞くことができたのは有意義であった。webやそれこそtwitterを通じて、各地の建築系学生団体が活動していることは認識してはいたが、実態はいまいち掴めなかった。それが、建築系ラジオというメディアを通して生の声を聞くことで、よりリアリティが増した。仙台近郊にも自身が所属する仙台建築都市学生会議をはじめ、いくつかの団体はあるが、全国各地で様々な活動を展開していることを知ることが出来たのは、刺激にもなり、励みにもなった。
最後に、建築系ラジオは建築界、特に学生を中心に大きな影響をもたらす存在であると思う。そして、一人の学生という立場から、建築系ラジオには、現代建築やそれにとどまらない幅広い知識を付与してくれるメディアであると同時に、全国の建築学生の動きを伝えてくれるかけがえのない媒体であり続けることを、私はこれからも期待していきたい。


椚座基道(くぬぎざ・もとみち)
東北大学3年 仙台建築都市学生会議代表

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関口達也(建築系ラジオスタッフ)


第1位 土木系ラジオ+建築系ラジオ合同全体討議 (全体討議・全5回)
第2位 交通から都市と建築を考える(第5回カルチベートトーク)(全4回)
第3位 東京のイメージ ─ ぼくたちの東京論
第4位 北川啓介のもうひとつの建築設計資料集成!円山町ラブホテルデート編
第5位 「失敗」をめぐって (全3回)

まず、選んだベスト5の決め手になったのは、「建築系ラジオに考えさせられた自分」ということでしょうか。もう少し具体的にいうと、自分は普段、何かを設計したり、デザインしたり、ということはしていません。「都市を解析する」ということで研究を行っています。そんな私に対して、 1)純粋に興味をくすぐってくれたもの、 2)自分の中で考える都市工学の位置づけ 3)さらに自分が都市工学の中で興味の対象としている部分はどこなのかということを考えさせてくれたものを中心に選びました。おそらく建築系ラジオの中でも、かなりイレギュラーなものを選んでいるかと思いますが、建築やデザインそのものから普段少し離れている個人の興味はこうなる、と受け取っていただければと思います。以下、ベスト5に選んだトピックに関して、それについての感想と私なりの考えを順に述べていきます。

第1位 土木系ラジオ+建築系ラジオ合同全体討議
この収録は、自分が都市工学という勉強を始めた時から、常に根底に持っていた建築・土木・都市工学という三種類の分野のそれぞれの位置づけについて考えさせてくれる回であったと思っています。議論は、建築と土木を対比しながら進んでいきます。二つの要素を少しずつ合わせもつ、「都市工学」という立ち位置に立つ自分自身は、収録の場に居合わせながら、議論を聞きつつ建築と土木について、都市工学と何が同じで、何が違う部分なのか?」というようなことを考えていました。その中で、ハードを作ることに限らず、使う側の視点を踏まえた上で、都市のデザインやシステムをつくり、制度などの形で実社会に還元していくのが都市工学なのかな、と自分なりにたどりついたことは、鮮明に記憶しています。同じ何かをつくり出す複数の分野を、融合させていこうという考え方があることは、私自身いいことだと思っています。それが融合してどのような思想を持つ分野になるかは予想できませんが。それぞれの分野に携わる人たちと、実際に利用する人々の四主体がうまくシンクロできれば、日本の都市はこれからもよくなるのではないかと思います。

第2位 交通から都市と建築を考える(第5回カルチベートトーク)(全4回)
人間は光合成をしないから移動をする、という人間の根源的な所から入って、現代社会の歴史を踏まえた都市と移動の関係性を論じていました。話のスケールの変化の仕方がとても秀逸だと感じたのを覚えています。一見突飛で多様なトピックから入っていって、それが移動と空間という部分に収束していくのですが、この話がどういう風に進んでいくのだろうと、わくわくしながら聞きました。この記事を聞いて思ったことは、「都市や建築(ややもすればそれだけに限らず)を取り巻くものは、人々の生活に端を発している」ことを念頭に置くこと、また、情報技術の進展や人々のライフスタイルといった形としてとらえどころのない都市の構成要素の変化を基にして、言葉や概念だけでなく、システムを機能させる実際の空間を形づくっていくのかということを考えなければならない、都市計画を学んできた自分の中で大事な部分を思い出した気がします。

第3位 東京のイメージ ─ ぼくたちの東京論
収録を聞いていて、「どこまでが東京なのか」、「東京は街と街の距離が近い」という言葉を聞いて思うところがありました。東京と地方中核都市の違いは、「どこまでが街として認識されているのか」ということだと思います。それを規定する要因として大きいのは、鉄道駅ではないでしょうか。地方都市はやはり駅が東京ほど密集していないためか、街として認識される部分は東京よりも少ないと思います。東京は住宅メインの街であれ、駅が多いからか、そこで区切りが生まれて、新たな街として認識されやすいのかと。また、東京は各街がそれぞれ独特の個性を持っている都市であり、それもあってか日本の都市に対して様々な先駆例が生まれる場所だと思っています。様々なところから様々な人が集まってくるから、その融合により様々なものが生まれるのではないか。また、住んでいる人が多様だからこそ、それぞれの街の特徴が生まれたり、維持されたりしているのではないでしょうか。神奈川に生まれ育ち、東京生活5年目の私は、そんなことを感じました。

第4位 北川啓介のもうひとつの建築設計資料集成!円山町ラブホテルデート編
最初はタイトルとリード文を見て、面白そうだな、と興味本位だけで聞き始めたのですが、なんと面白い話だったことでしょうか(funnyではなくinterestingです)。正直「へー」の連続でした。岐阜の人々が円山町のホテル街に込めた、歴史的背景や想いがそのホテルの名前に表れていることをはじめとして、予想以上に面白くて深い話が展開されていたかのように感じます。中には、ホテルが集積する理由や部屋の埋まり方の話など、都市経済的な視点からの話もあり、街としてホテル街が構成されていることの意味を知ることができたと思います。私自身、「商業地域を対象にした時系列変化」ということをテーマに研究を行っていますので、都市における新陳代謝という部分の話には特に聞き入りました。都市における生の文化性を表象する場所としてのラブホテル、自分もそれらが都市で持つ色々な意味を研究対象にすればよかったと後悔しました(笑)

第5位 「失敗」をめぐって
今、自分自身、失敗の真っただ中にいるからです。もちろんあがいていますけれど、先行きの見えない不安と闘っている最中なので、この収録はとても印象に残りました。何をもって失敗とするのか。それは取り返しのつかないことなのか、つくことなのか。結局、最後に判断するなら主観的なものでしかないのかもしれないのですよね。どこまで納得ができるか。失敗の原因に飛び込めるか。まず、失敗を成功に変えるために、失敗に飛び込む勇気を持つこと。それを決めるのは全て自分自身なのであり、乗り越えていくのも自分自身なのであることを改めて実感しました。 以上、5つが私の選ぶ2010年ベスト5になります。正直、冒頭にあるように自分本位で選んでしまったので、わりとマクロな話やら都市システムに近い話題が多いです。デザインの苦手な都市系の学生の興味がこういうところにもあるのだ、ということを今後の都市系ラジオのトピックなどで、活かしていただけたら、また自分自身活かしていけたらいいのではないかということで、このアンケートの結びとさせていただきます。


関口達也(せきぐち・たつや)
1985年生まれ。東京大学大学院住宅・都市解析研究室所属。都市との向き合い方、同時に音楽との付き合い方を日々模索中。趣味はビッグバンドジャズで、実際に演奏もします。

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正木哲(建築系ラジオスタッフ)


第1位 テン年代の建築を考える (全体討議・全7回)
第2位 DESIGINING2010展公式トークイベント「TRANSMISSION/トランスミッション」(全4回)
第3位 建築系フォーラム2010「地方建築家のロールモデルを考える」(全2回)
第4位 東京仕事百貨代表・中村健太インタビュー──「建築家をあきらめろ!(仮)」イベント予告編
第5位 広島建築男子の四方山トーク!ザ・奥さん


ベスト5選出にあたって
私は2010年になってから建築系ラジオの学生スタッフとして参加しています。つまり、建築系ラジオ第二期、ポータルサイト開設時期からの参加であり、それ以前は、恥ずかしながら建築系ラジオの存在すらよく知らないという状況でした。よって、ベスト5を考えるにあたり、建築系ラジオ第二期以降からの選出としました。私の選出基準は、単純に「これまで聞いてきた中で印象に残っているもの」であるわけですが、選んだものをみてみると、一貫したテーマがあることに気づかされます。それは、建築家とは「何者」なのか、ということです。これは、建築を学ぶ者にとって、一度は考えさせられる問題であり、そして、なかなか答えが出るものではないと思います。そもそも、建築とは何なのか。
私が所属している研究室(建築計画学)では、年度始めの数ヶ月をかけ、あるテキストを通して徹底的に「建築とは何か」を考えるオリエンテーション・ゼミ(ゼミ担当は入研したばかりの4年生!)が行われます。テキストは初期の建築計画学の理念、方法について書かれた、研究室の原点となるもので、そこでは建築計画とはなにか、建築計画学とはなにか、建築計画学が対象としている建築とは何か、といったテーゼが述べられており、現代に生きる私たち学生に議論のテーマを与えてくれるのです。私も研究室に所属する一人の学生として、入研以降、「建築とは何か」、この問いに頭を悩ませ、自身の研究やプロジェクトを通して少しずつですが建築と向き合い、また、今後私は建築とどう付き合っていくのだろうか、と頭の中で自問自答を繰り返してきました。建築系ラジオの大きな魅力のひとつは、毎晩星の数ほど行われているであろう、飲み会での建築談義を、全国ネットにのせて配信することです。そこでは出演者が悩んでいること、考えていること、疑問に思っていることが赤裸々に語られています。それを聞けば、自分だけが悩んでいる訳ではない、皆それぞれが考え、答えなんかわからないけど日々の歩みを進めているということに気づかされます。このことにどれだけの多くの人々、学生が勇気づけられることでしょうか。以下に、それぞれのコンテンツを聞いて何を考えたのか、未熟な思考ではございますがご笑覧ください。配信の時期などは順不同です。

第1位 テン年代の建築を考える
テン年代の建築を考える今回選出した中で最も印象に残っているものです。何が?と問われたら、間違いなく前田則貞さんです。私は、前田さんについては名前や作品しか知らず、そのつたない予備知識だけでは前田さんを想像することなどできず、このコンテンツを聞いたときには大変衝撃を受けたのを覚えています。前田さんは、概念の弱さに対する指摘だけではなく、ひとりの人間として成熟することを強調されました。建築家である前に人であること。建築家としてどんなものを生み出そうと、建築ではない他のことをやっていようと、最終的には人が最も重要なのです。これを聞いて、ドキっとした人は多いのではないでしょうか。私もそんな一人であり、建築を考える前に、一度、自分を見つめ直すことが重要ですね。前田紀貞建築塾では、現代社会では誰も教えてくれなくなったことを学べるのかもしれません。一連の配信を聞けば、前田さんは、建築家であると同時に教育者であり、私たちの世代をとても暖かい目で見守ってくれていることがよくわかります。

第2位 DESIGINING2010展公式トークイベント「TRANSMISSION/トランスミッション」
これも東京と福岡という地方都市をテーマに扱ったイベントの模様を配信したものです。私自身福岡にいるので実際にイベントにも足を運ぶことができました。何よりも、この日招待されたスピーカーはそうそうたるメンバーだったので、地方建築学生にとっては大変貴重な機会だったのです。その中でも、大変印象的だったのは、モデレーターの倉方さんが、「福岡の状況は今後の建築デザインの鍵となる」と述べられたことでした。東京から赴任されたばかりの倉方さんには福岡の状況がよく理解でき、だからこそ、そこにこれからの現代社会における建築デザインの可能性があると見抜かれた恐るべき先見...。地方都市でデザインに携わるものは、社会や状況が豊かになり成熟していく中で、これまでのやり方では通じなくなってきており、倉方さんに、お前たちはデザインの未来の一端を担っていのだぞ!理解してますか!?と、突きつけられたのです...。

第3位 建築系フォーラム2010「地方建築家のロールモデルを考える」
地方都市で建築を学ぶ学生にとっては気になるテーマだと思います。地方都市をフィールドに活動する建築家が、地方都市をいかにとらえ、また、それを踏まえてどういう可能性があるかなど、大変示唆に富む内容となっています。特に印象的なのは、「東京もひとつの地方都市である」といった、地方都市を語ることによって、東京の特異性が浮き彫りとなってくることです。地方都市の建築学生にとって、「東京」という二文字は、一度は目の前に立ち塞がります。しかし、東京もひとつの地方都市である、と思えたその瞬間、考え方はもっと自由になるかもしれません。

第4位 東京仕事百貨代表・中村健太インタビュー──「建築家をあきらめろ!(仮)」イベント予告編
これは、建築学生が悩む進路に関わる内容です。建築学科で私たちは一体何を学んでいるのでしょうか?建築家になる方法?すごいね!と言われる建築を設計する方法でしょうか?いやいや、社会に出て即戦力となるための技術?私は建築学科では建築を通して「考え方」を学べるのだ、と思っています。建築学科には講義だけでなく、設計演習という特殊なカリキュラムがあります。設計演習ではある課題に対して、個人または共同で「答え」として設計を行い、その成果を他者に伝えることを求められますが、これは恐らく他学科には珍しい授業なのではないでしょうか。ある課題に対して論理的思考で考えを巡らせ、答えを他者に伝えるというのは非常に高いスキルなのではないでしょうか。それはまさにリーダーに求められる素養のひとつだと思います。私たちが大学で受けている教育とは何か、それがもっと意識的になったとき、建築学生は世界が狭いなどと言われることもありますが、活躍の場はどこにでもある気がしています。

第5位 広島建築男子の四方山トーク!ザ・奥さん
私がとても大好きなコンテンツです。北川さんの話では、家族に対する愛がヘッドホンから溢れ出て、愛を語ることに、聞く側の私は気恥ずかしさを超えて感動すら覚えました。むしろ個人的な過去の経験が思い出され、自分の未熟さが恥ずかしくなります(笑)。まあ、誰にでも、世界中の悩みを背負おうとした時期ってありますよね(笑)。これを聞いて、ひとつ確かなことは、何に対しても、決して建築を言い訳にすることなどあってはいけないということです。日々精進です。


正木哲(まさき・てつ)
1983年熊本生まれ。九州大学大学院人間環境学府竹下研究室所属、後期博士課程生。木造住宅の新工法開発に取り組んでいます。趣味は野外で大音量の音楽を聴くこともしくは「そういう場所」に赴くこと

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入江徹(琉球大学准教授)


思考のきっかけとしての建築系ラジオ
私は、建築系ラジオによる2009年の台湾ツアーや沖縄ツアー以降、ツアー企画に参加させて頂いている。2010年には8月に韓国ツアー、10月に瀬戸内国際芸術祭ツアーに参加させて頂いた。建築系ラジオとは、そうした関わり方をさせて頂いているため、2010年ベスト5をあげさせて頂くとすると、これらのツアー企画がまず頭に浮かんでくる。

第1位 韓国建築ツアー(ツアー)

背景としての社会構造
8月4日から8日にかけて韓国ツアーに参加させて頂いた。ツアーとしては6日までの日程であったが、その後は村上心先生ら椙山女学園大学の皆様方とご一緒させて頂き江華島に行ってきた。ソウルでの収穫として真っ先にあげられるのは、金壽根との「出会い」である。金壽根は既に世を去っているが、彼が主宰した建築設計事務所兼建築雑誌『空間』の社屋では、内部までご案内して頂き、近代建築の質感・重厚感とともに、建築空間の質の高さに惹きつけられた。また、ダニエル・リベスキンド、ザハ・ハディド、レム・コールハース、MVRDV、ジャン・ヌーベル、マリオ・ボッタ、アルヴァロ・シザといった建築家たちによる建築物、韓国の若手建築家が設計した「Kring」などの建築物も見学することができた。そして、アンヤン芸術公園、ヘイリ芸術村、パジュ出版都市でも、多くの建築物を見学することができた。建築物以外にも、清渓川復元事業という都市的再開発の見学もできた。韓国特にソウルでは、アイコン建築と呼ばれるような現代建築物が片道6車線以上もある大きな通り沿いに華々しく立ち上がっていた。近代というものを通過せずに現代が訪れたようでもある。このような背景には当然のごとく政治や経済・資本の力が見え隠れしている。いずれにせよ韓国の勢いを感じた。一方で、台湾でも感じたことだが、日本は大丈夫なのかと...。また、ツアーでの多くの方々との出会いも特筆すべき点である。山田幸司さんや松田達さんらと初めてお会いしたのも台湾ツアーであったし、韓国ツアーの際には山田さんの兄貴的存在である村上心先生らとお会いすることができた。

第2位 瀬戸内国際芸術祭2010ツアー (ツアー)

アートと建築
10月22日から24日にかけて瀬戸内国際芸術祭ツアーに参加させて頂いた。このツアーでは、建築物とアート作品とを比較的に見学することができた。ここでは、日本の建築物の施工・構造の強度を圧倒的に感じた。直島にある安藤忠雄さんの李禹煥美術館は、コンクリートの壁で三角に囲まれた空間の良さはもちろん、施工の強度だけでも驚きを感じた。久々に安藤さんの建築物を見たのだが、改めて圧倒されることとなった。また、西澤立衛さんの豊島美術館には、ある種の恐ろしさというか、怖さを感じることとなった。なめらかなシェル構造はもちろんのこと、キレイな水のかたまりが途中で破壊せずに流れるための床コンクリートの施工精度。現実の物質としてここまで可能なのだ、ということを示唆している。何かをコントロールすることが建築物の機能の一つであるとするならば、この美術館は水の動きを圧倒的な施工精度によってコントロールしていると言える。妹島和世さんの家プロジェクトS邸は、柱を立てずにアクリル壁によって自立させ、そのアクリル壁を可能な限り薄くするために曲面にし、さらにその垂直軸にも曲げている。壁の厚さは40mm。やはりこれも「どうなってるんだ」と思わせる魅力を感じた。しかし、豊島美術館やS邸は超一流であることは間違いないが、学生が課題や卒計において形だけでこれらを模倣してくると戸惑いを感じる。これらは極度に細かな施工技術や構造が絡んでいて、現実の物質としての精度がものすごい。学生が、施工をともなう建築物の物質が出来上がらないという前提で行う課題や卒計において、施工や構造上の苦労を伴っていない状態で形だけで提案してくると、どこまで学生の成長につながるのかと思ってしまう。学生たちにも、そのあたりを見抜いてほしい。数多くのアートと建築物を見ることで、建築とはいったいなんなのか?建築にどういったことが可能なのか?ということを改めて考える機会となった。

第3位 ダンボール茶室(イベント)

ひとを惹きつける力
10月31日に、中川運河キャナルアートの一環として行われたイベント「ダンボール茶室から考える建築とアートの可能性」に参加させて頂いた。私自身、山田幸司さんには台湾や沖縄でお世話になっていて、山田さんにハマっていた。そして、山田さんからダンボール茶室のことについてもお聞きしていた。そうしたことから、是非とも直に見たいということで沖縄から向かうことにした。公開収録中に到着したのだが、急遽お誘い頂き、参加させて頂いた。その中で、山田さんに対する思いやエピソードについて話をさせて頂いた。その後、ダンボール茶室の中に入らせて頂くことができ、貴重な体験をさせて頂いた。この茶室は、国宝茶室の如庵を組み立て式ダンボールで再現したものであり、ダンボールでありながら中に人が数名入っても耐え得るようにつくられている。建築以外の多くの地元の方々も見学に来られていた。山田さん同様に、多くの人たちを惹きつける魅力を感じた。

第4位 横浜アパートメント(イベント)

交流の可能性
4月18日に行われた横浜アパートメントでのイベントに参加させて頂いた。あれだけの人数が集まって交流できたことは、今でもハッキリと頭に残っている。それを可能にした建築物のつくりもすばらしい。2次会にも多くの方が参加され、皆さんのパワーを感じた。2次会には設計者の西田司さんも到着し、約10年振りにお会いし、話ができた。このイベントでは、学生たちが積極的に頑張っているということを改めて感じた。自分から何かをつかみ取ろうと集まってきたのだと思う。そういう多くの学生たちに出会うことは、とても刺激的である。

第5位 「藤村龍至の批判的工学主義を問う!(藤村龍至vs松田達)」(全体討議・全5回) (ラジオ)

オープンな議論
「とうとう!」というのが率直な感想。お二人がこのような形で対峙するのはなかなかない機会だと思うが、聴衆を楽しませつつお互いのコメントを引き出すことができるというのも建築系ラジオのすぐれた環境づくりだと思う。そして、永山祐子さんから飛び出す言葉も印象的。違う意見を持つ者同士が、オープンな形で(聴衆を取り込みつつ)議論しようよということを建築系ラジオが教えてくれているコンテンツだと思う。 建築系ラジオとは思考のきっかけをオープンに提供してくれる場ではないかと思う。ラジオコンテンツには、各地域の状況を知ることができるものや、教育的な内容のものが数多く含まれている。また、ツアーは、様々な場所で実際に建築物や都市を見ることの大切さを教えてくれ、建築や都市に関する学習だけではなく文化に触れる研修の場としても機能している。私にとって多くの学生たちとの出会いも貴重な経験である。彼らがいかに積極的であり、また悩んで模索しているのか、そういった努力の経路を確認することで様々なことを教えられる。このような思考のきっかけを提供してくれることが、建築系ラジオの特徴なのだと思う。


入江徹(いりえ・とおる)
1974年生まれ。建築家。琉球大学工学部環境建設工学科建築コース准教授。横浜国立大学大学院修了。専門は、建築設計・現代建築理論。

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武智仁志(建築系ラジオコラボレーター)


建築系ラジオのコンテンツにランキングはつけられないのですが、苦渋の想いで選ばせていただきました。それでは、はりきってどうぞっ!

第10位 全体討議 第二期始動へ向けて 第二期へ向けての5つの方針(案)r4
完成されたコンテンツを世に与えていくメディア。完成されたコンテンツは説得力があり、知らない間に何かを植え付けている危険性もはらんでいます。このような今までのメディアとは一線を画す感のある建築系ラジオ。これからの建築系ラジオの方針を公開して、リスナーといっしょに考えていこうという手探り感が、この節目にあたるコンテンツの良いところです。山田さんがいなくなった後の建築系ラジオの今後に不安を抱いていた僕。しかし、今では皆さんもご存知のとおり、学生もまきこんで発信側と受信側がいっしょになって批評がし合えるメディアとして成長していますよね。個人的に驚きなのが、僕にコーナーを与えてしまったこと。 建築系ラジオの多様性を物語っています。触れる者に限界点を越えさせようとするこの姿勢は、本当にビックリです。

第9位 藤村龍至の批判的工学主義を問う!(藤村龍至vs松田達)(全体討議・全5回)
周りからけしかけられたとは言え、新しい形式であるタイマン議論のコンテンツ。こういう刺激的な議論は、雑誌では伝えきれないものです。場合によっては険悪な雰囲気に聞こえてしまうような議論を活字化するのは、難しいと思うのです。「ラヂオは友」でもたくさん感想を書かせていただきました。建築系ラジオならではのコンテンツですね。

第8位 もうひとつの建築設計資料集成!円山町ラブホテルデート編)
このコンテンツさえ登場しなければ「建築デート」がベスト10に入っていました。聞いている時のヒヤヒヤ感は建築デートをも上回ります。そして、知られざるラブホテル建築のノウハウが語られる様子は圧巻です。まさに資料集成! 「22C: 建築系ラジオ新年会「検閲とクオリティ・コントロールをめぐって」 の議論のように、北川さんのコンテンツは問題提起があって、共感できなければリスナーに都合の悪い情報として認識されてしまいやすいんですよね。 お茶を濁したい話題ですので(笑)。

第7位 都市建築へ(中庭をめぐって)(全3回)
松田さんに対して温厚そうなイメージを持っていた僕の認識を覆したコンテンツです。幻の4回目のコンテンツは、まわりが止めるのもかまわずにご自身の展覧会会場に流してしまうという、何者にも流されない姿勢には、かっこよさを感じました。めずらしく酔っている松田さんが聞けるコンテンツです。いろいろと考えさせられた面白いコンテンツです。

第6位 西村浩×山崎亮「自走力のデザインメソッド」(全4回)
お二人の話を聞いていると、要は人間関係なんだなって思います。極論すれば、建築を抜きにしても人間関係が築けられれば幸福だってことですよね。扱おうとしている仕事の分野が違うだけ。人間関係に、分野なんてないですから。ですから、仕事の分野も常識的に区切る必要はまったくないという訳ですね。

第5位 43C: 南泰裕への10の質問(その3)Lab ・全3回)
「疑うこと、謙虚になること、続けること。」この南さんの言葉を聞いて、なるほどな〜と思いました。「時間が体積してしみ込んで、自分が生きている実感を手応えとして感じさせてくれる建築」が本物だと。そこまでの感動を与えてくれる建築がいいですね。まわりの意見ばかり鵜呑みにしても体は正直なんですね。でも、謙虚でなければ独自論だけで突っ走ってしまいますからね。なんと言っても、続けること。これが、僕の最大の敵です。自分に克てるかどうかが、生きていくうえで最重要課題ですね。南さんの言葉は、建築系ラジオの姿勢にもつながっている気がしました。

第4位 48C: 村上兄ィの建築系人生相談「山田幸司」Lab
実は、山田さんがあがり症だった!この事実を突きつけられた衝撃は今でも忘れられません。 あんなに軽快なトークをしている山田さんが、よりによってあがり症だなんて思うはずがありません。今でも、やらせ番組ではないか疑いの耳で聞いています(笑)。建築系ラジオの初期からリスナーを続けている僕として、決して忘れることができない存在である山田幸司さん。声を聞くと、これが建築系ラジオの原点なんだなあとしみじみと思います。

第3位 44C、46C: 伝説のトーク「梅林克 x 山田幸司」Lab
山田さんを語る時に忘れられない伝説のコンテンツです。梅林さんと山田さんが化学反応したら、こんなすごいことに。有名建築家の本当の姿や、お二人の豪傑ぶりが伺える、とても楽しいコンテンツです。建築系ラジオのコンテンツで一番声を出して笑ってしまう配信です。

第2位 テン年代の建築を考える(全体討議・全7回)
前田さんの生き様が伝わってくるようなコンテンツです。自分をビー玉という「無機質」なものに例えた言葉に嘘は感じられず、「建築家とは?」の答えが詰まっている気がしました。そこに居るけど居ないという存在感。建築が語るのですね。ご自分に対して欲をお持ちでない事が伝わってきます。日本人にしかできない境地、「己を滅して他を益す」ですね。言葉でいうのは簡単ですが、実践できている人はそんなにいないでしょう。実体のないものを動かして儲けるのが当たり前の世の中ですから。何のために建築をつくるのかということを考えた時のヒントが語られています。
次は、いよいよ栄えある第1位の発表です!(小太鼓の音:ダラダラダラダラ〜) 。

第1位 植田実氏も語る。建築メディアは本当に信用出来るのか? 

千葉大学建築レクチュアシリーズ第1回後の居酒屋トークです。シンポジウムをどう聞くか、 メディアをどう受け止めるかの姿勢は、ズバリ、どう行動し、どう生きるかということと関係しているんだなと考えさせられた配信です。集団生活の中で自然と身に付いてしまった思考性。 植田さんを通して、建築系ラジオの姿勢を読み取れる配信です。これを聞くと、コブクロの 「DOOR」という歌を思い出します。(曲名が建具だし。)   ♪ただっ港か〜らぁ見送る人に〜ぃい♪  ってとこです。途中、松田さんが学生に問いかける時のアツい感じも良かったです。若い人がよく言ってしまうセリフですからね。松田さんから若者に向けたメッセージです。最後の学生が語った、パネリストが身近に感じられたという場は、建築系ラジオにはたくさんあるんですよね。これでリアルな世界につながるんです。
 

さて、皆さんの2010年ベスト10!はいかがでしたか? ツアーに参加すると、ランキングも変わってくるのでしょう。参加型のメディアですからね。 まわりの人と是非、建築系ラジオから得たものを語り合ってみてくださいね。  それでは、また来年2011年も、楽しく過ごせますように。 武智仁志は建築系ラジオを応援しています!


武智仁志(たけち・ひとし)
1973年生まれ。京都造形芸術大学通信教育部に在学中。寡黙な男。

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五十嵐太郎(建築系ラジオコアメンバー)


いずれも事件性、ライブ感が強いもの。

第1位 46C: 伝説のトーク「梅林克 × 山田幸司」
(山田さんと梅林克さんのトーク)(Lab・全2回)

第2位 北川啓介のもうひとつの建築設計資料集成!円山町ラブホテルデート編
(北川啓介によるラブホテル街探索)

第3位 都市建築へ(中庭をめぐって)[1/3](全3回)
(松田達個展の後の、展覧会をめぐるトーク)

第4位 首都大学東京 高橋千尋さんと座・高円寺でデート(全3回)
(倉方さんの建築デート 高円寺編)

第5位 51A :建築女子批判?石川翔平が大いに吠える![1/2]Lab・全2回)
(石川くんが建築女子批判をしたもの)


五十嵐太郎(いがらし・たろう)
1967年生まれ。建築史。東北大学教授。著書=『新宗教と巨大建築』『近代の建築と神々』『終わりの建築/始まりの建築』『戦争と建築』『結婚式教会の誕生』。共著=『ビルディングタイプの解剖学』など。http://www.cybermetric.org/50/

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<回答者一覧>(その1)

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松田達天内大樹松岡舞佐藤仁哉江藤靖子阪根正行星洸祐椚座基道関口達也

正木哲入江徹武智仁志五十嵐太郎(順不同)
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さて、アンケートの第一回目の回答公開、いかかでしょうか?興味を持っていただいた回は是非聞いてみてください!これから年末にかけて、順次様々な方の回答を公開していきますので、楽しみにしていてくださいね。

収録日時:2010年2月11日
収録場所:広島国際大学
収録時間:26分53秒
ファイル形式:MP3形式
ファイルサイズ:12.4MB
PLAY 出演者:土井一秀+松岡聡+北川啓介+松田達

広島国際大学の学生企画団体scale主宰の「建築系フォーラム2010」第二部ディスカッション「地方建築家のロールモデルを考える」の後半です。異なるロールモデルを想定している建築家4人による議論は白熱して展開します。論点は地方都市の地域性から発展し、むしろ東京の地域性や特殊性という問題を浮上させることで、都心対地方という構図がもつ問題の核心へと迫っていきます。(T.Masaki)

・出演者プロフィール
土井一秀(どい・かずひで)
1972年広島生まれ。1997年広島大学大学院工学研究科環境工学専攻修了。2001年まで小川晋一都市建築設計事務所勤務。2001年Reiach and Hall Architects(英国)、2002年Diener & Diener Architekten(スイス)、2002-2003文化庁芸術家在外研修員としてforeign office architects(英国)。2004年より土井一秀建築設計事務所主宰。近畿大学工学部非常勤講師。

松岡聡(まつおか・さとし)

1973年愛知県生まれ。2000年東京大学大学院修士修了。2001年コロンビア大学大学院修士修了、デルフト工科大学研究員。2001年-2005年までUN Studio、MVRDV、SANNA勤務。2005年松岡聡田村裕希設立。2007年から京都造形大学専任講師。

収録日時:2010年2月11日
収録場所:広島国際大学
収録時間:30分04秒
ファイル形式:MP3形式
ファイルサイズ:13.7MB
PLAY 出演者:土井一秀+松岡聡+北川啓介+松田達

広島国際大学にて、有志学生企画団体scale(スケール)の企画によって、初イベント「建築系フォーラム2010」が開かれました。その第二部ディスカッション「地方建築家のロールモデルを考える」(前半)です。地方都市で活動する建築家は、どのようなロールモデルをもっているのか。司会を含めた4人のゲスト建築家が、土井一秀=アトリエモデル、松岡聡=往復モデル、北川啓介=プロフェッサーモデル、松田達=メディアモデルという、それぞれのロールモデルを提示しつつ、都市との関係など議論を進めます。(T.Masaki)

・出演者プロフィール
土井一秀(どい・かずひで)
1972年広島生まれ。1997年広島大学大学院工学研究科環境工学専攻修了。2001年まで小川晋一都市建築設計事務所勤務。2001年Reiach and Hall Architects(英国)、2002年Diener & Diener Architekten(スイス)、2002-2003文化庁芸術家在外研修員としてforeign office architects(英国)。2004年より土井一秀建築設計事務所主宰。近畿大学工学部非常勤講師。

松岡聡(まつおか・さとし)

1973年愛知県生まれ。2000年東京大学大学院修士修了。2001年コロンビア大学大学院修士修了、デルフト工科大学研究員。2001年-2005年までUN Studio,MVRDV,SANNA勤務。2005年松岡聡田村裕希設立。2007年から京都造形大学専任講師。

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