建築系ラジオ: 検索結果

「キッチュとアートをめぐって」と一致するもの


前回様々な方々にご協力をいただき実現した、様々な方々にこの一年で印象に残った建築系ラジオのイベントやコンテンツを選んでいただく、アンケート企画の第2回です。前回は、多くの方に共通して選ばれるものから、個人から強い思い入れを受けているものまで、いろいろなコンテンツやイベントが挙げられました。今回もポータルサイト、Lab、r4と、さまざまな発信元から、多様なコンテンツが挙げられています。さて、今回は建築系ラジオに対する、回答者の方々のどのような感想や想いに触れることができるのでしょうか。(関口達也)

<質問>
(a):2010年に建築系ラジオのコンテンツとして配信された音声ファイル(ポータルサイト、Labr4)やツアー、イベントなどから、最も印象に残ったものを、ベスト5(もしくはベスト10)として挙げて下さい。
(b):上記に関連する文章を自由に記述して下さい。

<回答者一覧>(その2)

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
南泰裕平塚桂宮内美紀白濱雅也藤澤卓也花房祐衣守行良晃大木翔太伊東一馬長門亮長江健太北川啓介(順不同)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━



南泰裕(建築系ラジオコアメンバー)


第1位 北川啓介のもうひとつの建築設計資料集成!円山町ラブホテルデート編
第2位 豊田高専SD研究部インタビュー──高専ってどんなところ?
第3位 書物の現在と未来(全体討議・第7回)
第4位 金壽根《空間社屋》を訪れる──金壽根の活動と韓国初の建築雑誌『空間』をめぐって
第5位 伊東豊雄インタビュー「現代建築の向かう先」
第6位 テン年代の建築を考える(全体討議・第7回)

コメント
自身が担当しているコーナー(アーキソフィア、南研究室・建築デザインレビュー)を除き、建築系ラジオならではの収録を選んだ。
建築系ラジオは、生放送ではないものの、大幅な編集を行わない準ライブ的な収録をベースとしている。だから、公開収録はいつもどこかしら、予期せぬハプニング性を帯びている。それが参加する人たちにとっての醍醐味となり、リスナーにもわくわくした感じを与え、生きた建築活動の現在をダイレクトに伝えている。1の北川さんのラブホテルデート編や、6の前田紀貞さんとの「テン年代の建築を考える」は、そうしたハプニング性がもっとも良く表現されているものの一つ。特に、北川さんのラブホテルデート編は、まるで推理小説を読み進めていくかのような、スリリングな臨場感があり、聴いている者をドキドキさせ続ける。この収録は、北川さんの詳細なリサーチにより、渋谷・円山町の生成過程自体が詳しく解説されており、優れたアーバン・エスノグラフィにもなっている。これらの収録自体が、チャンス・オペレーション的な偶発性による、ひとつのアート作品のようにすら、感じ取られる。
2は、こうしたラジオ活動がなければ、まず接点がなかったであろう、工業高等専門学校のみなさんとの対話が、新鮮。
3は、書物への応援番組をやってみようとの趣旨から企画されたもので、ブックディレクターの幅さんや、ジュンク堂書店員の阪根さんの出演が、ユニークな点を提供して下さった。今後のメディアの行方を占う、興味深い収録となった。
4は、通常では入ることができない貴重な建築作品の内部を、実際に体験・解説していただいたもの。海外編の建築紹介としても、貴重な記録。
5は、トップ・アーキテクトの伊東豊雄さんの、生の声。懇親会の流れで、快くラジオ収録を引き受けて下さった伊東さんに感謝。現在もなお、建築への熱い情熱を持ち続けている伊東さんの志が、聴く人の体に沁み渡ってくる。


南泰裕(みなみ・やすひろ)
1967年生まれ。建築家。アトリエ・アンプレックス主宰、国士舘大学理工学部准教授。作品=《PARK HOUSE》《南洋堂ルーフラウンジ》《spin-off》など。著書=『住居はいかに可能か』『ブリコラージュの伝言』『トラヴァース』など
http://bricoleurs.exblog.jp/
http://park16.wakwak.com/~prospector/

TOP


平塚桂(ぽむ企画)


第1位 西村浩×山崎亮「自走力のデザインメソッド」(全4回)
第2位 twitterの現在をめぐって(建築系twitterオフ会)(全体討議・第6回)
第3位 瀬戸内国際芸術祭2010──犬島、直島の建築とアート作品をめぐって
第4位 ソウルの都市と建築をめぐって(建築系ラジオ韓国ツアー第1日目を終えて)
第5位 ヴェネツィア・ビエンナーレ──おすすめの展示は?

「西村浩×山崎亮 「自走力のデザインメソッド」」は、西村浩さん、山崎亮さん、倉方俊輔さんというおそろしく頭の回転がはやく話しのテンポがよく似た三者がグルーヴする強烈なコンテンツだった。建築系ラジオは、魅力的な場所をつかって公開収録を行うのも特徴。「建築系twitterオフ会」を収録したヨコハマアパートメントは集合と離散、開放と閉鎖のバランスが抜群によい場所で、コンビニのおやつを食べながら大学のサークル会議のような雰囲気でズルッと話をして、観客もズルッとまわりの階段や椅子に座って、場の力を借りてのおしゃべりを楽しませてもらった。
個人的には、「瀬戸内国際芸術祭2010──犬島、直島の建築とアート作品をめぐって」のような、即時性が高く臨場感が感じられるツアーもののコンテンツが好きだ。タイムラグはわずか3日ほど。"感動"から"戸惑い"までテキストでは伝わりにくい生声が伝わってくる。登場するのはコアメンバーから学生さんまで。「建築系ラジオ韓国ツアー」の場合、なんと旅行代理店の方もコメントを寄せていた。この誰もが参加できるスタイルは、通常の収録の場合は冗長さを招く可能性もあるのだが、旅の場合はキャンプファイヤーを囲んでがやがやと話しているような様子がイメージできて面白い。私が参加した「ヴェネツィア・ビエンナーレ ― おすすめの展示は?」の場合、収録会場はビエンナーレ会場にあるカフェだった。五十嵐太郎さんと謝宗哲さんにたまたま会場でお会いして、ランチをご一緒しているときにゲリラ的に収録されたものだった。まだ金獅子賞もわからない時点での、直感的なおすすめを話しているのだから思えばけっこう貴重だ。


平塚桂(ひらつか・かつら)
1998年京都大学工学部建築学科卒業、2001年同大学院工学研究科環境地球工学専攻修了。建築ライター/ぽむ企画
twitterアカウント @pomukatsura

TOP


宮内美紀(建築系ラジオスタッフ)


以下5つは「地方」MAT fukuokaを終えて語られるエピソード東京のイメージ──ぼくたちの東京論)、「学生同士の想いの共有」東京仕事百貨代表・中村健太インタビュー ──「建築家をあきらめろ!(仮)」イベント予告編「学生団体へのインタビュー」建築新人戦2010スタッフインタビュー東北工業大学建築学科・デザイン工学科有志団体colorsインタビュー 建築女子ガールズトーク「おしゃれと建築」 )という観点から選びました。地方の多くの建築学生が、建築系ラジオを通して他大学の建築学生の考えや想いに触れているという側面からもこの二つの観点は学生にとって建築系ラジオを象徴するものではないかと考えました。

第1位 MAT fukuokaを終えて語られるエピソード
私が住んでいる福岡で行われたイベントに関する回です。建築の文化を、社会や市民の方々に広く発信しているイベントです。私自身、MAT fukuokaの学生スタッフとして参加したのですが、親子連れの方々や建築関係者ではない方など、様々な分野から多くの方が参加されていて感動的な体験でした。そしてこのイベントで実際にあった、心が熱くなるようなエピソードが語られた回となっており心に残っています。

第2位 東京のイメージ──ぼくたちの東京論
この回で一番印象的だったのは、東京の距離感を、地図や実際の都市のかたちではなく鉄道の乗り換えや路線図・所要時間で認識しているという話題です。確かに、地下鉄が張り巡らされた都市で人々は、場所から場所へ空間をワープ移動するような感じ方をしています。また、「どこからが東京でどこまでが東京であるか」ということもはっきり示せず、イメージでしかとらえられないという議論も興味深いものでした。

第3位 東京仕事百貨代表・中村健太インタビュー──「建築家をあきらめろ!(仮)」イベント予告編
タイトルは、過激ではありますが...予告編を聴いてこのイベントは現在の私の学年(学部3年)にぴったりだと思いました。進路を考え始めた学部生にとって、建築家になりたい人もそうでない人も、このイベントを通して新しい可能性を発見できるのではないかと思います。

第4位 学生団体へのインタビュー
建築新人戦2010スタッフインタビュー
東北工業大学建築学科・デザイン工学科有志団体colorsインタビュー
建築系ラジオでは、様々な建築学生団体へのインタビューの回が数多くあります。建築系ラジオを通して活発な学生団体の様子やその特徴などを知ることができ、刺激になりました。さらに、建築系ラジオでは全国各地数多くの学生団体へのインタビューが配信されているので、様々な団体を比較して個性をつかむことが可能であり、それぞれの団体への理解が深まると感じています。

第5位 建築女子ガールズトーク「おしゃれと建築」Lab
まず私自身が建築を学んでいる学生であるので、とても興味のあるテーマでした。「女子」ならでは、「建築」ならではの悩みについて、ガールズトークが炸裂します。設計などの課題に向き合う生活は女子にとっては、お肌の悩みなど特に大変なことのような気がします。しかしその一方で、他大学の人たちはどんな工夫をして徹夜での作業を乗り切っているのか等々、興味津々でした。多くの方々が同じ思いを抱いているということに触れ自分自身のやる気に繋がったような気がします。


宮内美紀(みやうち・みき)
1989年生まれ。九州大学芸術工学部環境設計学科所属。趣味は旅行とカメラ、水玉模様を集めること。

TOP


白濱雅也(深川ラボディレクター)


第1位 都市建築へ(中庭をめぐって)(全3回)
     松田達展(全3回)
      (都市建築へ、松田達展)
第2位 藤村龍至の批判的工学主義を問う!(藤村龍至vs松田達)(全体討議・全5回)
       (批判的工学主義を問う)
第3位 キッチュとアートをめぐって(全2回)
第4位 バーネット・ニューマン展(川村記念美術館)(全3回)
第5位 上村松園展(東京国立近代美術館)(全3回)
       (上村松園)

1、2は松田達さんの展示をした縁もあり、ギャラリーで放送していたため何度も聴くことができ、刺激的であった。松田達さんや藤村龍至さんのそれぞれのビジョン、スタンス、成果などの差異が美術家にも当てはまる部分が多く非常に面白い。
美術と建築は隣り合う領域でありながらいろいろな面で異なり、また昨今はお互いの領域に侵犯する傾向も見られ、両者の共通項と差異を見ることは、自分自身の立ち位置を見直すという意味では有効であると思う。社会性と個人性とのバランスが異なる点が、建築と美術の大きな違いのひとつであると思う。一般社会の人が思う芸術家は、個人性だけにこだわって作品を作っているように思われているだろうが、実はそれだけではただの落ちこぼれや引きこもりに過ぎないのであって、美術家には美術家の社会性というものはあるし、そういう両面持った人が優れた作家と言えるだろう。これは建築家でも同じだとは思うが建築家の場合は社会性が優れていれば、少なくとも職業人としては認められるだろう。
松田達さんは非常に美術家に近い個人性を強く持ちつつ、その視線の先にはロマンティックとも言える社会的な夢を描いていて、一方の藤村さんは事業家的な視線で夢などは考えもせず冷徹に現実を捉え、その改変をうかがっている。その両者の際立ちをリアルな弁舌で聴く快感はなかなかのものであった。
その個人性をあらわにするリアルタイム感や局所感は、社会性を帯びざるを得ない一般的なラジオではなかなか見られないことで、ポッドキャストラジオならではの良さだろうと思う。


白濱雅也(しらはま・まさや)
1961年生まれ。1988年多摩美術大学美術学部デザイン科卒業。1990年頃より制作を始め、ネオポップやイラスト系具象絵画の先駆けとなる。その後既存の童話のイメージをリミックスしネガティブに変節する絵画や立体作品を制作。主な個展にギャラリーNWハウス、ギャラリー那由他、アートフォーラム谷中、マキイマサルファインアーツ、ギャラリー二葉奥の院、Caelum Gallery他。現在実験的スペース「深川ラボ」運営。

TOP


藤澤卓也(大同大学 元山田幸司研究室)


わたしは山田幸司研究室に所属していたということで、今回、2010年の配信コンテンツの中から選ぶのではなく、あえて山田さんの出演しているラジオの中からBest5を選ぶという形をとらせて頂きました。ご了承下さい。

第1位 12A: カリスマ建築ガールズ 第3回「広島女学院大学 折口麻美さん」シリーズLab
第2位 48C: 村上兄ィの建築系人生相談「山田幸司」Lab
第3位 37C: 山田幸司はどうやって建築家になったのか?(第2部-外国放浪編)Lab
第4位 19C: 山田幸司はどうやって建築家になったのか?(第1部)Lab
第5位 28C: みちのくシリーズ「山田幸司への10の質問」シリーズLab

5~4位は山田さんの建築人生や生き方、そして悩みなどを、自身の言葉で聞く事の出来る貴重な収録です。そして1位は学生に厳しい一言。建築に対しての熱い思いも聞け、学生と会話する山田さんが生き生きしていました。また、普段から「パラパラポコポコ系はいけない」や「ハイテクをやってみろ」などと言っていた山田さんの事を思い出しました。なによりも山田さんの人柄がよく出ていると思い選ばせて頂きました。


藤澤卓也(ふじさわ・たくや)
1987年岐阜県生まれ。2009/4~2010/3大同大学工学部建築専攻山田研究室。2010/4~大同大学大学大学院工学研究科宇野享研究室所属。

TOP


花房佑衣(建築系ラジオスタッフ)


第1位 藤村龍至の批判的工学主義を問う!(藤村龍至vs松田達)(全体討議・全5回)
私が初めて足を運んだ建築系ラジオの公開収録であり、かつ、初めて聴いた建築系ラジオのコンテンツがこの「藤村龍至の批判的工学主義を問う!(藤村龍至vs松田達)」でした。そういった意味で、個人的にとても思い出深いコンテンツです。ずばっと物云う永山祐子さん、素敵です。

第2位 北川啓介のもうひとつの建築設計資料集成!円山町ラブホテルデート編
とても興味深いコンテンツでした。歴史や空間やその他ラブホテルのあれこれについて、知らないことだらけでとても面白かったです。聴いて学んだことをそのまま友人に話したくなるような、そしてさらに自分でもいろいろ調べたくなるような、そんな魅力的なコンテンツでした。

第3位 東京仕事百貨代表・中村健太インタビュー──「建築家をあきらめろ!(仮)」イベント予告編(全5回)
東京仕事百貨は以前から興味があり、よくホームページをのぞいていました。代表の中村健太さんのお話、大変面白かったです。「○○になりたい」と固執せずに、学んだことを活かして専門分野とは別の分野で働くこと、その可能性について考えさせられる内容で、視野が広がったように思います。

第4位 Archi-TV2010 総括──26時間を振り返って(全3回)
こちらも、私自身がArchi-TV2010にスタッフとして携わったことから、思い入れのあるコンテンツです。(収録には参加していないのですが。)同じ年代の建築学生の皆さんが、どんなことを考えているのかを知ることができて、すごく刺激になるコンテンツでした。

第5位 首都大学東京 高橋千尋さんと座・高円寺でデートシリーズ
倉方さんの建築デートシリーズが好きです。建築を専門的に学んだことのない私でも、頭に「?」が浮かぶような難しい話がなく、純粋に楽しめるコンテンツでした。特に座・高円寺でデート編は、私自身が高円寺に住んでいるということもあり、お気に入りです。ゆるゆるふわふわした雰囲気が心地良いです。


花房佑衣(はなふさ・ゆい)
1987年大阪府生まれ。早稲田大学国際教養学部所属。趣味、妄想、ぶらりひとり旅。建築ライターを目指してます。



TOP


守行良晃(建築結社YSSK主宰)


第1位 YSSK TIME SPECIAL「トップ会談」
意外に、というかやはりこれが1位です。2010年1発目にして、建築系ラジオ様とYSSK TIME初の本格コラボ。番組内容はYSSK TIME側に主導権を与えていただきました。コアメンバーのパーソナリティを掘り起こす試みは興味深く、一定程度成果をあげられたという自負があります。3位に選んでいる番組と内容自体は全く同じですが、オープニング曲が違います。

第2位 44C: 伝説のトーク「梅林克 x 山田幸司」(前半)Lab・全2回)
本当の1位です。理屈抜きに面白い。幸運にも収録現場に居合わせて、頬が痛くなるほど笑わせていただきました。伝説とか奇跡とか化学反応とか言葉にすると陳腐ですが、確かに伝説だし奇跡だし化学反応が起こっています。

第3位 43A: 建築系ラジオ新春企画「YSSK TIMEとの合同収録」Lab
第1位のコメントをご参照ください。

第4位 新コアメンバー大西麻貴さんへの10の質問Lab
大西麻貴さんといえば建築結社YSSKとは同世代で、卒業設計日本一決定戦以来頭ひとつ抜け出ている印象があります。コアメンバーとしての露出はまだ比較的少ないようですが、大西さんのご活躍を期待しています。

第5位 51A: 建築女子批判?石川翔平が大いに吠える![1/2]Lab
twitterとUstreamと、新しいメディアをクロスオーバーしながら展開した一連の事件(?)の発端となった番組ですね。新たなスターの誕生を予感させました。が、その後の展開は尻すぼみで番組後半もお蔵入りということで、本来ならば第5位ですがランク外の次点とさせていただきます。

2011年も建築結社YSSKは建築系ラジオを応援しています。


守行良晃(もりゆき・よしあき)
1982年生まれ。京都の建築デブ。建築結社YSSK主宰。公認ぽむ企画チルドレン。建築設計事務所勤務。2007年建築結社YSSK結成。建築系ポッドキャスト「YSSK TIME」配信を中心に活動中。http://yssk.seesaa.net/

TOP


大木翔太(建築系ラジオスタッフ)


第1位 東京仕事百貨代表・中村健太インタビュー──「建築家をあきらめろ!(仮)」イベント予告編
建築家、諦めました。

第2位 書物の現在と未来(全体討議・第7回)
ただ文字を規則正しく並べただけの魔法の道具。

第3位 「Japanese Junction 2010」展レヴュー(全5回)
見たことのない景色がいっぱいある。

第4位 「失敗」をめぐって
(全3回)
    インターンシップ・オープンデスクで考えたこと、感じたこと(全3回)
死ぬまでにあと何回失敗できるか

第5位 twitterの現在をめぐって(建築系twitterオフ会)(全体討議・全6回)
こうして建築系ラジオと関われているのもtwitterのお陰だったりするのです。


大木翔太(おおき・しょうた)
1987年群馬県生まれ。高校中退。その後入学した専門学校で建築の魅力を知り、2010年足利工業大学建築学科3年次編入。本と猫が好き。でも一番好きなのは自分。

TOP


伊東一馬(建築系ラジオスタッフ)


第1位 書物の現在と未来 (全体討議・全7回)
第2位 北川啓介のもうひとつの建築設計資料集成!円山町ラブホテルデート編
第3位 失敗をめぐって(全3回)
第4位 東京のイメージ──ぼくたちの東京論
第5位 スタッフ討議──大学間の差異と共通点

第1位 書物の現在と未来
電子書籍が普及していく中で「本」の魅力を再考するいい機会になりました。

第2位 北川啓介のもうひとつの建築設計資料集成!円山町ラブホテルデート編
一般のラブホテルというビルディングタイプの特徴に加え、円山町におけるラブホテルを多面的に、非常に分かりやすく解説しているコンテンツでした。

第3位 失敗をめぐって
自分自身、失敗をよくするので、聴いていて興味深かったです。人の失敗談を聞くことは、成功した話を聞くことより何倍も楽しくて惹かれます。

第4位 東京のイメージ──ぼくたちの東京論
東京がさまざまなイメージを持たれているということを知ることができました。この類のコンテンツでは結論をださないことは重要だと思います。この回はどこからが東京かということを話していましたが、違う内容で話しても面白いだろうし、「東京出身者からみた地方」などの違うタイプで内容があっても面白いと思います。潜在性の高いコンテンツだと思いました。

第5位 スタッフ討議──大学間の差異と共通点
自分の感じていることがコンテンツになったという感じで非常に共感できました。


伊東一馬(いとう・かずま)
1989年愛知県生まれ愛知県在住。中部大学工学部建築学科3年。私物の中でパソコンの次に高額な物は眼鏡。趣味:サッカー/フットサル

TOP


長門亮(建築系ラジオスタッフ)


第1位 瀬戸内国際芸術祭2010── 豊島美術館をめぐって (全2回)
私も瀬戸内国際芸術祭に行き、この豊島美術館を見てきたこともあり、この配信を楽しみにしていました。五十嵐さん、彦坂さん、北川さんなどの解説を聞き、自分で感じた事と聞き合わせながら、さらに読み取れなかったことなどを解説や感想から聞く事が出来たので、大変勉強になりました。さらこの収録では、豊島美術館にとどまらず、安藤さんとの比較、妹島さんとの差異などの解説も聞く事が出来ました。個人的に瀬戸内国際芸術祭の収録は全体的に好きな配信だったのですが、豊島美術館に収まらず、このツアーの要素がつまった収録になっていた気がしたので、選ばせて頂きました。

第2位 テン年代の建築を考える(全7回)
これは、前田紀貞さんのBar「TENZO」で収録されたものです。前田さんや、前田紀貞建築塾の学生の言葉がひしひしと伝わって来るのを感じました。音声だけでも、その場の雰囲気が伝わってきて、配信されている時期に大学の学生の間で、話題になっていました。

第3位 北川啓介のもうひとつの建築設計資料集成──円山町ラブホテルデート編
建築系ラジオの新しい収録方法だなと思い、選ばせて頂きました。建築系ラジオ版「ブラタモリ」のような、実際に歩きながら、フィールドワークをしながら収録を行うという新しい形の収録がとても印象的でした。音声のみの情報しかないのに、わかりやすい説明で、聞いていてもすごくその場の情景が伝わってきました。内容も、北川先生がわかりやすく解説してくださるので、聞きやすいコンテンツでした。

第4位 twitterの現在をめぐって(建築系twitterオフ会)(全体討議・全6回)
この収録は、たくさんの人が集まった収録でした。収録後の懇親会でもたくさんの人が集まり、学生を交えながらの収録が行われ、本当に飲みながら収録しているということをこの時に確認して、配信できるかできないかのギリギリの話(時にはNGになることも)が繰り広げられていました。でもそれが建築系ラジオの醍醐味でもあるし、私自身もこういった時にこそ、1人1人の本音や深い話ができるのだなと実感しました。

第5位 南研究室・建築デザインレビュー (シリーズ)
これは、私が所属する南研究室の活動の一つとして、建築雑誌の中から毎月1作品から3作品ずつ取り上げて、南先生と研究室の学生がレビューをするというコーナーで、建築系ラジオの連載のなかでも唯一、毎週配信するというコーナーです。そしてリスナーの方から、「いつも雑誌片手にこのコンテンツを聞いて勉強しています。」という話を聞いた時、ものすごくやりがいを感じたのを覚えています。南研の学生は勿論、他大学の知らない学生も一緒に勉強できるコーナーになっているんだなと実感しました。これは、コンテンツ単位ではなく、連載単位で印象に残っている配信です。


長門亮(ながと・りょう)
1989年生まれ。国士舘大学南泰裕研究室所属。趣味、ガラクタ集め。

TOP


長江健太(TETSUSON2011代表)


まず、最初に私は全てのアーカイブを聞いている訳ではない事をお伝えします。見出しの面白さや興味のみで選んで視聴しているので、少し偏った意見になっているかもしれませんので、ご了承ください。

第1位 TETSUSON2011実行委員会インタビュー
選考理由は、自分たちにインタビューして頂いたからです。印象に残っていたという意味で圧倒的に一番だったのでベスト1に選ばせて いただきました。

第2位 交通から都市と建築を考える(第5回カルチベートトーク)(全4回)
「交通から都市を考える 」という視点に興味をもちました。なんとなく興味をもって聞いたのですが、移動という概念を「なるほど」と納得しながらメモをとりつつ、講義を聞いている気分でした。ありがとうございます。

第3位 「Japanese Junction 2010」展レヴュー(全5回)
実際に展示会を観に行って、海外と日本の建築学科 の違いをうっすらと感じていたのですが、インタビューの内容を聞いてみて、両者の違いにある背景がわかりました。

第4位 インターンシップ・オープンデスクで考えたこと、感じたこと (全2回)
自分がインターンシップやオープンデスクを経験した事がないので、実際に参加した学生の話を聞ける機会が得られた事 が貴重でした。

第5位 作品から語るアートとデザインの違い
自分の持っているもやもやとした考えが少し明快になったかと思います。アートとデザインの違い、アーティストと職人の違いなどありがちな視点ですが、面白い話でした。




長江健太(ながえ・けんた)
1989年愛知県生まれ。千葉大学工学部建築学科在籍。TETSUSON2011代表。

TOP


北川啓介(建築系ラジオコアメンバー)


第1位 村上兄ィの建築系人生相談「山田幸司」Lab)(*1)
第2位 伊東豊雄「消費の海に浸らずして新しい建築はない」(1989)を読む(*2)
第3位 Interview with an Architecture student from Norway(*3)
第4位 五十嵐淳CAAKレクチャー(全3回)(*4)
第5位 テン年代の建築を考えるシリーズ(全体討議・全7回)(*5)
第6位 新コアメンバー大西麻貴さんへの10の質問(*6)
第7位 2010年3月号デザインレビュー(住宅特集)(*7)
第8位 東京理科大学建築教育論(全3回)(*8)
第9位 首都大学東京 高橋千尋さんと座・高円寺でデート(シリーズ)(*9)
     奈良女子大学 伊井裕子さんと大阪デート(シリーズ)(*9)
第10位 藤村龍至の批判的工学主義を問う!(全5回)(*10)

「2010年の建築系ラジオをふりかえって」
建築系ラジオ第三期コアメンバー 北川啓介

建築、もしくは、建築することを伝達するには、建築物自体を通して理念や思想を伝える方法以外にも、様々なものがあります。現場での図面、撮影された写真、別途制作された模型、書籍や雑誌での文章、建築家によるスケッチ、コンピュータを活用したCG、別の空間での展覧会、来場者が集まる講演会やシンポジウム、まちづくりなどの打合せ、ネット上のブログ、他者との日常的な会話、小説や映画といった表現など、パッと思いつくだけでも、法学や経済学や商学や理学や医学といった他の分野と比べても多様な手段を施している。しかも、建築分野の人のみならず一般の人の生活の中にも大きな役割として浸透しています。
例えば、今年話題になった水木しげるさんや手塚治虫さんのマンガでも、マンガ喫茶で手にする少女マンガでも、シーンやストーリーを伝達する上での建築の寄与は計り知れないほど大きなものです。私がニューヨークで建築設計に従事していた約10年前は、欧米の建築学生の7、8人に1人がディズニーやハリウッドに代表される映画業界に進み、映画内で設定した建築や都市の様式の表現に今も従事しています。映画や小説の表現においても、建築に関わる、ローマやルネッサンスやバロックやロココなどの時代ごとの建築様式もそうですし、人々の実生活の空間を捉える眼や知見がなければ、SF映画でもファンタジー映画でも一般の人を魅了する表現にはなりえることはないのです。

いわば、建築を学んだ人や建築に関わる人と接していていつも感じるのですが、建築家や建築士や職人さんといった「職種」というよりも、建築的に思考する・構築する「職能」そのものが、建築分野の人がパッと想像する以上に、一般社会へ関係していっているのです。
建築系ラジオは、建築、もしくは、建築することを、「語り」としてそのまま伝達し続けています。年配の方から若手の方までの多様な建築の専門家へのインタビューから、蔵書として手にすることも手間がかかってしまう名著の朗読、建築学生の熱い想い、街を仲良く歩く中の会話、違う考えの専門家同士によるディスカッション、建築の境域に関わる人からのメッセージなど、この一年で、そのコーナーやコンテンツは、まとめることができないほど多様になりました。
前述のように、あまりに建築、もしくは、建築することが、一般社会や日常生活に大きく関係していますので、建築の全体像を捉えようと、ついつい、既にあった建築への切り口に頼ってしまうのは仕方のないことではあります。しかし、ひとりひとりのリスナーが、オリジナリティ、アイデンティティをもって建築に接する際、ひとりひとりが互いに感性を触発しつつ、積極的に行動し実践していくことがとても大切なことです。
建築系ラジオの2010年に関わらせていただいた中で、まずは、建築系ラジオ総体としての考えや動きよりも、建築系ラジオに関係してくださった数多くのとても多様な方々による、あたかもスペインのサッカーのような、ひとりひとりの想いを活かして活動ができたことに、未来に向かう大きな一年であったという認識と共に、全ての方々に繰り返し感謝します。
そうした中で、今回は、ベスト、というよりも、私が聞いている中で、新しい境地に踏み出していると実感したいくつかをご紹介します。

まず、2010年3月24日、こうした境地を切り開かれてきた建築系ラジオ初代コアメンバーの山田幸司さんが登場する最後に残ったコンテンツ(*1)が配信されました。建築に関わる設計活動や教育活動においても、巨匠建築家とも若手建築家とも初学生とも誰とでも隔てなく語り合うことで建築を探求していく、いわゆる山田式対話主義はこの建築系ラジオにおいて全国的に知りわたりました。慕って名古屋まで足を運ぶ人も多かったのですが、その探求の新しい方法論をこれ以降、目の当たりにできないことを念頭に拝聴することで、悲しいとか淋しいとかいう感情よりも、建築系ラジオの始動に際しての山田幸司さんのかけがえのない開拓活動に、再度、尊敬と感謝の気持ちでいっぱいになりました。お亡くなりになられてからしばらく、山田幸司さんの収録済みの音声が流れる度に、まだ日本のどこかで元気にお話しされている気にもなりました。そして、最後に残ったこのコンテンツを聴き終えるとき、建築系ラジオから、建築、もしくは、建築することに向かう多大な意義を具体的に感じ、それが2010年の建築系ラジオの活動の上で最も体が沸き立った瞬間でもあり、まさにそのとき感じたことが、このテキストの冒頭に述べたことです。
今から21年前の伊東豊雄さんの文章を、その頃に生まれた若き建築学生が朗読し、当時学生であったコアメンバーも交じって振り返ります。そのスタイル(*2)は、今の伊東豊雄さんの建築の意義を拡げて認識できるという点よりも、収録に登場した当事者のみならずそれを聴いたリスナーも自身の体験してきた時代と照らし合わせて想いを巡らせられ、建築系ラジオならではの醍醐味と感じ、若い気持ちを保つ上で、必聴です。
女子学生スタッフの松岡舞さんによるノルウェーからの男子留学生へのインタビュー(*3)は、国籍と性別は異なるけど、建築に関わる内容で意思が伝わった際の松岡舞さんの、それまで英語で会話していたのに、その意思が伝わった瞬間の、英語とも日本語とも違う擬声語にも似た、若い建築学生のきたる未来いっぱいの初々しさをも含んだ、頷いてるというよりも寄り添っているのかとも想像させる、「ふぅぅんっ♡」の数秒は、自分自身の学部生時代を思い出しつつ、若い建築学生のこれから何が起きる分からない無限の可能性を実感でき、思い出すだけで今でも体に電流が走ります。
五十嵐淳さんが自作を語り質疑に答えるレクチャー(*4)は、丁寧に言葉を選びながら語りつつも、難解な建築の専門用語というよりも、私たちをはじめ、一般の人々も日常生活で使用している言葉を組み立てて、あたかも、新しい文法を構築していくかのような語りに、五十嵐淳さんの建築物を仕立てていくその方法論と極めて関係が強いと感じました。漢字を礎にしつつその原理原則を読み解きつつ、必要に応じて平仮名や片仮名を織り交ぜて独自な日本語が誕生していった過程に似ていて、語りのみであるからこそ、五十嵐淳さんの建築設計論のオリジナリティが際立っていて、興味深く感じました。
テン年代の建築を考えるシリーズ(*5)は、正月明けに配信があった、大西麻貴さんへの10の質問(*6)と対比して聴くと興味深いです。10の質問の方では、ひとりの若い女性の姿がそのまま表現されています。合コンに例えると、まだ自己紹介を終えたばかりの男性陣と女性がお互いに少々の照れを見せながら話し合っている素朴な探り合いが続く序盤戦という感じで聴けて、時折、プスっと笑えて面白いのですが、テン年代の方では、あたかも合コンでちょっと前に争った恋敵に会ったかのようで、建築系ラジオを流しているパソコンも必死に脂汗を堪えているかのような討議でした。複数の違ったコンテンツが対比を為したからこそ大西麻貴さんのこだわりが強調されて認識できたという点で、非常に興味深かったです。
椎名英三さんによる聖居のデザインレビュー(*7)は、レビューしていること自体を椎名英三さんご自身には事前にお伝えしていなかったにも関わらず、配信後、椎名英三さんご本人からの御礼のメールがきっかけでその後もご本人との予想もしなかった交流が続いているという点で、建築系ラジオからの1本の配信が、その後、予想もしない様々な相乗効果を引き起こす好例として記しておきます。情報を伝達することのみに終始しない化学反応を起こすかのような建築系ラジオだからこそ、と実感しました。
東京理科大学建築教育論のシリーズ(*8)では、学生の皆さんが、自分を取り巻く環境と同時に自分自身をもしっかり批評し、後半、自分自身がどう関わっていくかを含めてしっかりと理想の教育論を展開していた点を高く評価したいことと併せて、一方で、MCを担当した松田達さんが、しっかりとその影武者、いや、間違えました、聞き手、もしくは、裏方として、彼らの語りを丁寧に引き出していたことが印象に残っています。学生の皆さんも松田達さんもイキイキ、ノビノビとしていて、一見、ネガティブな感じで終始しそうな内容にも関わらず、意外にも、最後まで心地よく聴くことができました。これまでの経験を生かして、松田達さん自身が大きなハードルをひとつ超えていると感じました。
カリスマガールと建築デート(*9)では、倉方俊輔さんが女性にアプローチする内容になると、倉方俊輔さんの声に#がかかり半音上がることの発見と、更に、だいたい時を同じくして、女性の声が少し大きくなり、ボイスレコーダーを掴む倉方俊輔さんの手が少しずつ女性に近づいていっていることを想像させ、音声ファイルの波形データとでもいうのでしょうか、そうした単純な音声信号から、建築におけるひとつの大切な概念である距離の遠近までもが伝わってきて、建築や空間って、本当にいろいろな分野と関係しているのだと体感しました。
藤村龍至さんをお招きして開催した公開収録(*10)は、私が企画を担当した最初の公開イベントでした。特に後半の討議の時間にて、藤村龍至さんご自身から、約10年前からの建築に向かう学部生時代から大学院生の時代や留学していた時代といった黎明期から、建築家や教育者として精力的に活動されている萌芽期とでもいうのでしょうか、現在に至るまでの、その年月での建築への思考の変遷を、数多くの成功と失敗を含む試行錯誤の上で築いてきたということを、語り言葉として率直に掘り下げてお話しいただけたことは、今でも必聴と言われ続けているコンテンツになり得ていることが示しているとともに、また、シークレットゲストとして登場してくださった上、ピンクのナースコスプレを着こなしてくださった永山祐子さんへも改めて感謝します。

2011年の建築系ラジオが、これからも実験的な試行錯誤と繰り返しつつ、化学反応を引き起こしつつ、新しい境地を切り開いていくことができればと願うとともに、いつも建築系ラジオを聴いてくださっている数多くの皆さん、そして、いつも建築系ラジオを支えてくださっている数多くのスタッフの皆さんにも、繰り返し感謝します。

以上。


北川啓介(きたがわ・けいすけ)
1974年3月26日名古屋市内の和菓子屋生まれ。建築家、研究者。専門は、建築設計計画、建築意匠、現代建築、都市計画、情報空間論、サブカル論、ナゴヤ論。1996年国立名古屋工業大学工学部卒業。1999年ライザー+ウメモト事務所など。2001年同大学大学院工学研究科博士後期課程修了、博士(工学)。同大学大学院助手、講師、助教授を経て、現在、国立大学法人名古屋工業大学大学院工学研究科准教授、名工大ラジオ局長。論文=『映画の中の都市と建築』、『和菓子と建築』など。報文=『マンガ喫茶白書 社会問題に先行するひとり一畳の聖域』(日本建築学会建築雑誌、2008年4月号)、『もうひとつの建築設計資料集成』(日本建築学会建築雑誌、2009年12月号)など。著書=『ハイパーサーフェスのデザインと技術』(彰国社、2005年)など。受賞=日本建築学会東海賞、名古屋市都市景観賞など。



TOP


<回答者一覧>(その2)

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
南泰裕平塚桂宮内美紀白濱雅也藤澤卓也花房祐衣守行良晃大木翔太伊東一馬長門亮長江健太北川啓介(順不同)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

さてさて、アンケートの第二回目の回答公開、皆様の回答からもそれぞれの建築系ラジオへの聞き方があるのだな、と再認識しています。自分に興味を持っていただいた回は是非聞いてみてください!まずはそこから!では、次回もぜひお楽しみに。



建築系ラジオでは、2010年もいろいろなイベントなどを企画し、コンテンツを配信してきました。「建築」という一つの軸を持ちながらも、それぞれの記事が個性を持っていて、一言では到底まとめきれないほどです。今回は、スタッフやコアメンバーをはじめとした建築系ラジオの関係者、そして過去に建築系ラジオに出演された方々や、リスナーのみなさんにまで協力をいただき、「2010年の建築系ラジオで印象に残るコンテンツ・イベント」を選んでもらうアンケートを行いました。リスナーとしての彼・彼女らの選ぶ2010年の建築系ラジオとは・・・?

2010年を振り返りながら、建築系ラジオのこの先を考えていく機会となるであろうこの年末企画、数回にわたって様々な回答を公開していきます。以前からリスナーのあなた!今日初めて建築系ラジオを知ったあなた!・・・一緒に今年の建築系ラジオを振り返ってみませんか?(関口達也)

<質問>
(a):2010年に建築系ラジオのコンテンツとして配信された音声ファイル(ポータルサイト、Labr4)やツアー、イベントなどから、最も印象に残ったものを、ベスト5(もしくはベスト10)として挙げて下さい。
(b): 上記に関連する文章を自由に記述して下さい。

<回答者一覧>(その1)

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
松田達天内大樹松岡舞佐藤仁哉江藤靖子阪根正行星洸祐椚座基道関口達也

正木哲入江徹武智仁志五十嵐太郎(順不同)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━



松田達(建築系ラジオコアメンバー)


以下、第10位から順に挙げていきます。僕の場合は、特に聴いてほしいコンテンツベスト10として挙げています。

第10位 あなたも建築系ラジオのスタッフに興味ありますか?
はじめてスタッフにMCをお任せした回。建築系ラジオを支えてくれているスタッフの皆さんの様子がよく分る収録で、この収録の配信をきっかけに、多くの方々がさらにスタッフとして加わってもらえました。いまや建築系ラジオスタッフは、48人に届きそうな勢いです。もちろんスタッフはずっと募集していますので、聴いてみて興味を持った人がいたら、ぜひご連絡下さい。関連ファイルとして、「建築系ラジオ女子スタッフインタビュー」という配信回もあります。

第9位 羽藤英二先生の考えるモビリティとは?
都市系ラジオというコーナーを時々展開しており、その中でも特に示唆に飛んだ回です。都市をテーマとした、深夜の本気のトークです。直前の議論は、「交通から都市と建築を考える(第5回)カルチベートトーク 」という公開討議であり、そちらとぜひあわせてお聴きください。

第8位 Interview with an architecture student from Norway
スタッフの松岡舞さんが、ノルウェー人留学生にインタビューしたファイル。英語でのインタビューであり、またヨーロッパの目から日本の建築界がどのように見えるのかが掘り下げられた、秀逸なコンテンツ。

第7位 植田実氏も語る。建築メディアは本当に信用できるのか?われわれは何を拠り所に建築を考えるべきなのか?
植田実氏にお話していただいた歴史的な回。現在の建築メディアそのもののあり方について問いつつ、メディアへの信用というものの根拠を問い詰めていく。ラディカルな内容だと思います。

第6位 若手建築家による建築論(r4・シリーズ)[1][2][3][4]
飲み会で盛り上がった建築論を収録。建築関係者の飲み会ではよくある光景であるにもかかわらず、なかなか表に出ることのないようなトークを公開。ガチの建築論です。

第5位 twitterの現在をめぐって(全体討議)
建築系ラジオポータルサイト開始直前、横浜アパートメントでの討議。場所も良かった。和やかな雰囲気の中、討議が次第に白熱して加速。もっとも建築系ラジオらしい全体討議となりました。参加者、発言者もかつてないくらい多数。

第4位 建築系ラジオへの質問(全2回)
建築系ラジオのことを知るために、聴いてほしいコンテンツ。僕がスタッフらからの質問に答える形ですが、いかにして建築系ラジオが生まれ、何を目的に動いているのか、その特徴は何かなど、かなり多様な側面から話しています。こういう質疑応答を収録しようというアイディアをくれたスタッフに感謝です。

第3位 書物の現在と未来(全体討議)
書物をめぐる討議。電子書籍元年とも言われるこの2010年に、書物についての討議をできたのは良かった。幅允孝さん、阪根正行さん、中沢雅子さんら、それぞれ立場の異なる人たちの意見が面白いように絡みながら展開。全体として、とても意義深い討議になっていると思います。

第2位 建築家のSとM、草食系と肉食系をめぐって
あまり聴かれていないかも知れませんが、この収録回は面白いと思います。建築家はSかMかという話に始まり、これは合コントーク?というような形で話が展開。しかし、そこには草食系と肉食系、オトメンと男の娘(おとこのこ)、第一印象と第二印象など、現在の社会における人間関係を考えるための様々なキーワードが現れてきます。

第1位 伝説のトーク「梅林克 x 山田幸司」Lab
語り継がれるだろう伝説の収録回。それぞれの地域の建築界で飲むともっとも面白いと言われる、梅林克さんと山田幸司さんの二人が、ついに出会って生まれたトーク。ネ申トークといっても過言ではないでしょう。

建築系ラジオ音声コンテンツ2010ベスト10
1. 伝説のトーク「梅林克 x 山田幸司」Lab
2. 建築家のSとM、草食系と肉食系をめぐって
3. 書物の現在と未来
4. 建築系ラジオへの質問
5. twitterの現在をめぐって
6. 若手建築家による建築論 [1][2][3][4](r4
7. 植田実氏も語る。建築メディアは本当に信用できるのか?われわれは何を拠り所に建築を考えるべきなのか?
8. Interview with an architecture student from Norway
9. 羽藤英二先生の考えるモビリティとは?
10. あなたも建築系ラジオのスタッフに興味ありますか?

さらに、建築系ラジオ関連イベント2010ベスト5もあげておきます。特に2010年は、建築系ラジオポータルサイトが誕生したこと自体が、大きな出来事でした。

建築系ラジオ関連イベント2010ベスト5
1. 建築系ラジオポータルサイトオープン(4/27)
2. 建築系ラジオスタッフ合宿(10/10-11)
3. 建築女子展「私たちのアトリエ...女子だけ?!」(3/23-27)[1][2][3][4]
4. 建築系ラジオ瀬戸内国際芸術祭ツアー(10/22-24)
5. 豊田高専SD研究部主催講演会「建築学生にできること」(10/30)


松田達(まつだ・たつ)
1975年生まれ。建築家。松田達建築設計事務所主宰。京都造形芸術大学・桑沢デザイン研究所非常勤講師。隈研吾建築都市設計事務所を経て文化庁派遣芸術家在外研修員としてパリにて研修後、パリ第12大学パリ・ユルバニスム研究所にてDEA取得。作品=《第一回リスボン建築トリエンナーレ帰国展会場構成》《フラックスタウン・熱海》ほか。受賞=第10回タキロン国際デザインコンペティション3等ほか。共著=『20世紀建築研究』(INAX出版)、『建築・都市ブックガイド21世紀』(彰国社)ほか。 http://www.tatsumatsuda.com/

TOP


天内大樹(建築系ラジオパートナー)


第1位 信州大学 鍋田莉江さんと東京カテドラルでデート
第2位 北川啓介のもうひとつの建築設計資料集成! 円山町ラブホテルデート編

《建築で/建築を口説く》
キャッチーな建築系ラジオの性格が最も現れたコンテンツだったろう。通常のメディアには載らないような会話の中で、建築に関連する歴史や経済が語られる両コンテンツである。建築に関連する思考を日常のものとする人々が、普段都市という書物をいかに読み込んでいるのか、その習慣を伝える。現状では、どちらも知識と年齢が高い男性が若い女性に話し続けるという形になっているが、いずれ男女逆パターン、あるいは建築系女子からの逆口説きヴァージョンなどもあり得るだろうか。

第3位  豊田高専SD研究部インタビュー──高専ってどんなところ?
第4位  東京理科大学建築教育論 [1/3]──今、学生が求めるもの(全3回)
第5位  東京理科大学TUSAインタビュー [1/2]──TUSAの活動について(全2回)
第6位  スタッフ討議 - 大学間の差異と共通点

《学生たちのエネルギー》
豊田高専のインタビューは特に編集がリッチで、安心して聞ける番組だった。上記はどれも学生たちが、自分たちの置かれた教育環境をどう認識し、何をすればよいのか考えている様子を伝える。学生は建築系ラジオの聴取者層としてはかなり厚い存在だが、スタッフだけを見ていても、学校の外で何を学ぶべきか考える意欲が目立つ。

第7位  スタッフからみた建築系ラジオ──おすすめコンテンツ

《自己検証を推進したい》
五十嵐太郎氏が編集長を務めた時期の『建築雑誌』の第一号もそうだったが、建築系ラジオでも(この文字コンテンツも含め)年に数回くらいメディアの自己検証が行われている。新聞、テレビなどのマスメディアや出版メディアではあまり見られない(たまに放送メディアで番組審議会の報告が出る程度か)が、建築系ラジオが新たなメディアとしての形態を切り開いていく上で、必要な過程とさえ言えるだろう。

以上、自分の関係しなかったコンテンツから。


天内大樹(あまない・だいき)
1980年東京生まれ。日本近代建築思想。2008年東京大学大学院(美学芸術学)博士課程単位取得満期退学。日本学術振興会特別研究員(PD、大阪大学)、國學院大学・多摩美術大学非常勤講師。共著書に柳澤田実編『ディスポジション:配置としての世界』(現代企画室2008)、共訳書にエイドリアン・フォーティー『言葉と建築──語彙体系としてのモダニズム』(鹿島出版会2006)http://www.ne.jp/asahi/d/ama/

TOP


松岡舞(建築系ラジオスタッフ)


第1位  テン年代建築を考える[5/7](全体討議・全7回)
初めてラジオ収録現場に居合わせ、かつ、初めて編集作業に関わったという、個人的に思い出深いコンテンツ。大西麻貴さんの「玉砕覚悟で質問してもいいですか。」という一言から、議論がどんどんと盛り上がっていく様子はハラハラ、ドキドキとして何度聞いても面白い。そしてなによりも、どんな人に対しても、ぶれない持論をぶつけていく前田紀貞さんの姿勢がとにかくかっこいい。

第2位  北川啓介の「無批判的行動主義」の誕生(シリーズ)
藤村龍至さんの「批判的工学主義」、そして北川啓介さんの「無批判的行動主義」誕生の様子がよく分かるコンテンツ。若山滋先生のとても分かりやすい説明、優しい口調は、とても聴き心地がよい。自分自身が「建築の意味とはなにか」を考え始め、読書をしたいと思えるきっかけになった。

第3位  カリスマガールと建築デート (シリーズ)
このシリーズを聞くと実際に自分がその建築を見に行っているような気分になれる。東京や大阪に簡単に行ける距離に住んでいない人には特におすすめ。次、どの建築のどの部分に注目して見学しよう、という指標になる。倉方さんの専門的な説明や、建築学生の率直な感想が聞けるのが面白い。一度、倉方さんとデートしてみたいと思わせるコンテンツ。

第4位  「失敗」をめぐって──失敗を克服して自分のものにすること(全3回)
学生必聴のコンテンツ。失敗してもそのあとにどう行動するか、学生だけでなく多くの人のかゆい所をついていると思う。失敗から学ぶことは本当に多いな、と改めて思った。設計事務所のインターンシップに行く前に、このコンテンツを聞きたかった。

第5位  豊田高専SD研究部インタビュー──高専ってどんなところ?
建築系ラジオ初の高専でのインタビュー。私自身も出演していて、思い出深いコンテンツ。「高専」という教育機関を多くの建築学生に知ってもらえるきっかけになったと思う。高専からの編入を受け入れている大学の学生、関係者にぜひ聴いてもらいたい。


松岡舞(まつおか・まい)
1990年東京都生まれ。豊田工業高等専門学校建築学科所属。特技はスイスドイツ語が少し喋れること。

TOP


佐藤仁哉(建築系ラジオスタッフ)


第1位 伊東豊雄「消費の海に浸らずして新しい建築はない」(1989)を読む(全2回)

新しい勉強の仕方
まず始めにテーマとなるテキストを読み、学生達がそれぞれの考えを言い合い、最後に五十嵐さんが解説を行う。先生が加わった公開読書会のようなコンテンツ。学校のように先生から一方的に教えてもらうだけの授業や、偏った考えに終始してしまいそうな学生の勉強会との間をうまくついた非常に面白い企画だと言えます。またテキストは約20年前に書かれた伊東さんの文章で、これはおおよそ大学生が生まれた年代ともリンクしていて、その時代の社会背景や建築事情を知ることで、逆説的に、今の現代を知る上でのキーワードになっているのではないでしょうか。今後もやり続けてほしいコンテンツです。

第2位 テン年代の建築を考える(全体討議・全7回)

討論を生み出すラジオ
このラジオを研究室でかけ流しにして聞いていた時に、これをきっかけに学生同士で熱い議論が生まれたというのが印象的で凄く鮮明に記憶に残っています。テン年代の建築というタイトルに興味を持ち、聞き始めたのですが、内容が「自己と自我」や「超越的と超越論的」の違いといった話に徐々に拡張していくのも建築系ラジオの醍醐味なのではないだろうかと思います。本や雑誌などと違い、その場で編集の出来ない、今自分自身が感じた事を話し合う建築系ラジオは、このラジオを聴くとより強くそのことを認識し、考えさせられるラジオだと思います。

第3位 五十嵐太郎論 − 人間・五十嵐太郎を語る

誰もが気になるその実像
たとえ建築に携わっていない人でもこの名前を聞いたことがあるという人は多いのではないでしょうか。建築批評家としてだけではなく、小説家や文学者などとしての顔を持ち、その多面さ故に、一体、五十嵐太郎とはどんな人間なのだろうと思っている人は多いはず。村上心先生の渋い声や学生達の和気あいあいとしたライブ感を味わえるのも建築系ラジオの特徴と言えます。建築を学ぶ人以外にも五十嵐太郎に興味のある方に聞いてもらいたいラジオです。

第4位 レクチャー編「スケールと身体」(シリーズ・全3回)

一対一の特別レッスン
ラジオを聴きながら建築家の個人授業を受けているような贅沢なコンテンツだと思います。建築家・南泰裕が「身体」というテーマで学生と話をする全3部作であり、「身体」というテーマから話題が縦横無尽に展開していくのが非常に聴いていて面白いです。手帳のサイズってどのくらいが一番いいのだろうか、という身近な疑問から建築家は一体何を生み出そうとしているのか、といった非常に壮大なテーマにまで議論が展開していくのも、このコンテンツの魅力の一つなのではないかと思います。建築を学ぶ学生にぜひ聴いてもらいたいです。

第5位 スタッフ討議 − 大学間の差異と共通点

現役建築学生が語る私の建築学科
建築系ラジオを最も間近で体験している学生のスタッフが自分自身でMCをやり、スタッフが今最も気になっているテーマで収録を行うという企画です。この収録をした日は、ラジオスタッフの慰労会でもあり、さまざまな大学のスタッフが集まっていたので、日頃なかなか知ることの少ない他大学の建築を解剖したいというのが目的でした。各大学や研究室によってかなりの差異があって、これから大学に入って建築を学ぼうとしている学生や院試を考えている学生に聴いてもらいたいラジオになっています。


佐藤仁哉(さとう・じんや)
1986年生まれ。国士舘大学大学院南泰裕研究室所属。趣味、仮面ライダー。

TOP


江藤靖子(建築系ラジオスタッフ)


第1位 作品から語るアートとデザインの違い
「デザインとは多くの人が見たいと思うものを見せるものであり、芸術とは多くの人が見たくないと思うものを見せるものである 」という彦坂尚嘉さんの解説には、一般 に考えられているデザインとアートの概念を変革させるものがあります。一般にデザインと考えられているものが芸術になり、一般に芸術と考えられているものがデザインになってしまう。キュレーターの長谷川祐子氏が東京都現代美術館でキュレーションした『アートとデザインの遺伝子を組み替える 』のようにアートとデザインの在り方 が逆転した現象が起こっています。では、私たちはこのような状況のなかでどのようにアートとデザインを見極めればよいのでしょうか。このコンテンツでは彦坂さんがアンディ・ウォーホルのシルクスクリーンの作品の刷りを例に、アートとデザインの違いを具体的にわかりやすく解説してくださっています。アートとはなにか、デザインとはなにかという問いを抱いている方 は是非聞いてください。

第2位 瀬戸内国際芸術祭2010―豊島美術館をめぐって(全2回)
豊島美術館は、ランドスケープと建築、そして建物の中の水滴がフラクタルのように入れ子状に構成されている美術館でした。来場者は「繊細な水滴の動き」と「特殊なシェル構造の建築」と「広大な庭 」の三点の関係性に深い意味を見いだそう とします。しかし私は実際に豊島美術館を訪れ、建物の中に入るまでの長いエントランスを歩くときに、庭の手入れがあまりされていないような印象を受けました。そのため 、ランドスケープと建築の関係などのコンセプトが見えづらくなっていると思いました。また、彦坂尚嘉さんがおっしゃっていたように、白い コンクリートの上を水銀のように滑らかに動く水の動きを眺めることは楽しいものですが、高度な芸術作品を鑑賞したときに鑑賞者の中に生じる「意味」は、この豊島美術館では構成することができないのではないでしょうか。しかし、その一方で五十嵐太郎さんが指摘するように建築の技術的な面から見ると、ナノレベルで床の起伏をコントロールし、低い天井でありながらシェル構造であることなど、今までの建築にはない新しさを持っているとの評価を受けています。これは内藤礼というアーティストの作品のための空間を口実にすることによって実現できたものです。このことから、 アーティストが豊島美術館を鑑賞し、このコンテンツを聞いて考えるべきことは、「建築のための作品を口実にすることに より、従来にはない新しいアートの在り方があるのではないか、そしてそれはどのようなものか 」ということだと思います。

第3位 世界の新しい美術館と皇居美術館(全5回)
ミュージアムとはそもそもどのような存在でしょうか。ミュージアムのもとになったものは、大航海時代に王侯貴族が世界中の珍しいものを収集した「驚異物蒐集室(ヴンダーカンマー)」、「人工物蒐集室(クンストカンマー)」といわれています。松宮秀治著『ミュージアムの思想』あるように、世界中のものを自分の物にしたいという欲望は西欧の帝国主義を生みだしました。そして藝術という観念は18世紀の啓蒙主義の時代に世界中のものを体系的に分類しようとする運動のなかで、現代のようなかたち となりました。そして、藝術を藝術とするパラダイムの設定 の場が「美術館」です。つまり藝術と美術館と帝国主義は不可分の関係にあるということです。それでは明治維新によって誕生した大日本帝国の場合はどうでしょうか。大日本帝国は1945年の敗戦によって崩壊し、日本 という国はタブラ・ラサの状態になったという主張はよく聞きます。しかし事実を丁寧に見極めていくと必ずしもそうではないと彦坂尚嘉さんは指摘します。そこで、あくまで空想の世界で、天皇陛下に京都にお帰りいただいて、からっぽになった皇居をリノベーションし、巨大美術館を建設し、超一流の日本美術を収蔵することを提案します。そこには一体どのような意図があるのか。暮沢剛巳さんと五十嵐太郎さんの紹介する現代の美術館の動向と合わせてお聞き いただくとより一層理解が深まるのではないかと思います。

第4位 日本の美術運動(全2回)
近年コレクションを持っていないにも関わらず 美術館を名乗る大型施設が登場しています。しかしそういった施設は「アートセンター 」とでも呼ぶべきであって、美術館と呼ぶべきではないと考える方は多いようです。なぜなら美術館の最大の使命とはコレクションを収集・研究し、その成果を展覧会という形で多くの市民に広めることだからです。また、大規模集客をねらって海外から有名な作品を借りた企画展の乱立も、美術館の冬の時代といわれる現代に多く見られるようになりました。こうした展覧会は美術に関心のなかった人々をひきつける役割もかつてはありましたが、いずれ人々に飽きられてしまうのも時間の問題です。そしてなによりも「今まで注目されていなかった作家や美術運動に焦点をあてて紹介する 」という美術館にとって重要な機能を全く果たしていません。このような状況のなかで、このコンテンツで取材させていただいた板橋区立美術館での館蔵品展「日本の美術運動」と「新人画会展」は地道なコレクション収集と研究の成果をきちんと展覧会という形にしています。また、一般に知名度の低い大正時代から戦後までの日本の美術運動を紹介しています。こうした展示は新聞広告や美術系雑誌やテレビ番組などで華々しく宣伝されることはありません。そこで建築系ラジオのようなメディアがこうした展示を紹介する役割を果たしていけるのではないかと思います。

第5位 キッチュとアートをめぐって(全2回)
現代芸術においてキッチュとアヴァンギャルドというものは決して避けては通れないものです。こうした命題に正面から取り組んでいる現代美術家の彦坂尚嘉さんの言説は、オーソドックスな美術史と、ご自身の過去の活動を踏まえた血肉の通ったものであると思います。そして、後半ではモダニズムの潔癖さを批判し、ポストモダンに生きる私たちはどのような表現をしていくべきかを、純粋 な表現と装飾だけのものの両方を取り入れることによって成り立たせるなど、新しい概念の紹介をなさっています。また、美術館などの体制に対する批判などの、日本のメディアが怠ってきたこともおこなっています。こうした、開催中の展覧会のシンポジウムや出演者の個人の意見を収録する情報の速さと健全な批判を配信していくところに建築系ラジオの役割があると思います。それは インターネットを媒体とし、テキストではなく音声を配信することによって可能になった、配信の速さ と出演者の言論の自由によるものであり、既存のメディアにはできなかったことだと思います。


江藤靖子(えとう・やすこ)
1987年静岡県生まれ。東北芸術工科大学芸術学部美術科日本画コース4年。趣味:美術館めぐり



TOP


阪根正行(ジュンク堂書店店員)


第1位  テン年代建築を考える[1/7](全体討議)
建築系ラジオの一番の売りはライブ感だと思うんですね。たしかに一歩間違えればぐだぐだになってしまうので気をつけねばならないと思うのですが、基本的にあまり下準備しないで、「よーいドン!」でやっちゃっていいって思うんです。それが一番うまくいっていたのが『テン年代の建築を考える』だったな。ぶっちゃけテーマの「テン年代の建築」なんてどうでもいい。未来予想とかどうでも。それよりもなによりも出演者の生きた声を聴きたいんですよ。
大西麻貴さんにはやっぱり注目していて、女性だからというか、同世代の野郎たちを押さえ込んでいるところをみると、彼女は妹島和世レベルの大物なのか?って期待しちゃいます。 もちろん作品を見ないと分かりませんけど、安藤さんにしろ妹島さんにしろ作品見ないでも分かるじゃないですか。「ああ、この人は建築家になるべくしてなったんだ」って(笑)。そういうのってラジオでけっこう分かるんですよ。

結論から言うと前田紀貞さんの一言が言い当ててる。「全然面白くない!」で決まり。前田さんの初っ端の一言! 会場が動揺している様子がありありと伝わってきて面白かったなー(笑)。大西さんも403 architectureも萎縮しちゃうし、司会者も「まずいなー」って感じで、比較的受けが良かった能作さんも明らかにびびって話がうまくできてないし。そういう前田さんも言ってることめちゃくちゃで(笑)。「がんばってますなんて当たり前だ!」と大西さんにツッコミつつ、「俺はバカだ!」っておおっぴらに言う前田さんってどうよ。「建築家がバカじゃまずいっしょ!」ってツッコミどころ満載だし(笑)。
ま、議論自体はどうかと思うけど、でもわかりますよね。前田さんの初っ端の一言、「全然面白くない!」っていう直観は正しいんじゃないかって。大西麻貴さんは優秀だし、他の回に出ていた藤村龍至さんも相当優秀だし、コアメンバーの松田達さんも同様に優秀だし。でも妹島和世、安藤忠雄、磯崎新に匹敵する建築家になれるかと言えば、現時点では明らかにNOだよなって。何かが足りないって、けっこうみんな分かっていると思うんですよ。でももっとはっきりと分かっているのは、前田紀貞さんや安藤忠雄さんのようにぐいぐい押す感じでもないよな、あれじゃ、ダメだよなってこと。それはそれで、けっこうみんな分かってるんですよ。

じゃ、どうなるの?

とんでもない野郎が突然出てくるのかもしれないけど、そうじゃなくて、なんか大西麻貴さんや藤村龍至さんが気が付いたら声がでかくなっていて骨太になっていたという時が来るんじゃないかってやっぱり思うんですよ。こういうのって理屈じゃないです。感触です。それがラジオではよ~く分かるんですよ。これからもちょくちょく聴きます!

追記:ちなみに、私は『書物の現在と未来』というテーマの回に出演させていただきました。う~ん、確かに書店でいろいろやってはいるし棚を作っているのだけど、建築家のように作品を創っている人に比べると全然弱いんですよね。「全然面白くない!」っていう前田さんのツッコミを3連発ぐらいリミックスしてもらってもいいぐらいなんだよな~(汗)。「がんばります」って言っても「そんなの当たり前だ!」って言われるし、弱ったな。。。 「がんばります」。


阪根正行(さかね・まさゆき)
学生時代、建築を学ぶ。渡辺明設計事務所勤務を経て、現在、ジュンク堂書店新宿店員 (人文書担当)。

TOP


星洸祐(建築学生団体TUSA2010代表 )


第1位 藤村龍至の批判的工学主義を問う!(藤村龍至vs松田達)(全体討議・全5回)
第2位 高橋堅さんの「BRASS CLINIC」を訪れる
第3位  伊東豊雄「消費の海に浸からずして新しい建築はない」」(全2回)
第4位 瀬戸内国際芸術祭2010
第5位  展覧会「ドミニク・ペロー 都市というランドスケープ」オーディオガイド



星洸祐(ほし・こうすけ)
1988年生まれ。東京理科大学理工学部建築学科第3学年。建築学生団体TUSA2010代表

TOP


椚座基道(仙台建築都市学生会議代表)


第1位 twitterの現在をめぐって(建築系twitterオフ会)(全体討議・全6回)
第2位 テン年代の建築を考える (全体討議・全7回)
第3位 書物の現在と未来[5/7]──幅允孝「空間を本で演出する意味とは?」 (全体討議・全7回)
第4位 「Japanese Junction 2010」展レヴュー(全5回)
第5位 建築新人戦2010スタッフインタビュー(全3回)

地方にいる学生にとっての建築系ラジオの意義というのは非常に大きい。東京などの大都市圏に比べると、地方の学生が出向くことの出来る展覧会の数というものは限られてくる。その中で、webを通じたメディアというものは、大都市圏、地方が同等に情報に触れられる。これが、地方の学生にとっての救いになっていることは、確かであると思う。その意味で、建築系ラジオでとりあげられているコンテンツはとても興味深く、地方と東京の距離を近づける役割を担っていると考える。この一年の中で、特に気になったものとしてはtwitterの現在を語る(建築系twitterオフ会)や、建築新人戦をはじめ、各地の学生団体へのインタビューが挙げられる。
まず、「twitterの現在を語る」と題されたこのコンテンツは、自分自身がtwitterに登録していることもあり、共感する部分が多かった。実際、会ったこともない人たちとtwitterを介して会話をし、全国各地と「建築」というゆるく大きな枠組でつながっている実感を得ることができた回であったと思う。また各地の学生団体インタビューにおいて、それぞれの建築学生の動きや生の声を聞くことができたのは有意義であった。webやそれこそtwitterを通じて、各地の建築系学生団体が活動していることは認識してはいたが、実態はいまいち掴めなかった。それが、建築系ラジオというメディアを通して生の声を聞くことで、よりリアリティが増した。仙台近郊にも自身が所属する仙台建築都市学生会議をはじめ、いくつかの団体はあるが、全国各地で様々な活動を展開していることを知ることが出来たのは、刺激にもなり、励みにもなった。
最後に、建築系ラジオは建築界、特に学生を中心に大きな影響をもたらす存在であると思う。そして、一人の学生という立場から、建築系ラジオには、現代建築やそれにとどまらない幅広い知識を付与してくれるメディアであると同時に、全国の建築学生の動きを伝えてくれるかけがえのない媒体であり続けることを、私はこれからも期待していきたい。


椚座基道(くぬぎざ・もとみち)
東北大学3年 仙台建築都市学生会議代表

TOP


関口達也(建築系ラジオスタッフ)


第1位 土木系ラジオ+建築系ラジオ合同全体討議 (全体討議・全5回)
第2位 交通から都市と建築を考える(第5回カルチベートトーク)(全4回)
第3位 東京のイメージ ─ ぼくたちの東京論
第4位 北川啓介のもうひとつの建築設計資料集成!円山町ラブホテルデート編
第5位 「失敗」をめぐって (全3回)

まず、選んだベスト5の決め手になったのは、「建築系ラジオに考えさせられた自分」ということでしょうか。もう少し具体的にいうと、自分は普段、何かを設計したり、デザインしたり、ということはしていません。「都市を解析する」ということで研究を行っています。そんな私に対して、 1)純粋に興味をくすぐってくれたもの、 2)自分の中で考える都市工学の位置づけ 3)さらに自分が都市工学の中で興味の対象としている部分はどこなのかということを考えさせてくれたものを中心に選びました。おそらく建築系ラジオの中でも、かなりイレギュラーなものを選んでいるかと思いますが、建築やデザインそのものから普段少し離れている個人の興味はこうなる、と受け取っていただければと思います。以下、ベスト5に選んだトピックに関して、それについての感想と私なりの考えを順に述べていきます。

第1位 土木系ラジオ+建築系ラジオ合同全体討議
この収録は、自分が都市工学という勉強を始めた時から、常に根底に持っていた建築・土木・都市工学という三種類の分野のそれぞれの位置づけについて考えさせてくれる回であったと思っています。議論は、建築と土木を対比しながら進んでいきます。二つの要素を少しずつ合わせもつ、「都市工学」という立ち位置に立つ自分自身は、収録の場に居合わせながら、議論を聞きつつ建築と土木について、都市工学と何が同じで、何が違う部分なのか?」というようなことを考えていました。その中で、ハードを作ることに限らず、使う側の視点を踏まえた上で、都市のデザインやシステムをつくり、制度などの形で実社会に還元していくのが都市工学なのかな、と自分なりにたどりついたことは、鮮明に記憶しています。同じ何かをつくり出す複数の分野を、融合させていこうという考え方があることは、私自身いいことだと思っています。それが融合してどのような思想を持つ分野になるかは予想できませんが。それぞれの分野に携わる人たちと、実際に利用する人々の四主体がうまくシンクロできれば、日本の都市はこれからもよくなるのではないかと思います。

第2位 交通から都市と建築を考える(第5回カルチベートトーク)(全4回)
人間は光合成をしないから移動をする、という人間の根源的な所から入って、現代社会の歴史を踏まえた都市と移動の関係性を論じていました。話のスケールの変化の仕方がとても秀逸だと感じたのを覚えています。一見突飛で多様なトピックから入っていって、それが移動と空間という部分に収束していくのですが、この話がどういう風に進んでいくのだろうと、わくわくしながら聞きました。この記事を聞いて思ったことは、「都市や建築(ややもすればそれだけに限らず)を取り巻くものは、人々の生活に端を発している」ことを念頭に置くこと、また、情報技術の進展や人々のライフスタイルといった形としてとらえどころのない都市の構成要素の変化を基にして、言葉や概念だけでなく、システムを機能させる実際の空間を形づくっていくのかということを考えなければならない、都市計画を学んできた自分の中で大事な部分を思い出した気がします。

第3位 東京のイメージ ─ ぼくたちの東京論
収録を聞いていて、「どこまでが東京なのか」、「東京は街と街の距離が近い」という言葉を聞いて思うところがありました。東京と地方中核都市の違いは、「どこまでが街として認識されているのか」ということだと思います。それを規定する要因として大きいのは、鉄道駅ではないでしょうか。地方都市はやはり駅が東京ほど密集していないためか、街として認識される部分は東京よりも少ないと思います。東京は住宅メインの街であれ、駅が多いからか、そこで区切りが生まれて、新たな街として認識されやすいのかと。また、東京は各街がそれぞれ独特の個性を持っている都市であり、それもあってか日本の都市に対して様々な先駆例が生まれる場所だと思っています。様々なところから様々な人が集まってくるから、その融合により様々なものが生まれるのではないか。また、住んでいる人が多様だからこそ、それぞれの街の特徴が生まれたり、維持されたりしているのではないでしょうか。神奈川に生まれ育ち、東京生活5年目の私は、そんなことを感じました。

第4位 北川啓介のもうひとつの建築設計資料集成!円山町ラブホテルデート編
最初はタイトルとリード文を見て、面白そうだな、と興味本位だけで聞き始めたのですが、なんと面白い話だったことでしょうか(funnyではなくinterestingです)。正直「へー」の連続でした。岐阜の人々が円山町のホテル街に込めた、歴史的背景や想いがそのホテルの名前に表れていることをはじめとして、予想以上に面白くて深い話が展開されていたかのように感じます。中には、ホテルが集積する理由や部屋の埋まり方の話など、都市経済的な視点からの話もあり、街としてホテル街が構成されていることの意味を知ることができたと思います。私自身、「商業地域を対象にした時系列変化」ということをテーマに研究を行っていますので、都市における新陳代謝という部分の話には特に聞き入りました。都市における生の文化性を表象する場所としてのラブホテル、自分もそれらが都市で持つ色々な意味を研究対象にすればよかったと後悔しました(笑)

第5位 「失敗」をめぐって
今、自分自身、失敗の真っただ中にいるからです。もちろんあがいていますけれど、先行きの見えない不安と闘っている最中なので、この収録はとても印象に残りました。何をもって失敗とするのか。それは取り返しのつかないことなのか、つくことなのか。結局、最後に判断するなら主観的なものでしかないのかもしれないのですよね。どこまで納得ができるか。失敗の原因に飛び込めるか。まず、失敗を成功に変えるために、失敗に飛び込む勇気を持つこと。それを決めるのは全て自分自身なのであり、乗り越えていくのも自分自身なのであることを改めて実感しました。 以上、5つが私の選ぶ2010年ベスト5になります。正直、冒頭にあるように自分本位で選んでしまったので、わりとマクロな話やら都市システムに近い話題が多いです。デザインの苦手な都市系の学生の興味がこういうところにもあるのだ、ということを今後の都市系ラジオのトピックなどで、活かしていただけたら、また自分自身活かしていけたらいいのではないかということで、このアンケートの結びとさせていただきます。


関口達也(せきぐち・たつや)
1985年生まれ。東京大学大学院住宅・都市解析研究室所属。都市との向き合い方、同時に音楽との付き合い方を日々模索中。趣味はビッグバンドジャズで、実際に演奏もします。

TOP


正木哲(建築系ラジオスタッフ)


第1位 テン年代の建築を考える (全体討議・全7回)
第2位 DESIGINING2010展公式トークイベント「TRANSMISSION/トランスミッション」(全4回)
第3位 建築系フォーラム2010「地方建築家のロールモデルを考える」(全2回)
第4位 東京仕事百貨代表・中村健太インタビュー──「建築家をあきらめろ!(仮)」イベント予告編
第5位 広島建築男子の四方山トーク!ザ・奥さん


ベスト5選出にあたって
私は2010年になってから建築系ラジオの学生スタッフとして参加しています。つまり、建築系ラジオ第二期、ポータルサイト開設時期からの参加であり、それ以前は、恥ずかしながら建築系ラジオの存在すらよく知らないという状況でした。よって、ベスト5を考えるにあたり、建築系ラジオ第二期以降からの選出としました。私の選出基準は、単純に「これまで聞いてきた中で印象に残っているもの」であるわけですが、選んだものをみてみると、一貫したテーマがあることに気づかされます。それは、建築家とは「何者」なのか、ということです。これは、建築を学ぶ者にとって、一度は考えさせられる問題であり、そして、なかなか答えが出るものではないと思います。そもそも、建築とは何なのか。
私が所属している研究室(建築計画学)では、年度始めの数ヶ月をかけ、あるテキストを通して徹底的に「建築とは何か」を考えるオリエンテーション・ゼミ(ゼミ担当は入研したばかりの4年生!)が行われます。テキストは初期の建築計画学の理念、方法について書かれた、研究室の原点となるもので、そこでは建築計画とはなにか、建築計画学とはなにか、建築計画学が対象としている建築とは何か、といったテーゼが述べられており、現代に生きる私たち学生に議論のテーマを与えてくれるのです。私も研究室に所属する一人の学生として、入研以降、「建築とは何か」、この問いに頭を悩ませ、自身の研究やプロジェクトを通して少しずつですが建築と向き合い、また、今後私は建築とどう付き合っていくのだろうか、と頭の中で自問自答を繰り返してきました。建築系ラジオの大きな魅力のひとつは、毎晩星の数ほど行われているであろう、飲み会での建築談義を、全国ネットにのせて配信することです。そこでは出演者が悩んでいること、考えていること、疑問に思っていることが赤裸々に語られています。それを聞けば、自分だけが悩んでいる訳ではない、皆それぞれが考え、答えなんかわからないけど日々の歩みを進めているということに気づかされます。このことにどれだけの多くの人々、学生が勇気づけられることでしょうか。以下に、それぞれのコンテンツを聞いて何を考えたのか、未熟な思考ではございますがご笑覧ください。配信の時期などは順不同です。

第1位 テン年代の建築を考える
テン年代の建築を考える今回選出した中で最も印象に残っているものです。何が?と問われたら、間違いなく前田則貞さんです。私は、前田さんについては名前や作品しか知らず、そのつたない予備知識だけでは前田さんを想像することなどできず、このコンテンツを聞いたときには大変衝撃を受けたのを覚えています。前田さんは、概念の弱さに対する指摘だけではなく、ひとりの人間として成熟することを強調されました。建築家である前に人であること。建築家としてどんなものを生み出そうと、建築ではない他のことをやっていようと、最終的には人が最も重要なのです。これを聞いて、ドキっとした人は多いのではないでしょうか。私もそんな一人であり、建築を考える前に、一度、自分を見つめ直すことが重要ですね。前田紀貞建築塾では、現代社会では誰も教えてくれなくなったことを学べるのかもしれません。一連の配信を聞けば、前田さんは、建築家であると同時に教育者であり、私たちの世代をとても暖かい目で見守ってくれていることがよくわかります。

第2位 DESIGINING2010展公式トークイベント「TRANSMISSION/トランスミッション」
これも東京と福岡という地方都市をテーマに扱ったイベントの模様を配信したものです。私自身福岡にいるので実際にイベントにも足を運ぶことができました。何よりも、この日招待されたスピーカーはそうそうたるメンバーだったので、地方建築学生にとっては大変貴重な機会だったのです。その中でも、大変印象的だったのは、モデレーターの倉方さんが、「福岡の状況は今後の建築デザインの鍵となる」と述べられたことでした。東京から赴任されたばかりの倉方さんには福岡の状況がよく理解でき、だからこそ、そこにこれからの現代社会における建築デザインの可能性があると見抜かれた恐るべき先見...。地方都市でデザインに携わるものは、社会や状況が豊かになり成熟していく中で、これまでのやり方では通じなくなってきており、倉方さんに、お前たちはデザインの未来の一端を担っていのだぞ!理解してますか!?と、突きつけられたのです...。

第3位 建築系フォーラム2010「地方建築家のロールモデルを考える」
地方都市で建築を学ぶ学生にとっては気になるテーマだと思います。地方都市をフィールドに活動する建築家が、地方都市をいかにとらえ、また、それを踏まえてどういう可能性があるかなど、大変示唆に富む内容となっています。特に印象的なのは、「東京もひとつの地方都市である」といった、地方都市を語ることによって、東京の特異性が浮き彫りとなってくることです。地方都市の建築学生にとって、「東京」という二文字は、一度は目の前に立ち塞がります。しかし、東京もひとつの地方都市である、と思えたその瞬間、考え方はもっと自由になるかもしれません。

第4位 東京仕事百貨代表・中村健太インタビュー──「建築家をあきらめろ!(仮)」イベント予告編
これは、建築学生が悩む進路に関わる内容です。建築学科で私たちは一体何を学んでいるのでしょうか?建築家になる方法?すごいね!と言われる建築を設計する方法でしょうか?いやいや、社会に出て即戦力となるための技術?私は建築学科では建築を通して「考え方」を学べるのだ、と思っています。建築学科には講義だけでなく、設計演習という特殊なカリキュラムがあります。設計演習ではある課題に対して、個人または共同で「答え」として設計を行い、その成果を他者に伝えることを求められますが、これは恐らく他学科には珍しい授業なのではないでしょうか。ある課題に対して論理的思考で考えを巡らせ、答えを他者に伝えるというのは非常に高いスキルなのではないでしょうか。それはまさにリーダーに求められる素養のひとつだと思います。私たちが大学で受けている教育とは何か、それがもっと意識的になったとき、建築学生は世界が狭いなどと言われることもありますが、活躍の場はどこにでもある気がしています。

第5位 広島建築男子の四方山トーク!ザ・奥さん
私がとても大好きなコンテンツです。北川さんの話では、家族に対する愛がヘッドホンから溢れ出て、愛を語ることに、聞く側の私は気恥ずかしさを超えて感動すら覚えました。むしろ個人的な過去の経験が思い出され、自分の未熟さが恥ずかしくなります(笑)。まあ、誰にでも、世界中の悩みを背負おうとした時期ってありますよね(笑)。これを聞いて、ひとつ確かなことは、何に対しても、決して建築を言い訳にすることなどあってはいけないということです。日々精進です。


正木哲(まさき・てつ)
1983年熊本生まれ。九州大学大学院人間環境学府竹下研究室所属、後期博士課程生。木造住宅の新工法開発に取り組んでいます。趣味は野外で大音量の音楽を聴くこともしくは「そういう場所」に赴くこと

TOP


入江徹(琉球大学准教授)


思考のきっかけとしての建築系ラジオ
私は、建築系ラジオによる2009年の台湾ツアーや沖縄ツアー以降、ツアー企画に参加させて頂いている。2010年には8月に韓国ツアー、10月に瀬戸内国際芸術祭ツアーに参加させて頂いた。建築系ラジオとは、そうした関わり方をさせて頂いているため、2010年ベスト5をあげさせて頂くとすると、これらのツアー企画がまず頭に浮かんでくる。

第1位 韓国建築ツアー(ツアー)

背景としての社会構造
8月4日から8日にかけて韓国ツアーに参加させて頂いた。ツアーとしては6日までの日程であったが、その後は村上心先生ら椙山女学園大学の皆様方とご一緒させて頂き江華島に行ってきた。ソウルでの収穫として真っ先にあげられるのは、金壽根との「出会い」である。金壽根は既に世を去っているが、彼が主宰した建築設計事務所兼建築雑誌『空間』の社屋では、内部までご案内して頂き、近代建築の質感・重厚感とともに、建築空間の質の高さに惹きつけられた。また、ダニエル・リベスキンド、ザハ・ハディド、レム・コールハース、MVRDV、ジャン・ヌーベル、マリオ・ボッタ、アルヴァロ・シザといった建築家たちによる建築物、韓国の若手建築家が設計した「Kring」などの建築物も見学することができた。そして、アンヤン芸術公園、ヘイリ芸術村、パジュ出版都市でも、多くの建築物を見学することができた。建築物以外にも、清渓川復元事業という都市的再開発の見学もできた。韓国特にソウルでは、アイコン建築と呼ばれるような現代建築物が片道6車線以上もある大きな通り沿いに華々しく立ち上がっていた。近代というものを通過せずに現代が訪れたようでもある。このような背景には当然のごとく政治や経済・資本の力が見え隠れしている。いずれにせよ韓国の勢いを感じた。一方で、台湾でも感じたことだが、日本は大丈夫なのかと...。また、ツアーでの多くの方々との出会いも特筆すべき点である。山田幸司さんや松田達さんらと初めてお会いしたのも台湾ツアーであったし、韓国ツアーの際には山田さんの兄貴的存在である村上心先生らとお会いすることができた。

第2位 瀬戸内国際芸術祭2010ツアー (ツアー)

アートと建築
10月22日から24日にかけて瀬戸内国際芸術祭ツアーに参加させて頂いた。このツアーでは、建築物とアート作品とを比較的に見学することができた。ここでは、日本の建築物の施工・構造の強度を圧倒的に感じた。直島にある安藤忠雄さんの李禹煥美術館は、コンクリートの壁で三角に囲まれた空間の良さはもちろん、施工の強度だけでも驚きを感じた。久々に安藤さんの建築物を見たのだが、改めて圧倒されることとなった。また、西澤立衛さんの豊島美術館には、ある種の恐ろしさというか、怖さを感じることとなった。なめらかなシェル構造はもちろんのこと、キレイな水のかたまりが途中で破壊せずに流れるための床コンクリートの施工精度。現実の物質としてここまで可能なのだ、ということを示唆している。何かをコントロールすることが建築物の機能の一つであるとするならば、この美術館は水の動きを圧倒的な施工精度によってコントロールしていると言える。妹島和世さんの家プロジェクトS邸は、柱を立てずにアクリル壁によって自立させ、そのアクリル壁を可能な限り薄くするために曲面にし、さらにその垂直軸にも曲げている。壁の厚さは40mm。やはりこれも「どうなってるんだ」と思わせる魅力を感じた。しかし、豊島美術館やS邸は超一流であることは間違いないが、学生が課題や卒計において形だけでこれらを模倣してくると戸惑いを感じる。これらは極度に細かな施工技術や構造が絡んでいて、現実の物質としての精度がものすごい。学生が、施工をともなう建築物の物質が出来上がらないという前提で行う課題や卒計において、施工や構造上の苦労を伴っていない状態で形だけで提案してくると、どこまで学生の成長につながるのかと思ってしまう。学生たちにも、そのあたりを見抜いてほしい。数多くのアートと建築物を見ることで、建築とはいったいなんなのか?建築にどういったことが可能なのか?ということを改めて考える機会となった。

第3位 ダンボール茶室(イベント)

ひとを惹きつける力
10月31日に、中川運河キャナルアートの一環として行われたイベント「ダンボール茶室から考える建築とアートの可能性」に参加させて頂いた。私自身、山田幸司さんには台湾や沖縄でお世話になっていて、山田さんにハマっていた。そして、山田さんからダンボール茶室のことについてもお聞きしていた。そうしたことから、是非とも直に見たいということで沖縄から向かうことにした。公開収録中に到着したのだが、急遽お誘い頂き、参加させて頂いた。その中で、山田さんに対する思いやエピソードについて話をさせて頂いた。その後、ダンボール茶室の中に入らせて頂くことができ、貴重な体験をさせて頂いた。この茶室は、国宝茶室の如庵を組み立て式ダンボールで再現したものであり、ダンボールでありながら中に人が数名入っても耐え得るようにつくられている。建築以外の多くの地元の方々も見学に来られていた。山田さん同様に、多くの人たちを惹きつける魅力を感じた。

第4位 横浜アパートメント(イベント)

交流の可能性
4月18日に行われた横浜アパートメントでのイベントに参加させて頂いた。あれだけの人数が集まって交流できたことは、今でもハッキリと頭に残っている。それを可能にした建築物のつくりもすばらしい。2次会にも多くの方が参加され、皆さんのパワーを感じた。2次会には設計者の西田司さんも到着し、約10年振りにお会いし、話ができた。このイベントでは、学生たちが積極的に頑張っているということを改めて感じた。自分から何かをつかみ取ろうと集まってきたのだと思う。そういう多くの学生たちに出会うことは、とても刺激的である。

第5位 「藤村龍至の批判的工学主義を問う!(藤村龍至vs松田達)」(全体討議・全5回) (ラジオ)

オープンな議論
「とうとう!」というのが率直な感想。お二人がこのような形で対峙するのはなかなかない機会だと思うが、聴衆を楽しませつつお互いのコメントを引き出すことができるというのも建築系ラジオのすぐれた環境づくりだと思う。そして、永山祐子さんから飛び出す言葉も印象的。違う意見を持つ者同士が、オープンな形で(聴衆を取り込みつつ)議論しようよということを建築系ラジオが教えてくれているコンテンツだと思う。 建築系ラジオとは思考のきっかけをオープンに提供してくれる場ではないかと思う。ラジオコンテンツには、各地域の状況を知ることができるものや、教育的な内容のものが数多く含まれている。また、ツアーは、様々な場所で実際に建築物や都市を見ることの大切さを教えてくれ、建築や都市に関する学習だけではなく文化に触れる研修の場としても機能している。私にとって多くの学生たちとの出会いも貴重な経験である。彼らがいかに積極的であり、また悩んで模索しているのか、そういった努力の経路を確認することで様々なことを教えられる。このような思考のきっかけを提供してくれることが、建築系ラジオの特徴なのだと思う。


入江徹(いりえ・とおる)
1974年生まれ。建築家。琉球大学工学部環境建設工学科建築コース准教授。横浜国立大学大学院修了。専門は、建築設計・現代建築理論。

TOP


武智仁志(建築系ラジオコラボレーター)


建築系ラジオのコンテンツにランキングはつけられないのですが、苦渋の想いで選ばせていただきました。それでは、はりきってどうぞっ!

第10位 全体討議 第二期始動へ向けて 第二期へ向けての5つの方針(案)r4
完成されたコンテンツを世に与えていくメディア。完成されたコンテンツは説得力があり、知らない間に何かを植え付けている危険性もはらんでいます。このような今までのメディアとは一線を画す感のある建築系ラジオ。これからの建築系ラジオの方針を公開して、リスナーといっしょに考えていこうという手探り感が、この節目にあたるコンテンツの良いところです。山田さんがいなくなった後の建築系ラジオの今後に不安を抱いていた僕。しかし、今では皆さんもご存知のとおり、学生もまきこんで発信側と受信側がいっしょになって批評がし合えるメディアとして成長していますよね。個人的に驚きなのが、僕にコーナーを与えてしまったこと。 建築系ラジオの多様性を物語っています。触れる者に限界点を越えさせようとするこの姿勢は、本当にビックリです。

第9位 藤村龍至の批判的工学主義を問う!(藤村龍至vs松田達)(全体討議・全5回)
周りからけしかけられたとは言え、新しい形式であるタイマン議論のコンテンツ。こういう刺激的な議論は、雑誌では伝えきれないものです。場合によっては険悪な雰囲気に聞こえてしまうような議論を活字化するのは、難しいと思うのです。「ラヂオは友」でもたくさん感想を書かせていただきました。建築系ラジオならではのコンテンツですね。

第8位 もうひとつの建築設計資料集成!円山町ラブホテルデート編)
このコンテンツさえ登場しなければ「建築デート」がベスト10に入っていました。聞いている時のヒヤヒヤ感は建築デートをも上回ります。そして、知られざるラブホテル建築のノウハウが語られる様子は圧巻です。まさに資料集成! 「22C: 建築系ラジオ新年会「検閲とクオリティ・コントロールをめぐって」 の議論のように、北川さんのコンテンツは問題提起があって、共感できなければリスナーに都合の悪い情報として認識されてしまいやすいんですよね。 お茶を濁したい話題ですので(笑)。

第7位 都市建築へ(中庭をめぐって)(全3回)
松田さんに対して温厚そうなイメージを持っていた僕の認識を覆したコンテンツです。幻の4回目のコンテンツは、まわりが止めるのもかまわずにご自身の展覧会会場に流してしまうという、何者にも流されない姿勢には、かっこよさを感じました。めずらしく酔っている松田さんが聞けるコンテンツです。いろいろと考えさせられた面白いコンテンツです。

第6位 西村浩×山崎亮「自走力のデザインメソッド」(全4回)
お二人の話を聞いていると、要は人間関係なんだなって思います。極論すれば、建築を抜きにしても人間関係が築けられれば幸福だってことですよね。扱おうとしている仕事の分野が違うだけ。人間関係に、分野なんてないですから。ですから、仕事の分野も常識的に区切る必要はまったくないという訳ですね。

第5位 43C: 南泰裕への10の質問(その3)Lab ・全3回)
「疑うこと、謙虚になること、続けること。」この南さんの言葉を聞いて、なるほどな〜と思いました。「時間が体積してしみ込んで、自分が生きている実感を手応えとして感じさせてくれる建築」が本物だと。そこまでの感動を与えてくれる建築がいいですね。まわりの意見ばかり鵜呑みにしても体は正直なんですね。でも、謙虚でなければ独自論だけで突っ走ってしまいますからね。なんと言っても、続けること。これが、僕の最大の敵です。自分に克てるかどうかが、生きていくうえで最重要課題ですね。南さんの言葉は、建築系ラジオの姿勢にもつながっている気がしました。

第4位 48C: 村上兄ィの建築系人生相談「山田幸司」Lab
実は、山田さんがあがり症だった!この事実を突きつけられた衝撃は今でも忘れられません。 あんなに軽快なトークをしている山田さんが、よりによってあがり症だなんて思うはずがありません。今でも、やらせ番組ではないか疑いの耳で聞いています(笑)。建築系ラジオの初期からリスナーを続けている僕として、決して忘れることができない存在である山田幸司さん。声を聞くと、これが建築系ラジオの原点なんだなあとしみじみと思います。

第3位 44C、46C: 伝説のトーク「梅林克 x 山田幸司」Lab
山田さんを語る時に忘れられない伝説のコンテンツです。梅林さんと山田さんが化学反応したら、こんなすごいことに。有名建築家の本当の姿や、お二人の豪傑ぶりが伺える、とても楽しいコンテンツです。建築系ラジオのコンテンツで一番声を出して笑ってしまう配信です。

第2位 テン年代の建築を考える(全体討議・全7回)
前田さんの生き様が伝わってくるようなコンテンツです。自分をビー玉という「無機質」なものに例えた言葉に嘘は感じられず、「建築家とは?」の答えが詰まっている気がしました。そこに居るけど居ないという存在感。建築が語るのですね。ご自分に対して欲をお持ちでない事が伝わってきます。日本人にしかできない境地、「己を滅して他を益す」ですね。言葉でいうのは簡単ですが、実践できている人はそんなにいないでしょう。実体のないものを動かして儲けるのが当たり前の世の中ですから。何のために建築をつくるのかということを考えた時のヒントが語られています。
次は、いよいよ栄えある第1位の発表です!(小太鼓の音:ダラダラダラダラ〜) 。

第1位 植田実氏も語る。建築メディアは本当に信用出来るのか? 

千葉大学建築レクチュアシリーズ第1回後の居酒屋トークです。シンポジウムをどう聞くか、 メディアをどう受け止めるかの姿勢は、ズバリ、どう行動し、どう生きるかということと関係しているんだなと考えさせられた配信です。集団生活の中で自然と身に付いてしまった思考性。 植田さんを通して、建築系ラジオの姿勢を読み取れる配信です。これを聞くと、コブクロの 「DOOR」という歌を思い出します。(曲名が建具だし。)   ♪ただっ港か〜らぁ見送る人に〜ぃい♪  ってとこです。途中、松田さんが学生に問いかける時のアツい感じも良かったです。若い人がよく言ってしまうセリフですからね。松田さんから若者に向けたメッセージです。最後の学生が語った、パネリストが身近に感じられたという場は、建築系ラジオにはたくさんあるんですよね。これでリアルな世界につながるんです。
 

さて、皆さんの2010年ベスト10!はいかがでしたか? ツアーに参加すると、ランキングも変わってくるのでしょう。参加型のメディアですからね。 まわりの人と是非、建築系ラジオから得たものを語り合ってみてくださいね。  それでは、また来年2011年も、楽しく過ごせますように。 武智仁志は建築系ラジオを応援しています!


武智仁志(たけち・ひとし)
1973年生まれ。京都造形芸術大学通信教育部に在学中。寡黙な男。

TOP


五十嵐太郎(建築系ラジオコアメンバー)


いずれも事件性、ライブ感が強いもの。

第1位 46C: 伝説のトーク「梅林克 × 山田幸司」
(山田さんと梅林克さんのトーク)(Lab・全2回)

第2位 北川啓介のもうひとつの建築設計資料集成!円山町ラブホテルデート編
(北川啓介によるラブホテル街探索)

第3位 都市建築へ(中庭をめぐって)[1/3](全3回)
(松田達個展の後の、展覧会をめぐるトーク)

第4位 首都大学東京 高橋千尋さんと座・高円寺でデート(全3回)
(倉方さんの建築デート 高円寺編)

第5位 51A :建築女子批判?石川翔平が大いに吠える![1/2]Lab・全2回)
(石川くんが建築女子批判をしたもの)


五十嵐太郎(いがらし・たろう)
1967年生まれ。建築史。東北大学教授。著書=『新宗教と巨大建築』『近代の建築と神々』『終わりの建築/始まりの建築』『戦争と建築』『結婚式教会の誕生』。共著=『ビルディングタイプの解剖学』など。http://www.cybermetric.org/50/

TOP



<回答者一覧>(その1)

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
松田達天内大樹松岡舞佐藤仁哉江藤靖子阪根正行星洸祐椚座基道関口達也

正木哲入江徹武智仁志五十嵐太郎(順不同)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

さて、アンケートの第一回目の回答公開、いかかでしょうか?興味を持っていただいた回は是非聞いてみてください!これから年末にかけて、順次様々な方の回答を公開していきますので、楽しみにしていてくださいね。

収録日時:2009年11月29日
収録場所:深川ラボ/江東区
収録時間:28分45秒
ファイル形式:MP3形式
ファイルサイズ:13.1MB
PLAY 出演者:白濱雅也+田嶋奈保子+糸崎公朗+彦坂尚嘉+五十嵐太郎

深川ラボにて開催された「行儀の悪い額縁」展(2009.11.13-29)でのギャラリートークです。後半は額縁をテーマに話が進みます。元は建築の一部だった美術が建築から分離し、自立していくプロセスで、継ぎ目を隠す幅木から生まれたのが額縁です。「ヤンキー系」森田恭通さんが多用する額縁、額縁という強い形象を含めて絵画を描く困難。彦坂さんが学生からの質問に答え、「彦坂尚嘉ミュージアム」空想や歴史的経緯を含め、今後の美術館のあり方について熱く語ります。(Y.Kondo) 

・出演者プロフィール
白濱雅也(しらはま・まさや)
1961年生まれ。1988年多摩美術大学美術学部デザイン科卒業。1990年頃より制作を始め、ネオポップやイラスト系具象絵画の先駆けとなる。その後既存の童話のイメージをリミックスしネガティブに変節する絵画や立体作品を制作。主な個展にギャラリーNWハウス、ギャラリー那由他、アートフォーラム谷中、マキイマサルファインアーツ、ギャラリー二葉奥の院、Caelum Gallery他。現在実験的スペース「深川ラボ」運営。

田嶋奈保子(たじま・なほこ)
1982年千葉県生まれ。05年武蔵野美術大学造形学部工芸工業デザイン学科ガラス専攻卒業。09年立教大学大学院文学研究科比較文明学彦坂尚嘉ゼミ 科目等履修生単位修得。08年第1回個展「燃えゆる家」展(深川Labo、東京)。09年グループ展「行儀の悪い額縁」展(深川 Labo、東京)。

糸崎公朗(いとざき・きみお)
1965年生れ。東京造形大学卒業。非人称芸術のコンセプトを提唱し、ツギラマ、フォトモ、2コマ写真、デジワイドなど、写真を素材とした独自の着想による作品を制作。東京を中心に、個展、グループ展を開催。特に2000年以降は毎年多くの展覧会を開催しているほか、書籍の発表、科学誌、写真誌での連載、講演やワークショップなど、多岐に渡る積極的な活動を展開。

・関連項目
「行儀の悪い額縁」展
深川ラボver1.5
行儀の悪い額縁展(加筆画像追加5) (彦坂尚嘉の〈第41次元〉アート2)

収録日時:2009年11月29日
収録場所:深川ラボ/江東区
収録時間:36分59秒
ファイル形式:MP3形式
ファイルサイズ:16.9MB
PLAY 出演者:白濱雅也+伊東直昭+彦坂尚嘉+五十嵐太郎

深川ラボにて開催された「行儀の悪い額縁」展(2009.11.13-29)は、実業家・美術家の牧井優(マキイマサル)さんが中国から大量に購入した「キッチュな」額絵に、作家が手を加えて現代のアートとして蘇らせることを試みた展覧会です。彦坂さんが自身のブログで紹介し、普段から額縁やキッチュに関心を持つという五十嵐さんがブログを見て興味を持ち、急遽ギャラリートーク「キッチュとアートをめぐって」が開催されました。トークは、ブルーノ・タウト、石子順造、ロバート・ヴェンチューリ、クレメント・グリーンバーグ、トム・ウルフに代表されるキッチュ(と関連する「キャンプ」「クィア」)論の歴史と、展示意図・出品作家の話、音楽の趣味との関連などに展開していきます。(Y.Kondo)
*言及される映画は「The Texas Chain Saw Massacre」(邦題「悪魔のいけにえ」,米1974)です。


・出演者プロフィール
白濱雅也(しらはま・まさや)
1961年生まれ。1988年多摩美術大学美術学部デザイン科卒業。1990年頃より制作を始め、ネオポップやイラスト系具象絵画の先駆けとなる。その後既存の童話のイメージをリミックスしネガティブに変節する絵画や立体作品を制作。主な個展にギャラリーNWハウス、ギャラリー那由他、アートフォーラム谷中、マキイマサルファインアーツ、ギャラリー二葉奥の院、Caelum Gallery他。現在実験的スペース「深川ラボ」運営。

伊東直昭(いとう・なおあき)
1959年生まれ。1985年多摩美術大学美術研究科修了。海外のレジデンスを重ね、絵画、インスタレーションなど多様な制作を見せるベテラン作家。近年、虫への擬人や駄洒落の採用など、その特異な世界観を露出する作風で注目を集める。

・関連項目
「行儀の悪い額縁」展
深川ラボver1.5
行儀の悪い額縁展 (彦坂尚嘉の〈第41次元〉アート2)

1  

今日の配信

おすすめ記事!


特集

インフォメーション

バックナンバー

タグクラウド

建築系ラジオTweets